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天道の真髄は如何に?

【代表民主制から自立型民主制へ】③

2021-02-21 20:33:26 | 直接民主制と経済の仕組み

 内閣法5条は、首相は内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出することを定めている。国会で可決、成立する案件の大半は内閣提出法案。2006年の第164通常国会では内閣提出91法案のうち、成立したのは82件だった。内閣提出法案も省庁が決めれば出せるというのではなく、自民党など与党の事前審査が終わらないと国会に提出できない。自民党の場合は政務調査会の関係部会・調査会で先ず議論し、総務会の了承も必要だ。特に税制改革では自民党税制調査会が強い発言権を持ち、党主導で決めている。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

  共通の目的を遂行するために組織される「結社」は、多人数の継続的な集合体。公事結社、政治結社、秘密結社等があり、憲法二一条は、集会の自由、表現の自由と並んで、「結社の自由」を保障している。亦、特定の目的で人為的に組織された社会集団をいう。例えば政党、会社、芸術団体、宗教団体などを指し、自然発生的な社会集団である「共同体」に対する。国民は自ら国民に成った自然発祥的集団で無く、人為的発生の集団である。 

「結社の自由]は、政党を公的政治集団とするものでは無く、結社を作る私的自由を認めただけのものである。

内閣に法律案の提出権は憲法で決められてなかったのには、訳がある。

第72条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

此処での「議案」の中に法案を含めてしまうのであるが、

第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

第73条で「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」とされているのは、行政権に属する内閣には、罰則決定権は認めて無いからである。

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 議院内閣制での政党政治はスムーズに政治を運用出来るという論拠で、
芦部『憲法[第3版]』264項によれば、「結社の自由を保障し議院内閣制を採用しているので、政党の存在を当然のこととして予想している」とされています。
 この記述からは議院内閣制を採用しているので政党は憲法上認められるという関係は直接読み取れない。
以下八幡製鉄事件最高裁判決(最大判S45.6.24)を引用。
「憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素なのである。そして同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であるから、政党のあり方如何は、国民としての重大な関心事でなければならない。」
「議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものというべき」という部分が芦部教授の記述と同旨。
このような議会制民主主義・議院内閣制との関係は、政党が他の結社と異なり、公的な性格や機能を有するという理解に繋がるものでは無い。「先付けの慣習?でそうしちゃっているから認めざるを得ない」等は全く法律論議も成り立た無い。

 「日本国憲法が議院内閣制を採用していることは、内閣の連帯責任(憲法66条3項)、内閣不信任決議権(69条)、国会による首相指名(67条)、首相および国務大臣の過半数は国会議員であること(67条・68条)から明らかとされます」(芦部『憲法』303頁)と迄は正しい。

 然し、「議院内閣制に於いて、内閣が安定して職務を執行して行くには、議会の過半数が一致団結して、首相を支えて行く必要があります。」というのは、「行政府の長を安定的に選出・維持する為に議会の中に其の支持勢力が制度的に必要となる。」との論旨を導くが、本末転倒なものである。政治は内閣の為に在らず。厭く迄、主権者たる国民に福利を享受させることを目的とするものである。政党は一定の政策目標や理念を掲げて政治に参画するのが目的の組織であっても、国民から信任を受けて権力を持たされるのは代表となる個々人であり、厭く迄行政府の長を支えるのも罷免するのも個々の代表達である。さすれば、其の代表者達が独自の政治理念で団結した政党と雖も、一定の政治理念を目的を持つものであれば、国会での論議も政党同士の政争に利用されるものとなる現実は、日々御覧の通りである。

次回は、自立民主制の概要を考える。

続 く


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