助手 「ダイハツのムーブですけど、随分と変わりましたね。」
所長 「そうじゃな、ワゴンＲのカタチからようやく離れたようじゃな。」
助手 「これってどうなんでしょうね。いい方に転ぶでしょうか。」
所長 「うーん、何とも言えんが、お客にはさほど関係ないのかもしれんのぉ。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「ムーブってもう十分名前で売れる存在になっとるし、ダイハツにしても基幹車種として販売に力を入れるじゃろうから、カタチやデザインが少々変わっても影響は少ないと思うんじゃ。」
助手 「でもライバルのワゴンＲは依然ボクシーなスタイルで、販売台数の不動のトップに君臨してるわけでしょ、その対抗馬としてのムーブの位置付けが変わってしまうんじゃないかと思うんですが。」
所長 「正直言って今のワゴンＲって、ワシはそんなにいいは思えんのじゃ。」
助手 「確かに３代目になってから、雑誌なんかの評価でも先代ムーブの方が高かったですよね。」
所長 「じゃがそれでも販売面では伸びとるところを見ると、ワゴンＲの名前というかブランド力とじゃな、あとは販売力で売れとるんじゃと思うんじゃ。」
助手 「そうですか。でもやっぱりデザインは大事だと思うんですけどね。」
所長 「もちろんデザインも重要な要素のひとつじゃけど、それよりも手堅い買い物がどうかが大事なんじゃと思うんじゃ。」
助手 「手堅い買い物ですか。」
所長 「そうじゃ、ワゴンＲじゃったらずっと売れ続けとるし、リセールバリューも高そうじゃし、買って間違いないというイメージじゃ。」
助手 「そんな理由で売れてるんですか。国内で一番売れてるクルマが。」
所長 「例えば電化製品なんか買うときを考えてみろ。オーディオやパソコンなんかの趣味の対象になるモンじゃなくって、冷蔵庫や洗濯機のようないわゆる白物家電と呼ばれとるようなモンを買うときにじゃな、よっぽどのマニアじゃない限りスペックを比較したりせんじゃろ。」
助手 「そうですね、必要な機能が付いてればそれでいいですよね。でもデザインは重要でしょ。」
所長 「もちろん重要じゃ。じゃがそれほど興味のない商品じゃったら、どれもこれもおんなじような格好に見えるんじゃないか。」
助手 「外国製品だったらカッコいいのはありますけどね。」
所長 「確かに見た目重視で外国製品を買うお客もいるじゃろうけど、よっぽどデザインにこだわるモンぐらいの少数派じゃ。なぜなら値段が全然違うからじゃ、そもそもカテゴリーが違うんじゃ。」
助手 「確かにそうですね。どっちかと言うと家電と言うよりもインテリアですよね。ボクもカッコいいのはわかってても値段で妥協してしまいますね。」
所長 「で、何で選ぶかというとまず価格じゃろ。機能とデザインが同等なら少しでも安いモンの方がいいじゃろ。」
助手 「そうですね。」
所長 「じゃがいくら安くても聞いたことのないメーカーじゃったり、販売店のプライベートブランドだったりしたら躊躇することもあるじゃろ。」
助手 「そうですね。実際買って保証期間が終わった途端に壊れたこともありますし。」
所長 「典型的な安物買いの金失いじゃな。まあ、そういう経験を積むと二度とおんなじ過ちを繰り返さんモンじゃ。」
助手 「身にしみました。」
所長 「あとあとのことを考えると少々高くても一流メーカーの方がやっぱり安心じゃろ。それもたくさん売れとるモンの方が心強いじゃろ。」
助手 「そうですね。自分よりも詳しいヒトたちが買ってるのかもしれませんし、もし壊れたとしても自分だけが貧乏くじを引いたわけじゃないですしね。」
所長 「そう考えとるモンが世間には多いと思うんじゃ。」
助手 「大抵のヒトがそうじゃないですか。やっぱり高い買い物ですし、失敗したくはないですしね。」
所長 「それをそっくりクルマに置き換えるとどうなる。」
助手 「えっ、・・・。」
所長 「さっきのワゴンＲの売れとる理由になるじゃろ。それが世間でよく聞くクルマの白物家電化なんじゃろ。」
助手 「そんなことないでしょ。確かに洗濯機や掃除機なんかは、みんなおんなじようなのばっかりですけど、クルマってもっと個性があるでしょ。」
所長 「それはお前がクルマに興味を持って見とるからじゃ。興味がないモンからすると、カタチの違いなんて些細なことなのかもしれん。」
助手 「でも、でもですよ、掃除機や扇風機は家の中で使うモノじゃないですか。つまりヒトに見られることを意識しないでいいモノなんですよ。でもクルマはヒトに見られるモノですし、乗ってるクルマは言わば外見なんだと思うんですよ。だから髪型とか服装なんかを気にするのとおんなじだと思うんですけど。」
