ソクラテスの結婚の勧め
昨晩のNHKのテレビで「九州沖縄未来語り」という番組を見た。
ガレッジセールの出演で最近の若者の恋愛観を取り上げた番組である。
例によって、若者の40%近くが結婚や恋愛に否定的か消極的な現実が取り上げられていた。
若者が異性との交際にさほど積極的になれない原因として、経済的な理由、異性との付き合いが煩わしい、自分の独自の生活パターンを崩したくない、束縛されない自分だけの時間が欲しい、結婚はコスパが悪いなど様々な理由が挙げられた。
こんな若者を総称して世間では、一般的に草食系男子(女子)と呼んでいるようである。
この草食系男子という言葉は、2006年に深澤真紀さんが日経ビジネスオンラインの「U35男子のマーケッティング図鑑」で最初に紹介した言葉だという。
結婚や恋愛に対して消極的な草食系男子に対し、肉食系男子は性欲も強く恋愛や結婚願望も強いという見立てである。
現実の自然界では食物連鎖の上位に君臨する、肉食動物よりもその餌食になる草食動物のほうが多産で生殖行動も活発のようである。
しかし、我々の印象はどうしても、虎やライオンなどの獰猛な肉食動物の方が生活力も性欲も強く、その餌食になる草食動物はか弱く、従って性欲も弱いだろう思ってしまう。
我々人間の短絡なイメージをそのまま、当てはめた概念が草食系対肉食系のマーケッティング的分類になったものだろうと思う。
ガレッジセールのまとめも、「それぞれの価値観は尊重するが、結婚は素晴らしいし、結婚して新たに見えてくることもあるのでもっと気楽に考えてほしい」旨のコメントもあった。
タイトルのソクラテスであるが、彼は「とにかく、結婚したまえ。良妻を持てば幸福になれるし、悪妻を持てば哲学者になれる」と言っている。
素晴らしいではないか、結婚すれば普通の幸せ者になれなくとも、哲学者になれるかもしれなのだから。
あるいは、「ある時は幸福者で、あるときは哲学者」にもなれるのかも知れないのである。
我々昭和世代の人間からすれば、草食系男子の存在はかなり理解もしがたいのだが、いつも思うのは彼らとて、好き好んで草食系になったのでなないのだろうと思っている。
難しいことはわからないが、人間には食欲や生存本能、性欲本能などの本能が備わっているがやはり、いの一番の優先課題は生存本能なのだろうと思う。
最小限のプライドを持って生きるために、生物本来の生殖本能さえも無意識に抑圧せざるを得ないのかも知れない。
今の若者が、草食系を演じざるを得ないのは、昨今の若者が生きづらい世の中の反映に思えてならない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます