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それでもボクはやってない

2007-02-01 | movie
映画の日ということもあり、仕事帰りに周防正行監督(なんと11年振り!)『それでもボクはやってない』を観る。
そりゃ『シコふんじゃった。』や『Shall we ダンス?』を撮った監督の作品だから、裁判や痴漢を題材にしているとはいえエンターテイメントに仕上げているのだろうと思って観にいった。結果、見事に、良い方にそれは裏切られた。
痴漢に間違われた男性が捕まり、起訴されて裁判にかけられる。そして、判決が言い渡される。その流れを淡々と、余計なもの全てをソリッドに削ぎ落として見せる手法は、下手をすると登場人物に背景がないとか、物語として奥深さがないとか言われかねない。
でも、今回の映画にそんなものはいらないのだ。非情なまでにリアルなこの物語には、ただただ周防正行の怒りが満ちている。その怒りを冷静な目線で描き出し、世界に提示する。彼ほどの監督だからこそそれは注目され、日本の裁判制度の滑稽さは世界に露呈される。それは監督の完全なる計算で、見事にそれは成功している。
人が人を裁くという、滑稽でさえある矛盾。ただ一人真実を知る者は裁かれる者で、真実を知らない者があれやこれやと推測し、真実を知る者を裁き、時に彼の人生をも奪う。
「だからといって、どうすれば良いのだろう。」世界中がそれを考えるためにこの映画はある。

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2 コメント

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Unknown (ryuu)
2007-02-03 00:24:07
>下手をすると登場人物に背景がないとか

主人公の余計な背景を描く必要性をなくすために、敢えてフリーターという立場にしたらしいよ。
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>ryuu (tell)
2007-02-03 22:55:24
なるほど。
やっぱり全ては監督の確信犯的演出だ。
すごい。
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