TAOコンサル『もう一度シネマパラダイス』

「あなたが館長シネマ会」・・仲間たちとの映画談議と記録
「見逃せないこの映画」・・仲間たちが選んだ作品の映画評

新たな世界観から人間の運命を描いた映画『オブリビオン』

2013年07月19日 | あなたの○○○な映画
 舞台は60年後の2077年の地球。未知の侵略者の襲撃で半壊状態となり、僅かに生き残った人々も地球を放棄、別の惑星への移住をすすめている。
そんな無人の地球を、はるか上空の監視塔から守る任務についているのが記憶を消されたジャック・ハーパーだ。演じるのはトム・クルーズ。時々見知らぬ女性からジャックと呼ばれる夢をみるが、意味がわからない。そんなある日、地球に墜落してきた宇宙船で眠っていた美女ジュリア(オルガキュルレンコ)が目覚めるなり発した言葉が「ジャック・・」であった。この女性は誰なのか、自分はいったい誰なんだ。そんなミステリアスな話が展開する。

 この映画、未来型監視塔など洗練されたデザインが美しく、アイスランドで撮影したという荒野化した地球の映像も鮮烈である。ジャックが未来型パトロール機から降り立つ地球には、エンパイヤーステートビルや自由の女神、スーパーボール競技場などの残骸が広がっている。こうして物語は展開していくのだが、・・。たった一人で地球を守る孤独なヒーローを演じるトム・クルーズの深みのある演技がとてもいい。脇役もモーガン・フリーマン、・・見応えある映画である。


 この作品は60年後の地球を描いているが、ありふれたSF映画と違って“人間とは何なのか、如何に生きるべきか”を問いかけているように見える。描かれているのは新たな歴史観で描いた地球と人間の運命と言ってよいであろう。
 実はこの映画にはこのドラマを象徴するかのような絵が登場する。ジャックが時折立ち寄るオアシスのごとき秘密の隠れ家に架けられた作品だ。これはアメリカの画家ワイエスが描いた『クリスティーナの世界』である。脚が不自由な女性が草原を這うようにして前方に見える家を目指す姿を描いた絵だ。私には、監督がこの絵を使った意味が分かった気がした。しかしここでは語らない。さて皆さんはどう見るだろうか。

この絵はニューヨーク近代美術館(MOMA)の所蔵作品で、私もNYで何回か見ているが、味わい深い絵だ。

映画のあとの楽しみ、パンフ見ながらオンザロックを一杯!