轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

ダイハツ・ミラ ジーノ

2005-01-04 15:09:00 | DAIHATSU
助手 「所長、今日新しいミラジーノを見ました。」

所長 「そうか、ディーラーに展示してあるのなら見たことあるわ。」

助手 「こういうレトロ調のクルマってどう思われますか。」

所長 「うーん・・・。」

助手 「僕は正直情けなくなります。どうしてこんなクルマをつくるんでしょうね。」

所長 「うーん、まあ売れるからつくるんじゃろうな。」

助手 「売れるからつくるんじゃなくて、つくったから売れたんでしょ。」

所長 「まあ、そうじゃな。最初は確かスバルの何かじゃったかのぉ、こういうレトロ調のクルマって。じゃが、それが市場に受け入れられとるんじゃから、今でもつくってるんじゃろ。」

助手 「所長、でもメーカーに良心というものは、ないんですか。こんな物真似みたいなクルマをつくって。」

所長 「じゃが、買うお客がいるということは、企業にとって無視できないもんじゃ。」

助手 「ああー、でも絶対良くないですよ。これじゃ中国のクルマを批判することも出来ないじゃないですか。」

所長 「まあ、そう熱くなるな。確かに大企業がするというには大人気ない気はするな。」

助手 「そうですよ。」

所長 「例えば街のパーツ屋が冗談でつくったんじゃったら、微笑ましい感じじゃけどな。」

助手 「まあ、それならアリかなって気はしますね。」

所長 「じゃが、今回のミラジーノは今までのようにメッキのパーツを付けただけじゃなくって、ボディからつくったそうじゃ。これはやっぱりメーカーじゃなきゃ出来んわな。」

助手 「だから、出来るかどうかじゃなくって、するかどうかの問題ですよ。」

所長 「確かにそうじゃな。でもダイハツもスズキを追い越すのに必死じゃから、なりふりかまっとれんのじゃろ。まあ、笑ってゆるしてやったらどうじゃ。」

助手 「所長、そんな甘くていいんですか。仮にもクルマの文化を研究している人が。」

所長 「そんなこと、言われんでもわかっておるわ。確かに海外のメーカーやユーザーがどう見てるのか、気になるところじゃ。」

助手 「そうですよ。恥かしいったらありませんよ。」

所長 「じゃが、クルマにドレスアップパーツを組み込むのが当たり前の時代じゃから、そのひとつのテイストとして考えれば理解できんこともないじゃろ。」

助手 「まあ、それはユーザーの好みの問題ですからね。」

所長 「じゃが、後付パーツの場合、オリジナルのライトの形状とかを、いかにもハメ殺しのパーツで隠すのは格好が悪いじゃろ。」

助手 「確かにこの手のクルマのリアランプなんか、気になりますよね。」

所長 「じゃろ、その点専用設計のミラジーノはフィニッシュが綺麗じゃ。」

助手 「まあ、それはそうですね。でも先代のミラジーノはミニにそっくりで、今度のは新しいミニにそっくりというのは、どうですか。」

所長 「まあ、そうじゃな、ダイハツではコンパーノをモチーフにしたと言っとるが、パクリと言われても仕方がないデザインじゃな。じゃが、先代のミニが欲しいユーザーにとって、現代の設計でしかも費用が安い軽自動車ならさぞかし魅力的じゃろ。」

助手 「でも、カッコだけでミニの魅力のカケラもない気がしますが。」

所長 「もちろんそうじゃ。じゃが、クルマ好きじゃないお客からしたら格好がすべてかも知れん。そういうお客には願ってもないクルマかも知れんしな。」

助手 「まあ、そうかもしれません。百歩譲ってそうだとしても、今度のミラジーノはどうなんですか。新型のミニが新車で買えるじゃないですか。」

所長 「じゃが、あれは外車じゃし、価格も高い。100万円で買える軽自動車ならではの魅力があるんじゃろ。」

助手 「そう言われればそうですが、何も物真似じゃなくダイハツオリジナルの形で良かったんじゃないですか。」

所長 「それは普通のミラがあるじゃろ。それ以上のシェアを広げようと思ったら、戦略としてはありじゃと思う。まあ、言い換えればローバーやBMWに白旗を揚げてでもシェアを広げたいというダイハツの気持ちの表れじゃろ。」

助手 「どうも釈然としませんが。」

所長 「確かにワシも気に入らんがのぉ。じゃがベリーサなんかも同じところを狙っとるんじゃろ。そう思うとなんとなく理解できる気がするんじゃ。なんせベリーサはワシも気に入っとるからのぉ。」

助手 「まあ、ベリーサぐらいなら許せるんですが。」

所長 「まあ、少なくともあれをミニという名前で売ってるんじゃないから、偽もんじゃないんじゃろ。お客が間違って買うんなら具合悪い話じゃが、お客もそこらへんは分かってて買っとるんじゃから仕方がないじゃろ。」

