【ケインズの理論⑫】からの続きであると解しても貰いたい。
「ケインズ的所得決定理論」の初歩的説明によれば、総需要が均衡NNPを決定する。政府及び外国貿易を除外した経済を想定すると、総需要=消費需要+投資需要と成る。消費需要は国民所得NNPに依存する。消費需要と国民所得NNPの関係を一定と仮定すると、投資需要が国民所得NNPと雇用を決定する☞投資需要が低い時→国民所得NNPは低い水準に在り、逆も言える。
では、投資需要を決める(変動させる)のは何と何が在るのか?投資需要も一定では無く変化する。[投資需要を変化させる要因]には、何が在るかを此れから論じて行く。
自持ちの新築賃貸マンション経営への投資を大雑把に考えて見る。先ずマンション用地の所得とマンションの建物の新築には莫大な資金を要する。其の投資は賃貸した後の「将来の収益」を期待して投入される。然し、マンション用地を手に入れてマンションの建物を建築し賃貸し始めるるには、投資金投入時期より相当の時間が掛かり、貸し始めてから投資資金を回収出来る迄も相当の期間を要する。其の間の賃料の多寡や空室率の予測も建てなければ成らない。投資する人達は、そうした諸々の将来の予測収益を予想して投資をするか如何か、或いは投資額を決めるのである。
企業への投資家は、将来の投資費用以上の収益を期待して、無居間手持ちに在る資金を手放して、建物及び設備或いは在庫品を取得する。
上のマンションの投資の様に、投資は予想によって成される或る意味賭けである。例えば、小売業者が商品を仕入れるとき、其の商品に買い手が付くか、価格設定を幾らにすれば売れるかを確実に捉えて居らず、将来の其の商品に対する需要状況と将来価格付いての予測に基づき、其の商品の仕入れ価格を交渉して仕入れ値を決めるということが行われるのである。
此の様に、投資する対象に対する投資需要は、其の対象に対する消費需要等の「経済状況についての予想」に依存する。
では、其の予測を決めるのが如何なるものであろうかが分ら無ければ、投資需要を決めるものの説明としては不完全である。其の予測が経済の現状や動向から影響されるものだということは疑いを挟め無い。
例えば、国民所得が大の場合は、既存の資本ストックから与えられる利潤が大と成る傾向にあり、既存資本収益が有利で在れば、多くの人々に有利な収益が継続するものと予測され、追加資本増大の意欲を人々に湧かせることに成る。
投資需要と国民所得NNPとの関係は、此のシリーズで初めて導入される。始めに次の投資需要関数の考察を試みる。
投資需要ID=AID+mpi・ NNP
AID: 自生的投資需要、mpi: 限界投資性向
「NNPの増加は利潤を増加させ⇨投資需要を増加させる」と想定されて居るから、mpiは正である。
消費需要(CD)は、自生的消費需要(AC)に、国民所得NNPの限界消費性向(mpc)を加えたものであるとすると、
総需要(AD)=投資需要ID+消費需要CD
は次の様に示される。
総需要AD=総投資需要AID+自生的消費需要AC
+(mpi+mpc)NNP
均衡に於いてAD=NNPであるから、[総需要AD=総投資需要AID+自生消費需要AC+(mpi+mpc)NNP]のADをNNPに置き換えて、NNPを求めれば均衡値が求められる。
NNP=1/{1-(mpi+mpc)}(AID+AC)
自生的消費需要や自生的投資需要の1貨幣単位から生じる国民所得の変化は、最早、1/(1-限界消費性向)では無い。乗数は今や1/{1-(限界投資性向+限界消費性向)}である。限界貯蓄性向は「1- 限界消費性向」であることをを思い出すと、乗数を「限界貯蓄性向-限界投資性向」の逆数として表せる。
ex. 限界消費性向0.8、限界投資性向0.1→乗数=10⇨自生的投資需要か自生的消費需要かの孰れかが、100億$増加⇨均衡NNPを1,000億$増加させる。
つ づ く
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