所長 「ワシもそう思う。」
助手 「えっ。」
所長 「かつてはみぃんなそう思っとったんじゃ。じゃが今はどんどん薄れていっとるように見えるんじゃ。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「ひとつはクルマ自体の完成度が高まってじゃな、どれを選んでも差が少なくなってしまったからじゃ。あとはクルマを持つことが当たり前のこととなったせいで、クルマに対する位置付けが低くなったんじゃろうな。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「じゃからワゴンＲにしてもムーブにしても、一流メーカーのトップ製品というブランドが出来上がっとるから、よっぽどひどい失敗をせん限り売れるんじゃ。しかも今は軽自動車に注目が集まっとるからなおさらじゃ。」
助手 「じゃあ雑誌なんかで今度のムーブはワゴンＲと比べてどうのっていうのは、意味がないんですか。」
所長 「そんなことはないぞ。クルマに興味を持っとるモンにはやっぱり気になることがらじゃし、興味のないモンでもいざ買うとなったら参考書代わりに読むこともあるじゃろうしな。」
助手 「そうですか。」
所長 「ま、それだけ日本の市場も変わってきたということじゃ。」
助手 「・・・、ところで肝心のムーブですけど、どうですか。」
所長 「うん、とってもいいと思うぞ。先代もよかったけど今度のは軽自動車の限界を押し広げる素晴らしい出来栄えじゃ。ホイールベースや室内長の拡大なんてどこにそんなスペースがあったのか不思議なぐらいじゃ。」
助手 「えらい褒めようですね。」
所長 「デザインも含めてどこにも弱点は見当たらんわ。これを基準にして次のワゴンＲを開発するのはさぞかし大変じゃろうと同情したくなるわ。」
助手 「所長がそこまで褒めるのなんて珍しいですね。」
所長 「じゃがムーブを購入する大半のお客には関係ないのかもしれんがのぉ。ま、新鮮味が評価されるじゃろうけど、その程度じゃろ。」
助手 「・・・そ、そうですか。」
参考資料
ダイハツ・ムーヴ（ダイハツ工業株式会社）
スズキ・ワゴンＲ（スズキ株式会社）
Ｙａｈｏｏ！グループ 轟クルマ文化研究所
所長 「そうじゃな、ワゴンＲのカタチからようやく離れたようじゃな。」
助手 「これってどうなんでしょうね。いい方に転ぶでしょうか。」
所長 「うーん、何とも言えんが、お客にはさほど関係ないのかもしれんのぉ。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「ムーブってもう十分名前で売れる存在になっとるし、ダイハツにしても基幹車種として販売に力を入れるじゃろうから、カタチやデザインが少々変わっても影響は少ないと思うんじゃ。」
助手 「でもライバルのワゴンＲは依然ボクシーなスタイルで、販売台数の不動のトップに君臨してるわけでしょ、その対抗馬としてのムーブの位置付けが変わってしまうんじゃないかと思うんですが。」
所長 「正直言って今のワゴンＲって、ワシはそんなにいいは思えんのじゃ。」
助手 「確かに３代目になってから、雑誌なんかの評価でも先代ムーブの方が高かったですよね。」
所長 「じゃがそれでも販売面では伸びとるところを見ると、ワゴンＲの名前というかブランド力とじゃな、あとは販売力で売れとるんじゃと思うんじゃ。」
助手 「そうですか。でもやっぱりデザインは大事だと思うんですけどね。」
所長 「もちろんデザインも重要な要素のひとつじゃけど、それよりも手堅い買い物がどうかが大事なんじゃと思うんじゃ。」
助手 「手堅い買い物ですか。」
所長 「そうじゃ、ワゴンＲじゃったらずっと売れ続けとるし、リセールバリューも高そうじゃし、買って間違いないというイメージじゃ。」
助手 「そんな理由で売れてるんですか。国内で一番売れてるクルマが。」
所長 「例えば電化製品なんか買うときを考えてみろ。オーディオやパソコンなんかの趣味の対象になるモンじゃなくって、冷蔵庫や洗濯機のようないわゆる白物家電と呼ばれとるようなモンを買うときにじゃな、よっぽどのマニアじゃない限りスペックを比較したりせんじゃろ。」
助手 「そうですね、必要な機能が付いてればそれでいいですよね。でもデザインは重要でしょ。」
所長 「もちろん重要じゃ。じゃがそれほど興味のない商品じゃったら、どれもこれもおんなじような格好に見えるんじゃないか。」
助手 「外国製品だったらカッコいいのはありますけどね。」