助手 「そうなんですが、気に入らないですね。」

所長 「まあ、それも含めて日本の市場であり、文化なんじゃ。」

助手 「まあ、嫌なら買わないことですよね。売れなかったらつくらなくなりますから。」

所長 「そういうことじゃ。」

助手 「でもどうしてああいうレトロ調のクルマって売れるんですかね。」

所長 「それはお客の好みの多様化じゃろ。お前も今の国産車のデザインよりも古いクルマの方が良かったって、いつも言ってるじゃろ。」

助手 「でも古いクルマをつくったって進化がないじゃないですか。やっぱり未来を向いてなきゃダメですよ。デザインも。」

所長 「どうしてじゃ。よく雑誌なんかでも書いてあるが、どうして未来を向いてなきゃならないんじゃ。」

助手 「それは・・・、どうしてでしょうね。あまり考えたことがありませんでした。当たり前な感じがして。」

所長 「もちろん、時代は流れちょるんじゃから、嫌でも未来に向かっとるんじゃ。じゃから未来に向けて売れるクルマをつくらんかったら、お客に見向きもされんようになるのは、当たり前じゃ。」

助手 「そりゃ、そうですね。」

所長 「国産車は今売れるモンばっかりつくっとるから、新鮮味がなくなったとたん売れなくなり、ほんの2年ほどで化粧直しをするんじゃ。で、4年という短い人生で終わることになるんじゃ。じゃが外車も段々日本車の影響でモデルサイクルが短くなっておるから、未来よりも今を重視しておるんじゃろうな。」

助手 「そうですね。」

所長 「今の話しはクルマ自体の話じゃが、デザインについてはなぜか未来的なもんや新しい提案ばかりが持て囃されるんじゃ。」

助手 「そうですね。でも実際そういうクルマが売れてるんじゃないんですか。」

所長 「そうじゃ。じゃが反面、ミニが40年ものロングセラーになったり、絶版の古いクルマを高い金を払って買ってる連中もいるじゃろ。それにミラジーノのようなレトロ調のテイストのもんを買うお客もいるんじゃ。」

助手 「つまりユーザーの多様化ですか。」

所長 「そうじゃ、それにクルマのスタイリングもファッション的な流行があるじゃろ。洋服でも60年代や70年代の復刻版が持て囃されたりするんじゃから、クルマにそういうニーズがあってもおかしくないんじゃ。」

助手 「それはそうですね。」

所長 「今のようにたくさんの車種をつくっとるんじゃったら、全部が全部新しい提案をするなんて無理なんじゃ。じゃったら中にはレトロ調なもんがあってもいいじゃろ。ワシなんかに言わせると過去の名車が現代の技術でつくられるんじゃったら、有り難い話しじゃと思うんじゃが。」

助手 「そうですね。トヨタ2000GTなんか出てきて欲しいですね。」

所長 「それはダメじゃ。トヨタ2000GTは偉大すぎるんじゃ。もしつくっても反感を買うのがオチじゃ。」

助手 「そういうもんですか。」

所長 「そうじゃ、憧れは憧れのままの方がいいんじゃ。」

助手 「それもそうですね。ランボルギーニのイオタなんか、謎がなくなったら魅力が薄れましたからね。」

所長 「そういうもんじゃ。何もかも手に入るというのは決して幸せなことじゃないんじゃ。」

助手 「そうですね。」

所長 「で、ミラジーノに話しを戻すが、ワシが一番残念なのはなんでミニなんじゃ、ということじゃ。」

助手 「それは、人気があるからでしょ。」

所長 「それは旧型の話じゃろ。新型はまだわからんじゃろ。確かに売れとるが他にももっと売れとるクルマもあるじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「じゃったら新型のミニに似せるよりも、もっと他になかったんかと思うんじゃ。」

助手 「そうですね。前のが旧型ミニだったから、新型がニューミニというのはあまりにも安直な気がしますね。」

所長 「ウケ狙いなら分からんでもないが大阪の会社じゃし、じゃが真剣に売ろうとしとるところを見ると違うんじゃろ。」

助手 「そりゃそうですよ。ボディまで一からつくってるんですから、ウケ狙いなわけないでしょ。」

所長 「じゃったら、もう少し考えて欲しかったもんじゃ。例えばコンパーノをモチーフにするんじゃったら、ワゴンボディにして名前もミラ・コンパーノにしてプロモーションにチカラを入れんとダメじゃ。あとは、提携先のトヨタと共同でパブリカを復刻するとかならわからんでもないんじゃが。」

助手 「それは良さそうですね。早速ダイハツに掛け合いましょう。」

所長 「それは無理じゃ。ワシら素人話しを聞くわけがないわ。何たってダイハツは大企業じゃからな。街のパーツ屋じゃったら分からんがの。」


参考資料
ダイハツ・ミラジーノ(ダイハツ工業株式会社)
ミニ・ワン/クーパー(『webCG』 日経デジタルコンテンツ)
ダイハツ・コンパーノワゴン(『GAZOO.COM』 トヨタ自動車株式会社)

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2 コメント

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ゾンビハンター (スクルージ叔父さん)
2018-11-21 13:38:55
クソブログ6世
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Re:ゾンビハンター (宇垂)
2018-11-22 09:47:16
スクルージ叔父さん

>クソブログ6世

6世と言うのがよくわかりませんが、
あまりお気に召さなかったようですね。

13年も前に書いた記事ですが、
久しぶりに読んで楽しめました。

返信する

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