光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

現代美術画家 川田祐子 相模原時代の作品から

2014年02月23日 | アート 現代美術

「クインテット-五つ星の作家たち」展で川田祐子(祐は示編の字体)さんの作品に魅入られ

3回展示会に行き、最終日に再度、デジタル一眼で再撮影しました。

また、KANEKO ART TOKYOで開催(2/11~3/2)されている個展にも2回行き、その

感想も交えながら、川田作品の芸術と生き方について感想を述べたいと思います。

クインテット展では、相模原時代の作品と、2012年以降の長野時代の作品に分けて展示されていました。

展示については、川田さんご本人のブログで解説されていますので、是非そちらもどうぞ。

では相模原時代から

<TRANS-GREEN>

   驚きました。  スクラッチングとハッチング技法による絵画で、見れば見るほど、いろんな風に見えました。

見えるというよりも、自分の経験や想念が勝手にめぐっていきます。

 

 

 

クローズアップ撮影です。  スクラッチ(尖鋭な器具でアクリルガッシュで何層にも塗った生地を剥ぎ取る)と

極細の筆でハッチングを重ねていることがわかります。

 

 

さらに、画像を拡大します。  この状態(絵のミクロ部分)も一つのアートになっています。

宇宙線が飛び交うような飛跡と、グリーンの律動が絡み合う様は、生命のエネルギーのような厳かさを感じます。

 

 

 

続いて

<A THOUSAND OF WINDS >   東京国立近代美術館所蔵

 

 

クローズアップです。  これもアートになっています。

 

 

 

さらに拡大。   孔雀色に輝く畳目のハッチングを、豪雨のようなスクラッチがすり抜けていく

 

さらに拡大したミクロ画像の素晴らしさは、川田さんのWebサイトのMOVIE ”<A THOUSAND OF WINDS >マチエールの秘密” で確認できます。

 

そして<蓬莱(HORAI)>

 

どんな芸術作品も、写真にその素晴らしさは写しこめません。  特に川田作品はそうなのですが、この写真を見る限り、ある

程度、素晴らしさは伝えられていると思います。  それは鮮やかな色彩と、ディテールの文様の躍動感が、媒体を問わない

ほど強いからだと思います。

この作品は、現在、開催中の個展にも展示されています。  個人的に欲しいと思う作品ですが、SOLD OUTになってい

ました。

クローズアップ。

先に紹介した2作品とは少し違う、マチエールです。

 

  

 

<赫映(KAGUYA)>   この作品も強烈。

川田祐子公式サイトのTEXT「HATCHING=孵化/ほころぶ」を読むと

<蓬莱(HOURAI)>や<赫映(KAGUYA)>、<月華(TUKIHANA)>、<不二(FUJI)>は

『竹取物語』の中で拾い集めた言葉から、抽象的な概念を取り出して制作した連作とのこと。 

残念ながら、<月華(TUKIHANA)>は観れませんでしたが、この連作は、私から見ると傑作の連続です。

2009年、素晴らしい仕事・・・ではなく、素晴らしい芸術作品を孵化させました。 

 

 

クローズアップ。  ゴッホのタッチとマティスの色彩を重ねたような力強さを感じます。 ミクロ部分でこれだけのアートになるのなら

この部分を大作に描き直したら、どうなるのだろう?と勝手に思ってしまいます。

 

 

 

<不二(FUJI)>   不二は一転、青系で、湖底から天空を眺めたような気になります。

 

 

 クローズアップ撮影です。  

 

 

さらに拡大。  全ての作品にいえますが、拡大画面は、肉眼では確認しづらいと思います。  デジタルの写真だから、ここまで引き伸ばせて

マチエールがわかります。

 

 

 

 

<雪波(SNOW WAVE)>  これも大傑作。  後世に残る作品だと思います。

 

 

クローズアップ。

 

 

さらに拡大。

この作品では、スクラッチングとハッチングが重層的に施され、まるで礫岩の堆積層のようになっています。  そこに紅い断層が幾重にも走る・・・

といったイメージが浮かびます。

 

 

2009年の作品でドローイングも観てみましょう。  斜め上からの撮影で見づらいのはご容赦を。

生命体を擁した小惑星のイメージや、羊の頭部のようにも見えます。

 

 

クローズアップ。

 

クローズアップその2。

家々の群落を俯瞰したようなイメージが浮かびました。  ドローイングに立体感を感じるのは、こうしたマチエールも効いています。

 

総じて、相模原時代の作品は、私の感性に合います。  次回、紹介する長野時代の作品は

少しブルッとこないところがありますが、それは次回に。

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