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嶋口充輝、石井淳蔵、黒岩健一郎、水越康介著『マーケティング優良企業の条件』

2008-03-02 10:08:59 | Weblog
嶋口充輝、石井淳蔵、黒岩健一郎、水越康介著『マーケティング優良企業の条件』

「マーケティング優良企業9社の市場情報の活用と展開の仕組みを徹底解剖」というキャッチフレーズのもと、法政大学嶋口充輝教授等4名の共著『マーケティング優良企業の条件』が出版された。本書は(社)日本マーケティング協会「マーケティング・イノベーション21(MI21)プロジェクト」の成果を独自にまとめたもの。厳密な市場調査の仕組みを持つ花王、お客さまセンターを活かし市場情報を把握する資生堂、週次の業務管理を通じて機動性を高めるユニ・チャーム等々、市場に向けて迅速適切に反応する組織のメカニズムと戦略を優良企業の事例から考察しているところに本書の特徴がある。以下は、本書の目次。この目次には個別具体的な企業名が明示されている。このあたりに、本書の特色が明確に現れているといってよかろう。

序 章 マーケティング優良企業を求めて
第1章 マーケティング・リテラシーのための論理
第2章 調査の独立性が意味すること 花王
第3章 市場情報を循環させる「心臓」 資生堂
第4章 他社との連携による新製品開発 アスクル
第5章 失敗から学ぶ組織文化 サントリー
第6章 情報の多重展開 積水ハウス
第7章 経路依存的に構築される仕組み カルビー
第8章 反応スピードを加速するSAPS ユニ・チャーム
第9章 マーケティングの持続力 ネスレコンフェクショナリー
第10章 ターゲットを絞り込んで反応する 松下電器産業
終 章 市場への創造的適応

本書は、次の4人の著者の共著となっているが、その組み合わせが面白い。最初の2人はマーケティング論の分野で多数の著書があるベテラン教授。あとの2人は新進気鋭の准教授である。

法政大学嶋口充輝(しまぐち・みつあき)教授(慶応義塾大学名誉教授)
神戸大学石井淳蔵(いしい・じゅんぞう)教授
武蔵大学黒岩健一郎(くろいわ・けんいちろう)准教授
首都大学東京水越康介(みずこし・こうすけ)准教授


                               (2008年、日本経済新聞出版社、1800円+税)