TOBA-BLOG 別館

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オリジナル水辺ノ世界の作品を掲載

「ヨーナとソウシ」1

2016年09月27日 | T.B.1998年


「ようこそ、谷一族の村へ」

ヨーナは旅人を出迎える。

湖を囲む八つの一族。
谷一族は湖から少し離れた
谷間に暮らしている。

正確にはその谷の
岩肌を削った洞窟に集落を作っている。

「私たち谷一族は坑道から採石を行い
 それを主な収入源として暮らしています。
 鉱物を加工して売る産業も栄えています」

ヨーナは腕や首に付けられた
淡い色の鉱石から出来た
飾りを見せる。

「これはお守りとして、
 一族の者なら身につけている物。
 ちなみに、観光客向けの物は
 もっとキレイな細工がされていて、女性には特に喜ばれます。
 お土産にどうぞ」

「お上手だ」
「そう言われたら買って帰らないわけにはなぁ」

「さぁ、どうぞ。
 村で唯一の宿屋へご案内します」

谷一族は主に白色と茶色の
2種の髪色と目色を持つ。
ヨーナは白色系の灰色の髪。
一族の黒い衣装に良く映えるその色をとても気に入っている。

「ところで、
 谷一族はみんな額に模様があるんだね」

旅人の問いかけに
そうですよ、と
ヨーナは返す。

「谷一族の主な外見的特徴は額の丸い入れ墨。
 これは我々の祖先が三つ目であったという事に由来しています」

「三つ目ね」
「本当に居たのか」

まさか、と
ヨーナは笑う。

「あくまで言い伝えですよ。
 おかしいですよね」

洞窟の中にある
谷一族の村は
いつも照明が灯されている。

鉱石を掘る。

そんな用途から
谷一族では光を灯す
光源魔法が発達している。

「昼間のようだね」

「洞窟の外の明るさに合わせて
 夜は少し明るさを落とすんですよ」

さぁ、どうぞ、と
村の中心に位置する宿屋の入り口で
ヨーナは立ち止まる。

「どうぞ、我が家へ」



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