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雑感録

福岡なるほどフシギ発見~その6~ まともな古墳を求めて西へ

 
田舎だから潰されなかった?
西に広がる古墳銀座。

井原(いわら)1号墳(前原市指定史跡)
4世紀頃(古墳時代前期)
銭瓶塚(ぜにがめづか)古墳(国市指定史跡)
5世紀後半(古墳時代中期)
ワレ塚古墳(国市指定史跡)
5世紀末(古墳時代後期)

丸隈山古墳(国市指定史跡)
5世紀前半(古墳時代中期)
大塚古墳(国市指定史跡)
6世紀頃(古墳時代後期)


こんにちは。
今週のミステリーハンター、Gです。
前回はしょぼい古墳ばっかりだったので、今週はまともな古墳を探しに伊都国方面へ行ってみましょう。
“まとも”というのは考古学的にとか小難しいことじゃなくて、僕のような素人目に見ても「ああ、古墳だなあ」と分かるようなものという意味です。
以前伊都国歴史博物館に行ったときに、ボランティアガイドのおじさまが、「伊都国は奴国よりも長く続き、大陸との交流に功績があったため中央の王権から古墳の造築も認められてたんでしょう。大陸様式の古墳も多く造られてます。その後大陸との交流は宗像の方に移っていくんですが」みたいなことを話しておられましたので、期待がもてます。
では、さっそく伊都国のあった前原市に行ってみましょう。


田んぼの中にポツンと小山があります。
ここは前原市指定遺跡の井原1号墳です。
言われてみれば、なるほど、いびつながら前方後円墳のような形をしています。
全長43m、幅25m、高さ3.6mで、前方部2段、後円部3段。
4世紀頃の古墳時代前期のものですが、石室や葺石が施され、2.5mの大型石棺も見つかったそうです。
石室があったという後円部の上。石室の石材はほとんど抜き取られていたそうだが、木に食い込んでいる大石はその残りか。現在の地主のものと思われるお墓があるが、墓石が倒れている。荒れてるなあ。
前方部もやたら石が並んでるが、たぶん近年まで墓地として使われてたんではないだろうか。

1号墳というからには2号墳、3号墳もどこかにあるのでしょうか。
よく分かりませんが、さすがは伊都国。
市の史跡でもなかなかのものです。
次は国の史跡に行ってみましょう。
ワクワクです。

平原遺跡の近くにある銭瓶塚古墳、ワレ塚古墳と見てみましたが、さっきの井原1号墳ほどの迫力はありません。
考えてみたら、これらは個別に国の史跡に指定されている訳じゃなくて、平原遺跡などこのあたりの遺跡をひっくるめて曽根遺跡群として国の史跡になってるのでした。
5世紀後半に造られたと考えられる銭瓶塚古墳。長さ50m、高さ5mの規模で、前方部が小さい帆立貝型という形をしていたらしいが、前方部は道路で潰され、後円部も横が一部削られている。各種埴輪や土偶ならぬ岩偶が見つかっているらしい。
削られた後円部の断面。何か見つからないかとしばらく眺めてみたが、長年さらされてるのに今さら見つかるはずないか。

こちらは5世紀末のものと考えられるワレ塚古墳。こちらも帆立貝型で長さは42mあり、ほぼ全容が残っている。こちらでは各種埴輪や須恵器が出土したとのこと。出土品はたぶん伊都国歴史博物館にあると思う。
裏から見ると、確かに前方後円墳らしき形をしている。(古墳にとってはこちらが前なのだが)

さて、CMの後は海側の今宿の方に行ってみましょう。

チャラチャチャ~
<CM>


地理的に考えると、今宿~周船寺あたりは伊都国領だったと思われます。
かつて博多湾(今津湾)はもっと内陸に入り込んでいて、港と伊都国中心部との間にあったはずだからです。
しかし、そのへんのつながりがよく分かりません。
前に奴国が福岡市と春日市に分割されてしまっている話をしましたが、伊都国あたりも前原市と福岡市で分けられてしまって、その連携が希薄だからです。
まったく困りものです。


え~、気を取り直しまして、ここは周船寺駅の近くにある丸隈山古墳です。
ここも国指定史跡ですが、今宿古墳群としての指定なので、安心はできません。
入口にはしっかりした説明板が立っています。

説明によると、5世紀前半の前方後円墳で、なんと石棺のある横穴式石室がいつでも見学可能とあります!
長さは85mと福岡市では最大規模。
木が茂っているので形がよく分かりませんが、こちら側が前方部のようです。
さっそく上ってみましょう。
階段の上には平らな広場がありました。後円部の中心と思われるところにあるのが石室のようです。
石室です。あれ? 檻がかけられています。本当に見れるんでしょうか? それとも被葬者のミイラが逃げ出さないようにしてるのでしょうか?


檻の間から中が見れました!
初めて見ました、本物の石室の中。
側壁は石板のようなものが積み上げられています。
赤く見えるのは、顔料が塗られているらしいです。
石棺もあります。
写真では分かりにくいですが、中には縦に仕切りがあって2人用になってるようです。
ツイン棺というのも初めて聞きましたが。
いや~、いいもん見せてもらいました。
副葬品としては、鏡、玉、剣の3点セットのほか、鉄鏃などもあったそうです。
それなりの大物のお墓だったんでしょう。

次も今宿古墳群の一つ、大塚遺跡です。

こちらはなんとまあ、美しい古墳なんでしょう。
全長64m、高さ6.5m、外堀まで含めると100m規模の、6世紀前半に造られた古墳だそうです。
しかもこの古墳、いまだに石室など内部の調査は行われてないとのこと。
たぶん近辺の古墳と大差ないとは思いますが、何か予想を覆すようなすごいものが埋まってたりして…。
前から見た古墳。ラッキーなことに、前日の雨で内濠にはいい具合に水がたまっていた。ちなみに掘、外掘は復元されたものらしい。
後円部の頂上から見た図。向こう側では発掘調査でも行なわれているのだろうか
こちら側は造成工事中。下のGoogle航空写真のころは田んぼだったところだ。史跡公園でも整備してくれるのなら嬉しいが、高層マンションなんか建てられた日には目も当てられない。まあ、古いものを潰して新しいものを造るというのは、人間の営みの常ではあるのだが…。

なお、この古墳は国道202号のすぐ脇にあるんですが、せめて国道からでも分かるように案内板や説明板を立ててくれれば、もっと注目を浴びてよさそうな気がするんですが…。

歴史的にはこの後火葬が一般化し、巨大古墳は急速に姿を消していきます。

井原1号墳

大きな地図で見る
前原市大字井原字京龍541
見学自由
駐車場:なし

銭瓶塚古墳
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前原市大字曽根字中405-1
見学自由
駐車場:なし(?)

ワレ塚古墳

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前原市大字曽根字中
見学自由
駐車場:なし

丸隈山古墳

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福岡市西区周船寺
見学自由
駐車場:あり(?)

大塚古墳

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福岡市西区今宿字大塚
見学自由
駐車場:なし

関連スポット
伊都国歴史博物館(おまけ2)
福岡市博物館(おまけ4)

つづく

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コメント一覧

taul_nakataney
丸隈山古墳では毎年8/17に観世音大祭が行なわれ、通りでは縁日屋台が出て、近くの池から花火が打ち上げられます。本来の祭祀場らしくてオススメです。
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