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セルバンテス

2016-09-15 15:36:11 | 日記
「ドンキホーテ」を書いたセルバンテスは当初、劇作家を目指して数篇、自作が劇場で上演されたのだが、それと時を同じくして、彗星の如く現れたのが新鋭のロペ・デ・ベガだった。彼は一躍、劇壇の寵児となるのだが、その人気に押し出されるようにして、セルバンテスは劇作を断念せざるを得なかった。その後、ロペは略奪、駆け落ちと女性関係でのゴシップの話題には事欠かず、終には逃げるようにスペイン無敵艦隊に身を投じることになる。この頃セルバンテスは、無敵艦隊の食糧として小麦を調達する役人となり、スペインの地方を駈けずり回っていた。そして結局は、この時の厳しい取り立てを地方の議会から訴えられて、牢獄へ入れられてしまう。この牢獄の中、及び出所後に書き進められたのが「ドンキホーテ」だった。出版されるや大ヒットの記録を達成するが、セルバンテス自身は本作を単なる滑稽な通俗小説としてしか考えていなかったようだ。セルバンテスとロぺ・デ・ベガは、生涯を通じてのライバルであったが、シルバ学会という文学サークルでは、眼鏡を貸し借りするような間柄だった。このコミュニティ・サークルには、スペインにおける多数の名のある作家が参加し、自身の新作を見せ合い、批評し合っていた。セルバンテスも、ロペの新作を出版前に読んで批判したことがあった。セルバンテスは自身、「ドンキホーテ」には文学的な価値を認めてはいなかったため、「続篇」の執筆は遅々として進まなかった。健康的にも思わしくなく、死の影が忍び寄りつつあることは端から見ても明らかだった。そんな時に、「贋作ドンキホーテ」が出版されたのである。セルバンテスは、このアベリャネーダを名乗る人物が書いた贋作の出版に激昂し、猛スピードで「ドンキホーテ」の「続篇」を書き上げることになる。死の前年のことだった。この「贋作ドンキホーテ」が出版されていなければ、「ドンキホーテ」の「続篇」は、この世に日の目を見ることがなかった。
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