単位読みかえ問題。
これは果たして「問題」なのだろうか?昨日、今日起こったことではなく、全国の自称進学校では「常態化」していた。生活科や社会科などのうち、その個人の受験に関係のない必修科目は、「他の科目によみかえて」、たとえば「英語の授業をやって」、その成績を「世界史」の単位として認定する。
むろん違法だが、もうずっと行われてきたということを、僕は知っている。高校教師の友人が数名いるからだ。どこでもやってるよ、って感じで話してくれたことを思い出す。「あきらめ」た風にも見えた。守秘義務でもなかったようだ。
文部科学省は「今になって現場の実態を知った」ようなことを言っている。ふざけた話である。嘘もたいがいにしてほしい。僕でも昔から知っていることを何故文部科学省が知らないのだ。ありえないではないか。
ただ本当に知らなかったらしい新任の伊吹大臣は「高校教育の根本がわかっていない」と発言した。
伊吹文部大臣の発言を僕なりにはこう受け止めた。
伊吹氏のいいたいこと
学校は予備校ではなく、全人教育、または全人教育に近い教育を行うところだ。受験に関係ない科目だからといって、その人の人生に関係ないわけではない。だから必修にしている。その趣旨を現場の校長、教員は全くわかっていない。
たぶん、こういいたいのだろう。全人教育が「きれいごと」として受験という現実の前で無力になっている現状が問題なのですよ。
伊吹氏に単純にこう聞きたい。「あなたは教育行政に多少の知見をお持ちらしい。また教育改革をかかげる安倍内閣の文部科学大臣である。そのあなたが、僕でもしっているような現場の実態、矛盾、そして、悩みを知らなかったのですか。」
文部省は当然知っていただろう。しかし「今になって知ったような素振り」をしているのだろう。ただし伊吹大臣は本当に知らなかった可能性がある。
当然、安倍氏も知らなかっただろう。
これは「細かい問題」ではない。受験の重圧から違法行動に走っているわけで、まさに現場の実態、苦悩、そして堕落を象徴的に示した事態である。
しかも文部省はたぶん「黙認」していた。さらに言えば自分たちの怠慢を棚にあげて、「現場の堕落」をアピールしている。そうじゃないよ。君らが作り出した問題であり、全ての責任は文部官僚にあるのだよ。君らが「知らなかった」わけないではないか。
僕は踊る捜査線の青島刑事ではない。それでもいいたい。安倍さん、伊吹さん、現場をみてほしい。「視察」なんて「行事」で見るのではなく、「心眼」でみてほしい。
君ら「ど素人」が教育について語るのはその後でいい。
日の丸君が代問題しか知らない君らの「教育基本法改正論議」なんて、「哀しい冗談」にもならない。
まさに「美しい日本」のアベ教育改革にそった教育の先取りじゃあないですか。
いわゆる「難関」大学の同級生には、いわゆる進学校とか有名予備校での受験テクニックの習得だけで既に頭のゴムが伸びきった人もいましたね。きっと、名門校に入るため、子供のときから、私よりずっとずっと頑張った人たちなのに・・・。
大学受験なんて、人生の関門の一つに過ぎないのに、過大評価して大騒ぎするから 子供達が犠牲になるのです。バランスよく脳味噌が発達するように、ちゃんと学ばせてあげて欲しいと願っています。
後で、大学との交渉で別な方法もある事を知りました、つまり、その科目の単位を取らないで他の単位と交換して卒業した人も当時はいたようです。結局、私は規定の単位を1年かけて取得し卒業しました。
社会人になって、20年以上も経過し、仏語、独語も全然忘れていますが、この1年間の体験は未だ、深く心に残っています。単位をごまかして卒業したら、自分は決して忘れないと思います、また、別な事で窮地に立ったら、また、ごまかして生きていくのでしょうか?話は変わりますが、工業製品で一流品は、どんな難しい工程でもごまかし無く出来ているので、品質、機能、デザイン等の価値が保たれているのです。
確かに、日本の受験制度はおかしいですが、教師が、いくら苦しいからと言って、大学入試の科目のみを優先させて履修させているのは、近視眼的でもあり、文化人のすることではありません。自己をごまかす人は、一時的に良くても、私の経験では、まともな人生をまっとう出来ていません。私は、現政権を全面的に支持する訳ではありませんが、この問題に関して、文部大臣の意見、指示は責任あるものとして極めて当然であり、真摯に受け止めるべきだと思います。