ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

日本橋三越で薩摩焼の歴代沈壽官展を見る

2011-01-20 21:58:50 | 博物館、美術館行ってきました

日本橋三越の歴代沈壽官展、とてもよかったです。
パリ三越エトワールにおいて開催された展覧会の凱旋公開だそうです。
日本でも、歴代薩摩焼のまとまった展示が見られることはめったにないそうなので、必見です。
秀吉によって朝鮮半島から連れてこられた陶工たちの一人、初代沈当吉による素朴な作陶から始まる沈壽官窯の流れを見ることができます。
白い陶土を見つけるまで20年もの苦労がありましたが、細かな貫入が美しい白薩摩が焼かれるようになり、
島津家に保護されて発展していきました。
幕末から明治にかけては、世界にもてはやされた日本の輸出工芸品の一翼を担った中興の祖、
透かし彫りなど革新的技術を確立した12代の天才性に目を見張りました。
また、その後の苦難の歴史の中で技術を守りつないだ13代14代の方々にも敬意を感じました。
また、陶器でありながら技術的には工業作品かと思うほど安定した完成度で、新しさを感じる作品を作り続けている
15代の脂の乗った仕事ぶりにも感嘆するばかりでした。
個人的には14代壽官さんに親しみを感じていましたので、作品を拝見することができてうれしかったです。
(父の家に祖父から譲られた「百世清風」の由来のわからない拓本の屏風がありました。
14代壽官さんがTVで取材された際に同じものが映っていたので、お持ちだと分かり、
その御縁で書簡のやり取りがあったと聞いています。北朝鮮の碑で今はもう原石が無くなったているだろうとのことですが、
壽官さんも作者の名を知りたがっていらっしゃったそうです。)

  
本館6階美術画廊で同時開催中の薩摩焼15代沈壽官展(即売会?)も大人気ですごい熱気でした。
十四代は、薩摩焼を通じて日韓文化交流に貢献、主人公として司馬遼太郎氏の小説「故郷忘じがたく候」に登場します。
書家とのコラボレーションで、この小説の印象的なシーンが揮毫されて薩摩焼が置かれた上方の壁に掲げられていました。
一つ一つの作品についての解説はないのに、繊細な作品に込められた歴史や、陶工たちの思いが伝わって、感無量でした。





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