テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

唐沢俊一「新・UFO入門」でわかったこと(上)

2007-06-01 21:25:31 | Weblog
 唐沢俊一氏の新著「新・UFO入門」(幻冬舎新書)を読んでいたら、自分の名前が出てきてびっくりした。

「……この、”ニコラ・テスラに関する本を出版した”物書きというのは、おそらく新戸雅章氏であろう。彼は1995年にマガジンハウス社から出した『ニコラ・テスラ未来伝説』の中で、少女の誘いでCBAに入会させられそうになった顛末について語り……その後のCBAの活動を、オウム真理教事件の原型として位置づけている」

 これはUFOカルト団体CBAの活動を紹介した中の一節である。
 CBAは今から4、50年昔に活発な活動を展開していた「宇宙友好協会」の略称である。最初は科学的な研究団体として出発したが、松村雄亮というカリスマが指導するようになってから、しだい大洪水による地球の終末とUFOによる救済をうたうカルト団体へと変貌していった。それにつれて青少年への悪影響や献金騒ぎが取り沙汰され、マスコミにも大きく取り上げられた。(詳細はこちらから⇒「六〇年代のハルマゲドン」)。

 わたしは中学生のころ、この団体に傾倒する少女に誘われて観測会に一度参加したことがあり、その後、UFO関係の本をまとめて読んだ時期があった。
 ライターになってからそのことを思いだし、SFかミステリ小説のネタにでもならないかと思って調べたことがあった。オウム真理教事件のあと、その顛末がCBAと重なるところがあると思い、単行本やエッセーで言及した。
 もちろんCBAはオウムのような殺人集団ではない。しかし終末を中心にすえ、カリスマに率いられるカルトは多かれ少なかれ、似たような運命をたどって消えていく。そのようなカルトの消長の典型としてCBAを紹介したのだった。
 UFO研究家志水一夫氏によれば、CBAもカルトの宿命には逆らえず、70年代に解散したそうである。

 単行本を出した数年後、CBAの元幹部である楓月悠元(ふうげつゆうげん)氏が「全宇宙の真実、来たるべき時に向かって」(たま出版)という著書を刊行、その中で「最近、ニコラ・テスラの本を出した」人物を裏切り者として痛烈な批判を展開した。楓月氏は名指しこそしなかったが、それがわたしを指していることは明らかだった。
 楓月氏によれば、この元「CBA関係者=わたし」は、マスコミにCBAに関する悪辣なデマを流した。しかもその邪悪な行動ゆえに最高指導者の松村雄亮から叱責されたのを逆恨みし、ペンネームを変えてテスラの本を書き、出版物によって自己弁護をした。これは卑劣な行為であり、断じて許されないというのである。

「彼らはいったい、自分の行った反逆行為というものを反省することが出来ないのであろうか」「なんという卑劣な人間たちなのであろう」と。

 この批判は当時から目にしていた。すぐに裏切りだとか言いだすのはカルトの常だが、それほど深くCBAにかかわったおぼえもないので、だれかと混同されているらしいという違和感だけが残った。
 いわゆる「信者」のやっかいさはよく承知していたので、それ以上かかわりあいになるのをおそれ、楓月氏が混同した人物が誰かも考えずに放置した。そのうちに忘れてしまった。

 今回、唐沢氏の本を読んで楓月氏の批判に対する疑問がひとつ晴れた。彼の批判にはひとつ大きな勘違いがあったのである。その勘違いとは……。
 わたしのペンネームが、仏文学者平野威馬雄氏のもうひとつのペンネームである、という信じられない勘違いだった。(続く)


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