典虚てん手古舞

我が為の日々の記録! 74歳

ハシモトくんと地図帳の話

2012年08月29日 | 【時事雑感】イマドキ、世の中、この社会

 授業と時間のことを書いていましたら、ふっと、ハシモト君という生徒の忘れ物の話を思い出しました。ハイ、これは思い出話です。

 わたしの望むところは、チャイムが鳴った時点で、生徒は席に着き、教科書やノートを机の上に少なくとも置いている状態でした。

 私もチャイムが鳴り始めたときには、当然教室に入り、授業準備完了!黒板はきれいで、チョークの粉もない・・・。(荒れている学校でも、新一年生からならば可能)

 チャイムは、30秒・・・。

 秒針をみながら、鳴り終わった一瞬に、「起立」。最後の学校、そして最後の一年生のときは、ほぼ理想に近い状態・・・。いやいや、前の授業が体育だったりすると、送れますが、その数分ぶんは、延長する場合もありました。

 生徒たちの机の上には、本や教科書、そして地図帳が揃っているか? 少しうろつき、クラス毎のファイル、点検欄に記入することになりますが、忘れ物をしている生徒がいなけれぱ、費やす時間はわずかです。

 もちろん、忘れ物は、<評価>の対象ですよ。

 隣のクラスの友人から借りてきたとしても、そこは目をつむる・・・。奨励はしないけれど、ないまま平気というのよりは、ずっとマシ!

 ただしかし、「2度目までは許す」というルール、約束をしていまして、ガミガミは言わない・・・。

 忘れっぽい子もいるし、誰だってミスはあるからと、地図帳の場合は、「貸出」をしました。多い時で、5冊ぐらいは、自腹で購入して、教室を回遊?(※「貸出」に関しては、「学習権」の話をしています。)

 大概の生徒は、授業が終わったら返しに来ますが、たった一人だけ、いかがなものか?と悩んだ生徒がいます。そう、それがハシモト君。

 「もっと、よく探しなさい」を繰り返していたのですか、しばらくすると、授業が終わっても戻しに来なくなり、一体、どういうつもりか?担任に相談、経済状況も尋ねたはずです。

 私が怒鳴ったり、怒らない教師だったからでしょう。

 「成績」で生徒を脅さないをモットーにしてきましたから、怖くはないのかもね。しかし、どのように、評価(相対評価)を出すのかという方法については、具体的に折あれば、解説してきたし、数値化して、データーを作成・・・。

 さて、ハシモト君は、平気の平左です。周囲の生徒も知っているのに・・・。

 そこで私がとった方法は、「だんまり」作戦でした。

 やがて、学期末の懇談会。担任さんに、資料も渡し、テストの成績よりも明らかに下がっている<評価>をハシモト君に知ってもらいました。

 そして、本人には、叱られるから、怒られるから・・・行動する人間は最低やでと告げました。

 規則で厳して思い通りに、ひとを動かすということは、奴隷化です。

 上に従順な、使いやすい生徒にするには、怒鳴り散らし、屈辱を与え続ければ、彼の人間としての「自尊感情」は傷つき、崩れます。その結果は、無気力になる一方で、「他者」に対しても、精神的(言葉や視線)で、あるいは物理的に危害を加えることも平気になってしまう。

 今の時代は、すでに親の世代からして、可愛がられはしても、「尊ぶ」、尊ばれるということなしに育った人たちなのではないかしらね。(了)

 

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