蕎麦を打ち始めた13年くらい前、福岡に帰るたびに、「そばにあう柚子胡椒」を探した。
それこそ佐賀の祐徳稲荷さん界隈まで佐賀、いや探しにいった。
そして、ある小さな村の地産地消よろしく店で、「そばの味の邪魔をせず、蕎麦湯を入れた
時に幸せな香りがする」ものを見つけた。開店以来10年間、その柚子胡椒をつくるおばあちゃんに
頼んで作ってもらっている。寄る年波で、おばあちゃんの足腰が弱り、「今年で最後」になった。
先週最後の柚子胡椒が届いた。丁寧な手紙が5枚綴られていて、長いこと感謝の気持ちが込められて
いて、読んでいてジーンときた。最後の手紙に、そのレシピが添えられていた。昨年の晩秋あたりに、
今はなき「気骨の鮨職人」さんに教わっていたし、まわりに作り方を知っているのはあまたいるけど、
「こんなに手間をかけているんだ」という内容だった。来年は挑戦してみたい、と思う。
黙っていたら、消えていく技、みたいなものがいっぱい自然消滅していくような時代。なんでも
便利さ、とか安価を追求していった結果、毎日の生活がなんとなく「うるおい」みたいな豊かさに
かけるような時代になりさがってきた。けど、そろそろ振り子がふれて、もっと「ほんとうの豊かさ」
みたいなものが見直されてくるかもなんばん。
昨日、8人の若い建築家たちの普茶料理の会が終わり、「渡り舟」をカウンターで飲みながら
そんなことを思った。
今日はライブがあるので16時閉店。
ギターの井上智さんは、彼がまでニューヨークを中心に活躍するころから、何度か天真庵で
演奏してもらった。確か最後にきた時、近所に住んでいたジャズドラマーのセシル・モンロー
が遊びにきたので、5年以上前(2011年夏、セシルは旅立った)になる。久しぶりに彼のギター
と赤須翔くんのギターのセッションが楽しめる。立ち見寸前くらい人が集まる。感謝。
やぱり「ライブは最高」でっせ。