「東京島」「ホタルのヒカリ2」「LADY~」。最近の木村多江さんの出演作を見ていると、多江さん、だいじょうぶかなとつい言いたくなってしまう。なにか演技の方向が定まらず、迷いや空回りが感じられることが多いからだ。本来、そのような演技をする人ではないはずだ。
「ゼロの焦点」「不毛地帯」「国選弁護人」などで見せた定番の役柄では、さすがに安定感があるが、それでも従来の演技を大きく抜けてはいない。
これを監督や演出家、脚本家など、スタッフのせいにすることもできるだろう。たしかに演出や脚本には、首をかしげるものもないではない。だが、それを選んだのはあくまでも多江さん自身である。
本人にもかえりみるべき点はないだろうか。
日本アカデミー賞最優秀主演女優のお墨付きをえた多江さんはランクも上がり、周囲からなにかとお膳立てされるようになったはずだ。それに乗っかっているうちに、かつての名演を支えていたものが、少しずつ狂い始めたのではないか。
女優は女優のみにて存在するにあらず。木村多江の数々の名演は、多くの勝れたスタッフとの協同作業によってはじめて生まれたものである。逆に志の低い連中に囲まれていると、名女優ももてる力を充分に発揮できなくなる。名演を可能にしてくれるスタッフを選ぶのも、女優の仕事のうちだろう。
演技に対してだれよりも真摯な多江さんのことだから、最近のズレにはもう気付いているはずだ。だからこその迷いや逡巡なのだろう。
人は頂点に達したと思った時に、落とし穴が待っている。多江さんの将来を考えれば、まだ女優歴の一合目にさしかかったばかりだ。こんなところで立ち止まらずに、世界的な名女優をめざしてさらに前進し続けてほしい。
「ゼロの焦点」「不毛地帯」「国選弁護人」などで見せた定番の役柄では、さすがに安定感があるが、それでも従来の演技を大きく抜けてはいない。
これを監督や演出家、脚本家など、スタッフのせいにすることもできるだろう。たしかに演出や脚本には、首をかしげるものもないではない。だが、それを選んだのはあくまでも多江さん自身である。
本人にもかえりみるべき点はないだろうか。
日本アカデミー賞最優秀主演女優のお墨付きをえた多江さんはランクも上がり、周囲からなにかとお膳立てされるようになったはずだ。それに乗っかっているうちに、かつての名演を支えていたものが、少しずつ狂い始めたのではないか。
女優は女優のみにて存在するにあらず。木村多江の数々の名演は、多くの勝れたスタッフとの協同作業によってはじめて生まれたものである。逆に志の低い連中に囲まれていると、名女優ももてる力を充分に発揮できなくなる。名演を可能にしてくれるスタッフを選ぶのも、女優の仕事のうちだろう。
演技に対してだれよりも真摯な多江さんのことだから、最近のズレにはもう気付いているはずだ。だからこその迷いや逡巡なのだろう。
人は頂点に達したと思った時に、落とし穴が待っている。多江さんの将来を考えれば、まだ女優歴の一合目にさしかかったばかりだ。こんなところで立ち止まらずに、世界的な名女優をめざしてさらに前進し続けてほしい。