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暴言2、音楽の優劣

2004-10-07 20:07:11 | ジャズの話題
前回の投稿で暴言を吐いたので、本日も暴言系の投稿をします。
ってよか、前回の続きなんだけども(笑)。

前回登場した僕の嫌いなボーカリストK.Lと、僕の割合好きなボーカリストが比較的最近同じ舞台でセッション形式の競演をしたのさ。
僕にK.Lを薦めた人(仮にMさんとしておきましょう)がそのステージを見に行ってたらしくて「やっぱり年齢の差か、貫禄が違うねぇ・・・・・K.Lの方が明らかに余裕があって繊細な深みのある表現をしているよ」とかって言われた時点で僕の我慢の箍が外れた。
「繊細」ってのはちょっと僕が音楽を聴く上でのキーワードというか、キーポイントだったね。
逆鱗に大当たり、ジャストミートだ(笑)。
「そうですか?、あんまり上手いと感じないですけど・・・・・発声もいい加減だし音程も不安定ですよ。正直僕にとっては聴き苦しいです」って・・・・・ああ、言っちゃった。
まぁその人は僕より少々大人なので、気色ばんだけど喧嘩にはならなかった。
熱い議論にはなったけどね(笑)。

その時ちょうどMさんの部屋でK.L流れてたんで、それを聴きながら「ホラね、こんなところは明らかに音外れてるし、ここは聴き苦しいでしょ」なんて感じで話をしていたのさ。
すったもんだあったんだけど、その人もまったく音楽の知識がないわけではないので、僕の指摘もきちんと理解できるわけさ。
それでもK.Lを庇いたくて「音楽に優劣なんかないし、技術的に優れていなくてもいい演奏はいい演奏だよ」なんて言い出したの。
なんつうかさぁ・・・・・優劣って、なにを持って優劣を判断するかの基準が明確でなければ語れない問題でしょ。
何を言ってるんだこの人って思ったんだけど、話しているうちに分かってきた。
要するに「技術的に優れているかどうかを審美の基準として音楽を聴くのは間違いだ」と、で「だからTAROクン(僕ね)の音楽の聴き方は間違いだ」という事を言ってるわけさ。
コンニャロと思った(笑)。
これって語り好きの音楽ファンがこの手の議論で技術論に話が及んだ時に、それを回避しようとする常套手段なのね。
好きな演奏者を技術的に貶された人って、「違うよ、この人の技術はこんなところがこんなに素晴らしい」って検証し返してくる人(あんまりいないけど)以外は確実にこの論旨で反撃してくる(笑)。
違うだろ。
音楽は技術的な水準がすべてではないと僕も思うよ。でもね、音痴な歌聴いて「上手い」という人は明らかに間違いだし、音痴な歌が聴き苦しいのは当たり前でしょ。
なにも端から「こいつは上手いか下手か、バッチリ揚げ足とって批評してやろう」なんて聴き方してるわけないって。そんな事やってたら音楽聴いてたって楽しくないし、神経使いすぎて胃が痛くなっちまうっての。
技術的な視点が先にあるのではなくて、「凄く美しい演奏だな」「綺麗なメロディだな」とか「うわ、聴き苦しいなこの演奏」「きったない音だなぁ」とかっていう、「聴いた瞬間の印象と感想」がまずあるんだ。
その後に「なんで聴いてて気持ちいいんだろう?」とか「なんで聴き苦しいんだろ」ってあらためて客観的に耳を傾けてみて、そこで初めて技術的な知識に基づいた判断がなされるんだよ。
音楽なんて聴いて心地良く感じるかどうかがキモなんだから、はじめから技術論的な観点で聴いてるわけないって。
大体あなたは「この人は凄く繊細な表現をする上手いボーカリストだ」っていう発言をしたんだよ。
あなたが好きか嫌いかは別にいいですよ。でも技術力のない演奏者が繊細な表現をできるわけないだろって。
って、ここら辺になると僕もMさんもかなりヒートアップして、口角泡を飛ばしての議論になってた(笑)。

