http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/d94185e8675733423c31730ae8977460
gooブログ「孤帆の遠影碧空に尽き」から引用します。
[引用開始]------------------------------------------------
ロシアのスターリン、中国の毛沢東 “古き良き過去”を必要とする指導者
<http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/>
(中略)
メドベージェフはスターリンに対しても、次のように批判する。
「戦争中にスターリンが果たした役割がどうあれ、現在のロシアから見ると、スターリンは当時の国民に対して山ほどの罪を犯した。彼がよく働き、彼の指導の下で国家が発展したことは事実だが、彼の国民に対する犯罪を容赦することはできない・・・スターリンへの評価は人それぞれであってもいいと思うが、ロシアとして、そしてロシア大統領としては否定的な評価をせざるを得ない」
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スターリンに対しては、一般的に全面否定の厳しい評価があり、特にソ連崩壊時に出版された本では、肯定的な側面が語られることはありませんでした。それに対して、メドベージェフの評価はバランスが取れているので、冒頭に引用しました。
「スターリンが自国民に対して犯した山ほどの罪」のうちで、真っ先に挙げられるのは、「農業集団化」と「反ソ的個人・集団の粛清」だと思います。両方の犠牲者を合わせると1500万人を超えると言われています。太平洋戦争による日本の死者は兵士と民間人を合わせて310万人です。外国との戦争ではなく、国内問題での、1500万人の死者というのがいかに尋常ではないか、わかると思います。2000万人という統計もありますが、いずれが正確なものかはわかりません。
「集団化と粛清」による犠牲については、常に語られ、ロシア国民の心に残した傷の深さを感じさせます。ソ連崩壊の直接的な原因となった「ウクライナ独立」も、集団化を行った「ソ連」に対する怨念がその遠因になりました。
もっとも「ウクライナ独立」の直接の原因は、大戦後に新たにウクライナ領となった西部の人々の「西ヨーロッパへ復帰したい、または帰属したい」という願望でしたが。また、その願望を煽(あお)り、彼らに武力支援を約束した欧米の陰謀が、決定的な役割を果たしました。
このことは、ロシアの真に愛国的な軍人と政治家は決して忘れてはいません。ゴルバチョフでさえ、「ウクライナの独立」を認めていません。彼はウクライナの独立に関して、「戦争の危険があったので、引き下がるしかなかった。」と述べています。
ロシアにとって、ウクライナを失ったことは、心臓に次いで重要な肺を失ったに等しいのです。
ロシアの歴史はキエフ公国に始まります。ロシア人の原初国家であるキエフ公国が解体し、10~15の公国に分裂します。その中からモスクワ公国が新たに成長し、旧キエフ公国の領土を再統一します。
イワン三世(在位1462~1505)は「全ルーシ(=ロシアの旧称)の君主」と称し、かつてキエフ・ルーシ公国であった土地はすべて自分の土地であると主張しました。
全ルーシとは、現在のモスクワ周辺の地方とウクライナとベラルーシです。モスクワ公国が再統一した全ルーシが母体となって、後にロシア帝国へと発展します。
ソ連崩壊時に、ウクライナとベラルーシが独立したことは、ロシア帝国の中核が分裂したということです。ルーシの土地に関して言えば、イワン三世以前の、分裂状態に逆もどりしたのです。
プーチン大統領やマカーロフ前参謀長がロシア連邦解体の危機感を抱くのも当然です。彼らは必死です。
ウクライナに続いて、ロシアはバルト三国・コーカサス・中央アジアを失いました。しかも、ロシアの解体過程は停止したように見えますが、再開の危険はなくなっていません。そこに、プーチンの危機感があり、彼のファシスト的姿勢は、決して攻撃的なものではなく、必死の防御にほかなりません。
アメリカが安保理に提案したシリアに関する決議を、ロシアと中国が否決した時、アメリカの女性国務長官は、怒りに満ちた表情で、「ただでは済まない。」と威嚇しました。これは象徴的な場面です。彼女が言おうとしていることは「機会が来たら、ロシアと中国は解体してやる。」ということです。このことを本気で考えている一派は、ブッシュ時代だけでなく、現在の国務省内にも存在しています。
強気に見えるプーチンは、実は必死に防御しているのであり、「ただでは済まないからな。今に見ていろ。」と無礼な言葉を吐くアメリカの方が攻撃的なのです。ロシア側に核抑止力というものがなければ、ロシアは釘のようなもので、ハンマーであるアメリカにたたかれるだけです。
プーチンにとって敵国アメリカの中で、頭脳明晰なオバマだけが頼りなのです。プーチンはオバマに語りかけます。
「戦争に勝っても,欲したものは得られず、巨額の戦費と多くの人的損失に苦しむことになります。アフガンとイラクで経験したでしょう。シリアとイランを相手にしたら、大変なことになりますよ。我々ロシアに勢力拡大の野望などないことは、とうにご存知でしょう。貴国にとって我々は、湾岸の安定化に協力し合える相手ですよ。」
以上独裁者スターリンを尊敬するプーチンの苦境を説明しました。
スターリンについては、評価が難しく、調べなおしてから書きます。
< 地図の東半分の薄緑色の部分がロシア人の故地>
ロシアの歴史 vivonet.co.jp より
< キエフ公国分裂後のルーシ >
キエフ公国の歴史 toride.com より
[解説]
1 西側リトアニアとの境界線と南側ポロヴェツとの境界線が太線
だとわかりやすいのですが。
ポロヴェツは中央アジア由来の遊牧民です。
2 カルパチア山脈の北のガーリチ公国とヴォルィニ公国はルーシ
の国です。
3 北東のウラジミール=スーズダリ公国にとってかわったのが
モスクワ公国です。
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