埼玉は大雨でした。豪雨まではいかないもののけっこうな雨量。パスポートを作りに行く予定を変更して、一日中読書をしておりました。お盆のゆったりとした空気感と雨の音の中、活字を追い続ける、癒しのひととき、くつろげまするー。
もっとも本の内容は小説とはいえ、くつろげるというものではなかったのですが・・・。
クライマーズ・ハイ (文春文庫) | |
横山 秀夫 | |
文藝春秋 |
横山秀夫さんの小説『クライマーズハイ』を読んでおりました。32年前の日本航空123便墜落事故をモデルにした小説です。
事故が発生したのは、8月12日の18時過ぎ初の便。そして今年の同じ日のやっぱり18時過ぎに離陸した航空機がトラブルに見舞われたとのこと。ゾッといたしました。みなさまご無事で本当によかった!!
占いをたしなんでいることもあり、日付には注目します。この32年ぶりというのはどこかの暦に当てはまるのかなとちょっと気になったのですが、わかりませんでした。今度またみてみます。暦は古今東西いっぱいあるのです。
クライマーズハイに話を戻します。
同じく災害だからかもしれません。読んでいるとき、何度か東日本大震災のことを思い出しました。特に現場や遺体の描写。文章で生々しく書かれておりました。東大日本震災も、日航機事故も、現場は壮絶だったことと推察いたします。生身の人間が破壊されるわけですから、きれいごとでは済まされません。
それが映像や写真で一般に公開されることがあるというとそうではないので、私たちはそこの生々しいところ、実感がわかない。でも、壮絶。2時間ドラマサスペンスの殺人事件のような綺麗な遺体なわけではない。
東大日本大震災が起きて1週間後くらいだったでしょうか、タイで津波の復興支援をされている方に会いました。癒されモールという当時運営していた癒し催事のことで相談に乗っていただいていたのです。
その方が開口一番におっしゃったのが、今回の震災が「寒いときでよかった(せもても)」ということ。どういうことかというと、タイは暑い国なので、遺体の腐敗が早かったのです。だから腐敗した遺族と対面したことがトラウマになった方がけっこういる。けれども寒ければ遺体の腐敗は遅い。
その話をうかがうまで、あたしは、被災者の方寒そう。もっと暖かい季節ならよかったのに、、、とおもっていました。現実は想像のおよばないところにあるのですよね。
このときのことは、今でもときおり思い出します。
またクライマーズハイは、地方新聞社を舞台にした物語なので、報道に興味があるあたしはその意味でも、面白かったです。
そしてドキュメンタリーだったら読むのがつらかったかもしれないけれど、小説だと「面白い」と言ってしまえる。よいのかわるいのかよくわからないけれど(よいもわるいもないんだろうけれど)、小説というものの力を感じました。
それではまた~
◆臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。