「もしこの演奏を繊細だとか上手いとか感じるのであれば、Mさんに聴く耳がないという事ですよね」といった発言をしようとして(言わなかったですよ、さすがに)はたと気がついた。
良い悪いは別としてね、気にならない人っているんだよ。
これはなんと言うかな・・・・・例えば「風呂に3日間入らなくても気にならない人」とかっていうのと似てるかも(笑)。
Mさんがそういう気にならない人だとは言ってないですよ。Mさんは僕より音楽愛聴歴は長い人だしね。
でも、この「気にならない人」って確実にいる。
音外れてても、音割れてても、明らかなミスタッチがあっても気にならない人。
それはそれで良いと思う。
「気になる人」が「気にならない人」より音楽を楽しんでいるかというとそれは必ずしもイコールじゃない。
楽しみ方も人それぞれだし、ってのは前回も書いたか。
これを「耳が肥えている人」と「聴く耳がない人」っていう括りはあまりしたくないんだけどもね。

音楽の優劣って確実にあるよ。
何を優劣の基準にするかというと、それは「表現している事の多さ」かな。もしくは「深さ」と言い換えてもいい。
優れている音楽はそれがより多い、より深い。
技術があるからより深い表現ができるかというと、これはそうでもない。でも、より多くの事を(主題がいくつもあるということではないですよ)より深く表現しようとすると、やっぱりそこにはより多くの技術が必要になるという話。
モチーフがしっかりしていて演奏技術の高い音楽ってやっぱり繊細だし、より多くの事を表現している。
これは確実だと思います。
うう・・・・・不遜だなぁ・・・・・ネタがないからか、このブログは確実に暴走の方向に向かっていますね(笑)。

で、Mさんはというと・・・・・来週また飲みます(笑)。
なんでかって、仲良しだから(苦笑)。
要するに僕もMさんもどうしようもなく音楽が好きだって事です。
トホホホホ。

本日の安眠盤、Cheryl Bentyneの「The Lights Still Burn....」
ではでは。

はい、だからね・・・・批判だけして・・・・・要するに誰だか言いたくなったって事です。
ってよか、格好をつけて批判だけしてちゃんと言わないのはアンフェアだなって思ったのさ。
だから加筆。
この下手なボーカリストはKeiko Lee(ケイコ・リー)ね。この人は下手。
ジャズファンになんで人気があるのかさっぱり分からん。
って事です。
文句あるか(笑)。

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ヨックタイ)
2004-10-07 23:59:34
音楽は、まず気持ちや印象があって、次に「何でそう感じるのだろう」って見ていく。これは単に自己満足に徹していれば、演奏家でない限りは必要のないことだと思います。でも誰かに伝えたいとき、そのための確かな根拠みたいなものが必要でしょうね。TAROさんはそのための分析力や語彙があって(もちろん感性と切り離せるものではないですが)、それを伝えられる。うらやましいです(努力せずに言うことではないか…)
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まったく (naruru21st)
2004-10-08 00:19:27
TAROさんの仰るとおりだと私は思います。音楽に優劣はあります。

以前に何人かのイタリア人の先生に、レッスンをして頂いたことがあるんですけど、日本人の先生よりも「技術の必要性」を力説しておりました。(私にはちょっと意外だったんですけど。)

かのパヴァロッティも「1に息、2に息、3に息、4番目に声で5番目が音楽性」と言っていたそうです。

演奏家なら「表現したいこと」はあって当たり前。それを音楽的に表すためには技術力の高さは100%ではないけど、かなりのパーセンテージで助けになるハズです。ちょうど、コックさんがいい調理道具をそろえて、毎日包丁を砥ぎ、毎日いい食材を求めるのと同じだと思うんです。同じマグロでもいい包丁切ったほうがおいしいんです。

・・・私もK.L.はうまくないと思いますけどね。音程が息でつぶれてて、メロディがよくわかんないの。
返信する
御二方とも、事ある毎に色々と教えていただければと思っています。 (TARO)
2004-10-09 18:23:44
>ヨックタイさん



音楽に関して、ヨックタイさんが言われているような「分析力」イコール「耳」とさせていただいてよいかと思いますが、何故それを身につけようとするか、ですよね。

人に伝える為というのもあながち外れてはいないのですが、最終的には「自分が判断して質の高い音楽を聴いていくため」だと思います。それは「もっと感動するため」とイコールですよね。

