大正動物医療センター(大阪市大正区)のブログ

大阪にある大正動物医療センターのブログ

腸炎

2009-10-20 16:31:37 | 吐き気や嘔吐

1_2 はじめに胃のポリープ、リンパ球プラズマ細胞性腸炎について簡単にお話します。

2_7 胃ポリープの定義は「胃粘膜上皮が局在性増殖により胃内腔に隆起した病変で悪性でないもの」となります。一般に無症状であり、幽門を閉塞した場合に嘔吐などの症状が見られることがあります。胃の排出障害を起こさない限り、治療の必要がないと言われていて、外科的な切除により完治が期待できます。また、ヒトにおいては約半数が癌へと移行すると報告されていますが、小動物においては癌化するという証拠は得られていません。

3 次にリンパ球プラズマ細胞性腸炎(LPE)です。IBDにおいて最も多く認められるパターンであり、その原因として、腸粘膜バリア機能の低下、食事抗原に対する反応などが考えられていますが、現在のところ、その病理発生は十分に解明されていません。軽度では無症状のものから、重度では慢性の嘔吐、下痢、体重減少などが認められます。治療は主に食事療法、薬物療法が行われます。

4_2

それでは症例に入ります

未去勢、9歳のチワワで、急性の頻回嘔吐(二日間で5-6回)を主訴に来院されました。数ヶ月に一度程度の嘔吐はあったそうですが、その他に既往歴、投薬歴などはなく、稟告によると便の性状に異常はないとのことでした。

5_2 初診時の検査所見です。身体一般検査においては明らかな異常は認められませんでした。

6_2 血液検査結果です。

白血球数の上昇。カリウム、クロールの低下。ALPの上昇が認められました。

7_2 初診時のレントゲン像です。

胃内に液体の貯留を疑わせる、透過性低下領域が認められます。

8_4 図は幽門前庭部の横断面を示しています。複数の塊状病変が認められます。

9_2 次に内視鏡検査を実施したところ、幽門部に複数のmassを認めました。


平成21年度日本小動物獣医学会(近畿)学会発表

2009-10-20 11:27:07 | お知らせ

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10月18日(日)大阪府立大学りんくうキャンパス獣医学舎で行われた

日本小動物獣医学会近畿において当院から那須獣医師が学会発表を行いました

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以下に口演要旨を掲載します

胃幽門部にポリープを併発したリンパ球プラズマ細胞性腸炎の一例                     

○那須知尋、盛田耕作、盛田千里、茂山尚佑、丸岡加央梨

大正動物医療センター・大阪市

1はじめに

 リンパ球プラズマ細胞性腸炎(LPE)は炎症性腸疾患(IBD)に最も頻繁に認められるパターンであるが、その病理発生は未だに十分に理解されていない。今回、胃幽門部にポリープが発生し胃停滞、嘔吐を呈した症例においてLPEを認め、外科的切除およびステロイド投与により良好な経過が得られたので、その概要と経過を検討した。

2材料および方法

 チワワ、未去勢雄、9歳齢、既往歴なし。頻回嘔吐、食欲不振を主訴に来院。初診時、体温38.5℃、体重3.0kgBCS3)、腹部触診で圧痛は認められなかった。血液検査ではWBCの上昇(25,000/?l)、ALPの上昇(445 U/L)、レントゲン検査において胃幽門部付近に透過性の低下を認めた。腹部エコー検査上で幽門部内壁に複数のmass、運動機能の低下、胃内に液体の貯留が確認された。内視鏡検査を実施し、幽門部を狭窄していた複数の塊状病変および粘膜面の発赤を呈していた十二指腸よりバイオプシーを実施した。制吐剤による対症療法を行ったが嘔吐は続き、さらなる状態の悪化が予想されたため、病理検査結果に先立ち開腹手術を行った。腫瘤は肉眼的に十二指腸には及ばず幽門部に限局していたため、幽門部のみを切除し、ビルロートⅠ法により十二指腸と吻合した。

3成 績: 

 術後も間欠的な嘔吐が続き、腹部エコー検査では胃運動の低下および胃液の停滞が継続した為、消化管運動賦活剤を使用したが症状の改善は認められなかった。病理検査において、胃幽門部の病変は非腫瘍性の過形成性ポリープ、十二指腸ではリンパ球、プラズマ細胞の浸潤を伴う炎症が認められたと診断されたため、プレドニゾロン、メトロニダゾールの投与を開始。投与開始より徐々に症状は改善し、現在まで良好な経過が得られている。

4.結 論

 本症例では、胃幽門部の腫瘍性疾患を疑い外科的手術を実施したものの良好な経過が得られず、ステロイドの投与により症状の改善が認められた。リンパ球、プラズマ細胞の浸潤は臨床症状を示さない犬においても認められることがあり、今回は胃ポリープ切除時の病理診断により、初めてその存在が明らかとなった。慢性的な炎症が存在し、その刺激が胃ポリープを誘発したとも考えられるため、症状の消失後も食事療法あるいは薬剤の継続投与を考慮に入れた、注意深い経過観察が必要であると考えられる。

この発表の詳細は「こんな症状の時は?」の「吐き気や嘔吐」の「腸炎」に掲載していますhttp://tamc.blog.ocn.ne.jp/syourei03_03/

大正動物医療センター http://www.taisho.animal-clinic.jp/


先人の英知にふれる

2009-10-14 11:02:28 | コラム

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日本で初めて医療用エックス線装置を作った

また 田中耕一氏がノーベル賞を受賞したことで一躍有名になった

島津製作所の創業記念資料館を見学してきました

資料館は京都の木屋町 森鴎外の「高瀬舟」の舞台となった高瀬川のほとりに

創業当時の外観をそのまま復元して建てられています

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1781年に製作された現存する国産最古の顕微鏡

全ての展示品が今でも使えそうなほどに丁寧に保存されています

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1918年に製作された医療用エックス線装置「ダイアナ号」

何ともおどろおどろしい装置でした

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日本のエジソンと呼ばれた 

二代目島津源蔵氏が掲げた指針「処世の要道」 (昭和14年1月)

耳の痛いお言葉です


色んな汗をかきました

2009-10-13 18:35:22 | コラム

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10月11日(日)恒例の大正通りの清掃を行いました

参加者は30名余りで 大阪大正ライオンズクラブのメンバーと

大阪第126団のボーイスカウトの皆さんです

2時間弱でゴミ袋10個程が一杯になりました

内容は嵩は低いのですが個数ではダントツでタバコの吸殻です

その多くが取りにくい植え込みの中にわざわざ投げ込まれていました

特に中央分離帯の中の清掃は車がビュンビュン横を通るので命がけです

最近は空き缶は資源ごみとして回収されるので殆どありません

愛煙家の皆さんどうかマナーを守って下さい

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