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日常と好きなものと母の自宅介護の極私的記録

ドヤ顔のソユーズ

2015-10-02 00:12:56 | バイコヌール 旅行
【バイコヌール 珍道中 (30)】



闇の中に
おぼろげに照らされた一本の矢。
「あれか!?…まじで?」
ち、近い!!!


バスに揺られて、ものの5分。
到着したのは
発射台から
目と鼻の距離。
悠然と照らし出されたソユーズ。

降りると小走りになる御一行に
遅れまいと必死についていきました。

最前列の柵の向こうには
砂漠。
その先に待つソユーズ。
やっぱり近すぎる。
こんなに?
マジで?
これ、現実?




種子島やフロリダの観覧席は、
発射台から6km程離れていて、
ロケットは豆粒大のサイズでしか見えないそうです。

バイコヌールだけは
観覧席との距離が1.4km。
マ、マジだったーw
そりゃ近いわけだ。


つい2日前に、
目の前を通りすぎたソユーズは、
頑丈だけど、細く小さいという印象。
でも今は、ムチャクチャでかく見える。
オーラ半端ないw
燃料が入って、
はじめてロケットは、生き物となる、、、
って話を実感。
彼女は、煙を吐きながら
その時が来るのを静かに
じっと待っていました。


焦りながら、こちらも準備を開始。
打ち上げをこの目で見たい。
しかし写真もできれば残したいと考えた結果、
考案した苦肉の策。

この日の為だけに持参した「三脚」にカメラを載せ、
レリーズ(外付けのシャッターボタン)を持って
ボタンを押し続ける。
打ち上げの際、カメラは一切覗かない。
事前にマニュアルで露出とピントを固定。
写真が撮れるかは博打。


打ち上げ前のソユーズを激写してから
何度も何度も設定が間違っていないか確認。
旅の直前に友人に確認した事柄を復唱。
大丈夫。大丈夫。
友人の口調を真似てみる。

コンタクトしとる上に
さらに近視用のメガネをかけて
ソユーズを凝視。
よく見える。


気持ちを落ち着けようと深呼吸。
逆に高まる鼓動。
そりゃそうだ、落ち着けったって無理な話。


あっという間に打ち上げの時間。
頭の理解を超え
五感で体感した
閃光と爆音。

無事、ソユーズは旅立ちました。
(その時の模様を書いた駄文はコチラ










人間の業など見えていないかのように、
迷いなく、綺麗にあがっていきます。
重力を振り払い、
すまし顔、否、ドヤ顔で、
真っ直ぐ上っていく。
えげつない美しさ。
ともすれば忘れてしまうくらい
あっけなく、そして圧倒的。

カックイイ!

雲ひとつない空に
ソユーズの軌跡が、ずっと見えてました。
夜の打ち上げならでは…だそうです。

軌道を回るので
天に昇っていくだけじゃないのが印象的。
上に昇っていく~、、、と思ったら、
やがて地平線に向けて
落っこちてきます。
科学って不思議w
面白い。




終わってからもその場を離れたくなくて、
できるだけゆっくり歩き
何度も何度も振り返りました。
不審者ばりにw



菊地さんが、
お世話になった、今も現役の
バイコヌールのお医者さんを見つけて
ぴょんぴょん飛び跳ねて、手を振ってました。
無茶苦茶可愛かったッス。


揺られて帰るバスの中、
ロシアの観光客はウォッカを喰らって大合唱。
日本人御一行も整理しきれない感情を、
なんとか言葉にしようと饒舌に。
皆の表情が一番物語っていたのかもしれません。
満面の笑み。



ここではないどこかへ。
私にとっては非日常。
けれど飛行士や作業員にとっては
新たな日常のはじまり。
ここではないどこかじゃなく、
行った先には現実があり、営みがある。
そうか自分にとってもこれは現実。

ものすごく幸せな一瞬でした。
本当にありがたや!



次回へつづく。


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