築地魚河岸

2016-10-14 23:45:29 | 日記
莫大な建設費や地下空間など豊洲市場の移転が問題となっているが、築地の場外市場は移転せずに、そのまま残るらしい。衛生的な問題があって移転する必要があるのは仲卸の卸売市場だけで、場外市場には問題がないからだが、築地としては卸売市場に移転されてしまえば、移転先から材料を仕入れなければならなくなるので、結果的に日本橋や銀座と変わらなくなってしまう。卸売市場があっての築地ブランドだからだ。従って築地ブランドを守るためには、仮に移設した上で築地の跡地を整備して、また戻って来てもらいたい、というのが本音となるだろう。江戸時代には魚河岸は日本橋にあった。東海道の起点である日本橋から川沿いに魚河岸が軒を並べていた。築地に移転したのは、関東大震災の後だった。この時、青果など他の卸売市場も一緒に移転して来たのだから、築地は正確には中央卸売市場ということになる。しかし魚河岸が移転したことも確かなので築地の魚河岸と呼ばれている。築地が手放したくないのは、新鮮な魚介類を提供してくれる魚河岸だろう。最悪なら、他の卸売市場は移転してしまっても困らないという話になる。従って、魚河岸以外の卸売市場だけ仮に移転してくれれば、その跡地に魚河岸の施設を建設することが出来るわけだ。築地の衛生的な問題というのは、土壌が汚染されているということではなく、冷凍庫がないから魚が常温で保存されていること、世界の市場が屋内が一般的なのに、築地は屋外であること、そして敷地が手狭なことが移転先を探している原因として挙げられているのだが、他の市場の跡地に冷凍庫のある建物を建て、狭ければ上に拡張することも可能だろう。そして完成すれば、そこへ今の魚河岸が移転して、前の魚河岸の跡地に他の市場が戻って来るなり、飲食店にするなり、魚河岸を拡張するなりすればいい、ということになる。この仮移転先も、豊洲であれば地下空間は盛り土で埋めてしまって、完全に安全な検査結果が出てから、ということになるだろう。豊洲市場の建設費用や、オリンピックの開催費用が嵩んでいるのだが、ロサンゼルスオリンピックは税金を1セントも使わずに開催した。テレビの放映権や大企業をスポンサーにして、設備も既存の体育館を利用するなどの努力をした結果だが、会場の入場料などで結果的には黒字となり、ロサンゼルス市内にスポーツ振興のための設備を造る資金に回したという。このようなロサンゼルス方式が、その後オリンピックのスタンダードとならなかったことには驚かされる。野球場やF1レースの車体などに宣伝をつけるスポンサー費用で球場やレースチームは運営されている。そうした利益の還元がなければ前へ進めないのが民間だ。新宿に庁舎を作って都庁が移転したのは記憶に新しいが、後生に残す借金は決してレガシーとは呼べないだろう。