舞妓などを題材にした仲静の作品です。 昨日紹介した厳しい作品との落差に驚きます。
この頃の京都の画壇の一部に<デロリ>といわれる、妖しげで猥雑、土着的な匂いを持つ表現が流行っていた。 会場でも、甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)の作品も展示されていましたが、デロリの系統です。 デロリは岸田劉生の造語で、日本画の端正さとは正反対であるが、古来から日本の絵画に脈々と流れていたものです。
(稲垣仲静・稔次郎兄弟展のカタログからスキャニングしました)
仲静のデロリの典型が下の絵です。
<太夫> 大正10年頃(1921)
(稲垣仲静・稔次郎兄弟展のカタログからスキャニングしました)
一瞬、たじろぐような絵ですが、仲静の力量で、迫力ある芸術になっている。
次の弱法師、女童の絵はデロリではないものの、少し異様な日本画に感じます。
特に、女童は岸田劉生の「麗子」に通じるものを感じます。
(稲垣仲静・稔次郎兄弟展のカタログからスキャニングしました)
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