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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」50

2014年02月14日 | 物語「水辺ノ夢」
初めて動く獲物を見た圭は
身を震わせる。
透の言葉からすると、予想より大きな獲物らしい。
広司と無言で合図を交わして沢子がボウガンを持ち上げる。
続かなければ、と圭も慌てて構える。

獲物はしばらく辺りを見回していたが、
川の水を飲もうと、動きを止めかがみ込む。

自分の位置からは狙いにくい、と、
圭は続く岩場を横に移動する。
真横に行けば少しは狙いやすくなる。

「圭、そっちはダメだ!!風上になる!!」

透の声が響くより早く、獲物が圭を見つける。
しまった、と思った時には飛びかかってくる。
ボウガンを撃つが、当たりが浅い。
まずい、と思わず動きを止めてしまった圭に広司が叫ぶ。

「避けろ!!」

間近に迫っていた獲物に背を向けないよう後ろに下がる。
そこに、沢子がボウガンから放った矢が打ち込まれ、
獲物の動きをひるませる。

距離を取った圭が見上げると
タイミングを合わせて広司と透が獲物に飛びかかっていた。

「圭、大丈夫!?」
いつの間に近くに来たのか、沢子がそばに立っている。
息苦しい、と圭は思わず座り込む。
「先走った。……ごめん」
ボウガンと視線の先を獲物に向けたまま沢子が言う。
「そんな事より、腕は大丈夫なの!?」
「え?」
言われて自分に視線を向けると、
右腕から血が出ている。必死で気が付かなかったが
避けた時に間に合いきれず、牙にでもかすってしまったのだろう。
「あ、やった!!倒したわ!!」
圭にも倒れ込む獲物が見えた。

「…………やった、のか」

そこで圭の景色が反転した。


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