所長 「確かに見た目重視で外国製品を買うお客もいるじゃろうけど、よっぽどデザインにこだわるモンぐらいの少数派じゃ。なぜなら値段が全然違うからじゃ、そもそもカテゴリーが違うんじゃ。」
助手 「確かにそうですね。どっちかと言うと家電と言うよりもインテリアですよね。ボクもカッコいいのはわかってても値段で妥協してしまいますね。」
所長 「で、何で選ぶかというとまず価格じゃろ。機能とデザインが同等なら少しでも安いモンの方がいいじゃろ。」
助手 「そうですね。」
所長 「じゃがいくら安くても聞いたことのないメーカーじゃったり、販売店のプライベートブランドだったりしたら躊躇することもあるじゃろ。」
助手 「そうですね。実際買って保証期間が終わった途端に壊れたこともありますし。」
所長 「典型的な安物買いの金失いじゃな。まあ、そういう経験を積むと二度とおんなじ過ちを繰り返さんモンじゃ。」
助手 「身にしみました。」
所長 「あとあとのことを考えると少々高くても一流メーカーの方がやっぱり安心じゃろ。それもたくさん売れとるモンの方が心強いじゃろ。」
助手 「そうですね。自分よりも詳しいヒトたちが買ってるのかもしれませんし、もし壊れたとしても自分だけが貧乏くじを引いたわけじゃないですしね。」
所長 「そう考えとるモンが世間には多いと思うんじゃ。」
助手 「大抵のヒトがそうじゃないですか。やっぱり高い買い物ですし、失敗したくはないですしね。」
所長 「それをそっくりクルマに置き換えるとどうなる。」
助手 「えっ、・・・。」
所長 「さっきのワゴンＲの売れとる理由になるじゃろ。それが世間でよく聞くクルマの白物家電化なんじゃろ。」
助手 「そんなことないでしょ。確かに洗濯機や掃除機なんかは、みんなおんなじようなのばっかりですけど、クルマってもっと個性があるでしょ。」
所長 「それはお前がクルマに興味を持って見とるからじゃ。興味がないモンからすると、カタチの違いなんて些細なことなのかもしれん。」
助手 「でも、でもですよ、掃除機や扇風機は家の中で使うモノじゃないですか。つまりヒトに見られることを意識しないでいいモノなんですよ。でもクルマはヒトに見られるモノですし、乗ってるクルマは言わば外見なんだと思うんですよ。だから髪型とか服装なんかを気にするのとおんなじだと思うんですけど。」
所長 「ワシもそう思う。」
助手 「えっ。」
所長 「かつてはみぃんなそう思っとったんじゃ。じゃが今はどんどん薄れていっとるように見えるんじゃ。」
助手 「どうしてですか。」
所長 「ひとつはクルマ自体の完成度が高まってじゃな、どれを選んでも差が少なくなってしまったからじゃ。あとはクルマを持つことが当たり前のこととなったせいで、クルマに対する位置付けが低くなったんじゃろうな。」
助手 「そうなんですか。」
所長 「じゃからワゴンＲにしてもムーブにしても、一流メーカーのトップ製品というブランドが出来上がっとるから、よっぽどひどい失敗をせん限り売れるんじゃ。しかも今は軽自動車に注目が集まっとるからなおさらじゃ。」
助手 「じゃあ雑誌なんかで今度のムーブはワゴンＲと比べてどうのっていうのは、意味がないんですか。」
所長 「そんなことはないぞ。クルマに興味を持っとるモンにはやっぱり気になることがらじゃし、興味のないモンでもいざ買うとなったら参考書代わりに読むこともあるじゃろうしな。」
助手 「そうですか。」
所長 「ま、それだけ日本の市場も変わってきたということじゃ。」
助手 「・・・、ところで肝心のムーブですけど、どうですか。」
所長 「うん、とってもいいと思うぞ。先代もよかったけど今度のは軽自動車の限界を押し広げる素晴らしい出来栄えじゃ。ホイールベースや室内長の拡大なんてどこにそんなスペースがあったのか不思議なぐらいじゃ。」
助手 「えらい褒めようですね。」
所長 「デザインも含めてどこにも弱点は見当たらんわ。これを基準にして次のワゴンＲを開発するのはさぞかし大変じゃろうと同情したくなるわ。」
助手 「所長がそこまで褒めるのなんて珍しいですね。」
所長 「じゃがムーブを購入する大半のお客には関係ないのかもしれんがのぉ。ま、新鮮味が評価されるじゃろうけど、その程度じゃろ。」
助手 「・・・そ、そうですか。」
参考資料
ダイハツ・ムーヴ（ダイハツ工業株式会社）
スズキ・ワゴンＲ（スズキ株式会社）
Ｙａｈｏｏ！グループ 轟クルマ文化研究所
実際とはちがうこと
ムーブじゃなくって、タント・エグゼのCMですよね。
西郷さんの銅像、確かにあれは酷いですね。
鹿児島生まれの方なら憤慨されるのも解かる気がします。