その音楽の質が高いか低いか、それを聴き分けるために耳を肥やす、感性を肥やす。そして知識は言ってみればその肥料ですね。

もっと感動したいからもっと知識を付けたい。もっと聴き分けが聴く耳が欲しい。僕が音楽に関して「お勉強」する時は、いつもそう思っています。

音楽聴くの好きなんでこれからも常に貪欲に、ですね。

以前の「ビビリ事件」のように、ギターの奏法上の知識などは、機会があればヨックタイさんからドンドン吸収したいと思っています。

色々と教えてくださいね。





>naruru21stさん



ワハハハ、K.L.がだれだかすぐにお判かりになられたようですね。

自分がこのブログで知識と耳に基づいて言った事に、naruru21stさんのようにクラシック音楽の現場の最中にいる人に賛同してもらえると嬉しいですね。

特に「誰それは歌下手だ」なんてのは、その人がどれくらい音楽をきちんと聴いているかがズバリわかってしまう事で、上手い人を下手だと言ってしまえば「ああ、この人ちゃんと聴いてないんだな」って思われるんですよね。

いつもズバズバと断定的に辛口で言い切ってしまうような内容が多いこのブログですが、書いてる本人は結構ヒヤヒヤものなんですよ。ビクビクしながら反応を待ってるような(苦笑)。

だからもっと勉強しようと・・・・・まぁそんな感じなんです。

音楽を楽しく聴くためには「きちんと聴いて判断する事」って大切ですよね。

色々と教えて頂けたらと思っています。
返信する
はじめまして (med-swing)
2004-10-11 18:43:27
最近BLOGの存在を知りまして、「面白いとこ無いかなー」と探しておりましたところ、ここに辿り着きました。



結構、考えさせられました…。

今まで技術的に上手い人の全然入ってこない演奏をいっぱい見ましたし、技術的には未熟だけど凄く入ってくる演奏も沢山見ました。

ただ、演奏する側の自戒として、技術的に未熟であっても良い演奏はできる、という開き直りはしないようにしたいものです。テーマがあまりに難しくて(というかシビアすぎて)気の利いた事が書けなくてすいません。



誠に失礼とは思いましたが、無断でリンク貼らせていただきました。今後トラックバック使わせていただくかもしれませんが、宜しくお願いします。



追記

エバンスの話、僕も全く同じように感じておりました。
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感性はその時々によって異なる (TARO)
2004-10-11 19:07:11
コメントありがとうございます。

このブログの管理人をしておりますTAROと申します。



>技術的に上手い人の全然入ってこない演奏をいっぱい見ましたし、

>技術的には未熟だけど凄く入ってくる演奏も沢山見ました



これは難しいですよね。

本分でも書いていますが、技巧的だからといって演奏者にモチーフが確固としてあるかというとそうではないし、技巧がなくてもモチーフがしっかりとある音楽もあります。

技巧的であっても聴き手側がそれをキャッチできるかも別問題。

また、聴き手の精神状態によってもその時々で感じ方は異なりますしね。

ひとつ言えるのは「技術がある演奏者の方が技術がない演奏者よりも表現できる事が多い」という事。

これは間違いがないと思います。





>技術的に未熟であっても良い演奏はできる、

>という開き直りはしないようにしたいものです



同感です。

って、僕の演奏者としての側面はもう終わっているのですが(笑)。





リックして頂いてありがとうございます。こちらからも貼らせて頂きますね。

これからもお付き合いいただけたらと思います。



ではでは。
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Unknown (Log)
2019-12-27 20:47:05
こんにちは。宜しくお願いします。
まぁ、音楽は計測器で測るものじゃないから、音程は外れていても良いとは思うけど、あのケイコさんの声は、中華料理屋のおかみさんが「チンジャオロースとギョザデキタヨー。3番テーブル何? カラアゲ? チョトマッテテネー」なんて言ってる声質なんですよ。
ジャズのfeelではない。韓国歌謡とか韓国演歌なんてピッタリだと思う。
それと、ケイコサンがアップロードしている画像を見たら、演奏中より打ち上げの方が断然楽しそうな顔をしてるんだな。無理してジャズを歌う必要なんかないんじゃないかな?
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