カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

ピッツェリア・イル・ピッコリーノ

2013年08月04日 | 京都
「ナヴォーナ広場の、思い出。」

京都から丹波に至る道中、洛西の国道から少し外れた老ノ坂の麓、其の目立たない立地にある、一般的な建売住宅を改装したのであろう其の建物は、其れでも其の大きな窯と積み上げられた薪のあるお陰で、目指すピザ屋に相違ないと一見してわかるのではあるけれど、飲食店としては少なからず異形である。

少し離れた場所に点在する駐車場は意外にいっぱいで、案内された店内にはテーブル席が三分の一ほどと、如何にも一般的な住宅における座敷の風情そのままである席が其の残り、そして其の全てがお喋りに夢中の女性客でおよそ埋め尽くされ、空間は耳鳴りのするような喧騒に満ちている、座敷であるということが其の過剰な寛ぎを助長している、其れは否めない事実であろう。

そのような状況からして、もしかすると、やっつけ仕事、流れ作業であるかのような料理が提供されることになるのではないかと少々落ち着かない心持ちを抱いていたのが正直なところではあるけれど、其れはまったくの杞憂であって、実際には其のようなことなどまったくない、最上級と思える有名店のピザと比較してすら何の遜色もない旨いピザが、然程待たされることもなく提供され、だが、其のピザ以上に強く印象付けられたのは、個性的と言っていい其のパスタであった。

あまり味わう機会のない、太めながらも硬く茹で上がられた其のパスタ、其れは、かつてローマのナヴォーナ広場沿いにあったオープン・テラスで、片言の英語しか理解出来ない者が、何故こんなところで食事しようというのかと、給仕のイタリア女性にとことん無視されつつ、忘れられないある種の心象、其の辛酸と共に戴いた、あの驚きのパスタを思い起こさせるものだった。

其の帰国以来、其のような類のパスタには何れの料理店でも出会うことはなく、だが今、此処で、既にどの国の言葉とも判別しかねる喧騒の中、やはり此の国のイタリアンというのは、此の国に棲む人々の口に合わせてある、其れを当然のこととして、納得するでもなく受け入れていた自分に、ふと気付かされたのだった。

ピッツェリアイルピッコリーノピザ / 上桂駅松尾駅

昼総合点★★★★ 4.0



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