快読日記

日々の読書記録

「夜の来訪者」プリーストリー 岩波文庫

2008年03月14日 | 翻訳小説
読書中、劇場にいたみたい。



20世紀初めのイギリスが舞台の戯曲。
裕福な一家の、ちょっと鼻持ちならないかんじの団欒に、
グールと名乗る警部が乱入してきて、
自ら命を絶ったある若い女性の話を始めます。
そこからこの一家がガタガタとくずれていく様子が息つく間もなく展開して、
すごいすごいと思って追っかけてるうちにすっぱりと終わりました。ブラボー!!
ちょっと心拍数が上がった気がします。

映画化もされ、
日本でも何度も上演されている作品なんだそうです、納得。

ちょっと濃いめの重厚なキャスティングで、2時間ドラマにして欲しい。

戯曲の読みにくさも、翻訳のもたつきも全然なくて読みやすく、
舞台の板の上を歩く役者の靴音まで聞こえるほどのめり込みました。

ラストシーンが終わって、緞帳が下りるのが見えたような気がするよ。
■1/13読了

「狂気と王権」井上章一 講談社学術文庫

2008年03月14日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
もう一度読みます。




近代天皇制を考えるとき「狂気」という補助線を引くとどうなるか、
そんな帯の惹句とドラマチックなタイトルにやられて購入。
熊沢天皇や花柳幻舟が出てくるのかなあと期待したんだけど、
もっと硬派でまじめな話でした。
奇をてらったエグいものを狙っていたわたしは結局ついて行けず、
なんだか「ご縁がなくて・・・」といった別れになってしまったのでした。

実際は“不敬”の人に「狂人」のレッテルを貼ってきた歴史から、近代史を読み解く!みたいなかんじです、たぶん。

教訓。何の予備知識もなく読むのは小説だけでよい。

忘れた頃に再読するかもしれません。
■3/4読了