轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

トヨタ・セリカ

2006-06-02 19:31:58 | TOYOTA
助手 「所長、セリカとインテグラが生産中止らしいですね。」

所長 「そうらしいな。ま、時代の流れじゃから逆らえんわ。」

助手 「相変わらず、あっさりしてますね。セリカやインテグラに思い入れはないんですか。」

所長 「そりゃ、いっぱいあるわ。じゃがいくら思い入れがあっても、現実に売れないんじゃからしょうがないじゃろ。」

助手 「それはそうですけど、ホントに残念な話しですね。」

所長 「じゃあ、お前が一台買えばいいじゃろ。」

助手 「いや、それは・・・。」

所長 「多分、多くの連中がお前とおんなじような反応を示すじゃろう。そんなことじゃから生産中止になってしまうんじゃ。で、なくなったらメーカーのせいにしてからに。要はミニバンや軽が持て囃されるのもクーペがなくなるのも、元はと言えばみぃんなユーザーのニーズなんじゃ。」

助手 「それはわかってますけど・・・。やっぱりクーペって今の時代に存続するのは難しいんですね。」

所長 「クーペがみんなダメな訳でもないじゃろ。例えばスカイライン・クーペは新型が出るらしいし、レクサスISにもクーペが設定されるらしいしな。それに外国メーカーにはクーペのラインナップが必ずと言っていい程あるじゃろう。」

助手 「とても買えそうにないクルマばっかりですけどね。」

所長 「クーペの需要が富裕層にしかないということじゃろ、それもメインは海外じゃけどな。元々クーペって見てくれ重視の贅沢な代モンじゃから、庶民には根付かんのじゃろ。」

助手 「でもちょっと前までは買える価格帯のクーペがたくさんありましたよね。今から思うといい時代だったということでしょうか。」

所長 「それだけみんながクルマに興味を持っとったということじゃ。少々高くても、狭くても、格好が良けれりゃ、欲しいと思うヤツが多かったということじゃ。それが今では、広くて安くて装備が充実してて、高級そうに見えんと買ってもらえんからな。」

助手 「そうですね。でも今でもカッコのいいクーペが出れば売れると思うんですけどね。正直言って最近のセリカにしてもインテグラにしても、購入意欲が湧かなかったですしね。」

所長 「うーん、無理じゃろうな。」

助手 「どうしてですか。」

所長 「マーケットはそんなに単純なモンじゃないんじゃ。需要がないところに、いくらいいクルマを出しても売れるモンにはならんのじゃ。ほらっ、よく雑誌なんかでベタ褒めされとるのに、さっぱり売れとらんクルマってあるじゃろう。そういうのって大抵ニーズから外れたクルマなんじゃ。」

助手 「確かにありますね。ウチのHR-Vなんかもそのクチですし。」

所長 「特に流行に左右されやすい日本では、その傾向が顕著なんじゃ。じゃからセリカやインテグラの生産をやめるというのは、正解じゃと思う。ワシに言わせれば、長い間ほったらかしにしとらんと、もっと早くに手を打っといてもよかったぐらいじゃ。」

助手 「でもクーペが欲しいヒトも現実的にいるでしょ。」

所長 「商売にならん程度じゃしょうがないじゃろう。それに今新型を出しても魅力的なモンになるとは思えんのじゃ。」

助手 「どうしてですか。」

所長 「考えてもみろ、モデルチェンジの度にどんどん大きく重くなっていくご時世じゃ。やれ居住性がどうの、安全性がどうのと言われとる時代に、軽快なクーペが開発できる訳ないじゃろう。」

助手 「それもそうですね。」

所長 「じゃからダラダラとモデルチェンジを繰り返しても売れるクルマなんか出来っこないんじゃ。」

助手 「・・・。」

所長 「・・・それでしばらくの間、市場からクーペをなくして市場を渇望させるんじゃ。そうすると新たな需要が生まれるかもしれん。ユーノス・ロードスターが登場したころのオープンカー市場を思い出してみろ。」

助手 「確かにあの時は絶滅状態でしたし、すごく新鮮でしたね。みんな飛びつきましたよね。」

所長 「そうじゃろ。特にミニバンなんかのデカいのに乗っとる連中が、小さくて軽快に走るクルマが恋しくなって来てもおかしくないじゃろ。」

助手 「そうなったら理想的ですけど、一度楽な生活に馴染んだヒトが戻るのは難しい気がしますけど。」

所長 「じゃが、ミニバンの機能を使いこなしとるヤツがどれだけおるんじゃ。実際使っとるのってクーペでも十分こと足りるモンだけじゃろ。」

助手 「それは言えてますね。」

所長 「それに時代的に恐竜のようなデカいクルマが生き残れる土壌なんてないじゃろ。この先自動車が生き残ろうと思うと小さく軽くならざるを得んのじゃ。そのことに気が付いたモンが徐々に小さいクルマに移行していくように思うんじゃ。」

助手 「でもそうなると軽自動車やコンパクトカーで十分な気がしますが。」

所長 「確かにそうなんじゃが、制約だらけで横一線の軽自動車じゃ満足出来ないヤツも多いじゃろう。特にクルマに興味のない若モンでも、ことデザインに関してはうるさいモンじゃからな。」

助手 「と言うことは決め手はデザインですか。」

所長 「当然じゃ。昔みたいにメーカーごとに性能に差があれば、エンジンがどうの、足回りがどうの、という選択肢もあったんじゃが、今の時代どこのメーカーでも大差はないじゃろう。となると何で選ぶかと言うとブランドとデザインしかないんじゃ。」

助手 「そうなれば、デザイン面で有利なクーペが活きてくる訳ですね。」

所長 「そういうことじゃ。お前も言っとったように、今のセリカやインテグラのデザインでは、クーペの良さが全然生かされとると言えんじゃろう。」

助手 「じゃあ、どんなクルマがいいんですか。」

所長 「そうじゃな。今のブランドで統一したイメージでは、新鮮味に欠けるじゃろ。思い切ってピニンファリーナやイタルデザインなんかのイタリアのカロッツェリアに全面的に任せるのなんか面白いんじゃないか。連中も久しく請け負ってない得意分野の仕事じゃから張りきるじゃろうし。」

助手 「なかなか面白そうですね。」

所長 「サイズは今よりもふたまわりほど小さくして、そうじゃなデカくても4m未満じゃ。車重も1トンを切らんと話しにならんな。そうすれば、環境に配慮したしょぼいエンジンでも走らせて楽しいクルマになるじゃろうし、燃費もいいじゃろう。あと、ハッチバック・クーペなんて中途半端に便利なモンはやめてじゃな、トランクが独立しとるノッチバック・クーペがいいな。70年代まであった2ドアセダンなんかも面白いかもしれん。」

助手 「なんか所長の好みが思いっきり反映されてる気がしますけど、確かにいいですよねそういうクルマって。今すぐ出しても案外ウケるんじゃないですか。」

所長 「もっとユーザーを飢えさせてからでないとダメじゃ。そのときにセリカやインテグラとして復活させるか、全く新しいコンセプトのクルマとして登場させるかしたら、さぞかしインパクトがあるじゃろう。」

助手 「どちらにしてもしばらくは、おあずけですね。」


参考資料
トヨタ・セリカ(GAZOO.com トヨタ自動車株式会社)
ホンダ・インテグラ(本田技研工業株式会社)


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