40.
次に、ホルモン治療を始めてから即座に止まった生理が、1年2ヶ月ぶりに復活した。ホルモン治療薬の「タモキシフェン」*を使っていると子宮体がんの罹患リスクが高くなるので、最初は不正出血かと思ってぎょっとしたが、どうやら生理のようだった。ちなみに、タモキシフェンは乳がんにはエストロゲンを抑える働きをする一方で、子宮ではエストロゲンに似た作用をするため、子宮体がんの罹患リスクが若干高くなると言われている。子宮内膜を増殖させる働きのあるエストロゲンが子宮内で相対的に強くなると、子宮内膜の増殖を抑える働きのあるプロゲステロンが相対的に弱くなるので、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜ポリープのリスクが高まるという仕組みらしい。
Y先生に報告すると、2本立てで始めたホルモン治療を1つに減らしたために復活したと思われるが、その辺りのエビデンスは残念ながらない、不正出血の可能性も否定できない、婦人科の検査を受けるしか見極められない、と言われる。またエビデンスか…。とにかく子宮頸がんと体がんの検査を受けることになった。いずれ受けなければいけない検査だと思っていたので、ちょうどよいといえばちょうどよくもあった。
脳の検査と婦人科の検査を予約して帰ってから何日も経たない頃、歩いていると突然左脚の鼠径(そけい)部(:つけ根の前面の動脈が通っている辺り)にズキンと痛みが走るようになった。これも初めての痛みだった。家で歩いているときには起こらず、外で歩き出して少しすると痛み始め、しばらく安静にしていると治るのが特徴だ。ぎっくり腰の痛みのように瞬間的だが痛烈な痛みで、足を踏み出すのが怖くなるようなものだった。太腿や膝の裏にも鈍い痛みが出ることもあった。ネットで調べると、「間歇性跛行」(かんけつせいはこう:運動により生じ、安静により寛解する下肢痛)に当たるようだった。これも動脈硬化で起こる症状なので、やはり気になった。Y先生の診療予約がすぐには取れなかったので、看護師に何とかならないかと粘ると、Y先生に話を通してくれ、別の医師に問診してもらえることになった。
そのN医師による問診の結果、同じ病院内の循環器病学、特に不整脈専門の内科医が紹介された。M医師は、爪先の痺れや脚の冷感がないかどうかを確かめた上、5月下旬に外科で行った血液検査の結果からは動脈硬化は考えにくい、中性脂肪値の上昇がすぐに動脈硬化につながるとは限らない、と言った。他に考えられるのは、神経の問題、筋肉・関節の問題、鼠径ヘルニア(:一般的には脱腸)だが、鼠径ヘルニアは年齢的に考えにくい、とも言った。とにかく動脈硬化検査(ABI / PWV 検査*)をすることになった。
* 「おくすり110番」をご参照ください。
* ABI / PWV 検査
次に、ホルモン治療を始めてから即座に止まった生理が、1年2ヶ月ぶりに復活した。ホルモン治療薬の「タモキシフェン」*を使っていると子宮体がんの罹患リスクが高くなるので、最初は不正出血かと思ってぎょっとしたが、どうやら生理のようだった。ちなみに、タモキシフェンは乳がんにはエストロゲンを抑える働きをする一方で、子宮ではエストロゲンに似た作用をするため、子宮体がんの罹患リスクが若干高くなると言われている。子宮内膜を増殖させる働きのあるエストロゲンが子宮内で相対的に強くなると、子宮内膜の増殖を抑える働きのあるプロゲステロンが相対的に弱くなるので、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮内膜ポリープのリスクが高まるという仕組みらしい。
Y先生に報告すると、2本立てで始めたホルモン治療を1つに減らしたために復活したと思われるが、その辺りのエビデンスは残念ながらない、不正出血の可能性も否定できない、婦人科の検査を受けるしか見極められない、と言われる。またエビデンスか…。とにかく子宮頸がんと体がんの検査を受けることになった。いずれ受けなければいけない検査だと思っていたので、ちょうどよいといえばちょうどよくもあった。
脳の検査と婦人科の検査を予約して帰ってから何日も経たない頃、歩いていると突然左脚の鼠径(そけい)部(:つけ根の前面の動脈が通っている辺り)にズキンと痛みが走るようになった。これも初めての痛みだった。家で歩いているときには起こらず、外で歩き出して少しすると痛み始め、しばらく安静にしていると治るのが特徴だ。ぎっくり腰の痛みのように瞬間的だが痛烈な痛みで、足を踏み出すのが怖くなるようなものだった。太腿や膝の裏にも鈍い痛みが出ることもあった。ネットで調べると、「間歇性跛行」(かんけつせいはこう:運動により生じ、安静により寛解する下肢痛)に当たるようだった。これも動脈硬化で起こる症状なので、やはり気になった。Y先生の診療予約がすぐには取れなかったので、看護師に何とかならないかと粘ると、Y先生に話を通してくれ、別の医師に問診してもらえることになった。
そのN医師による問診の結果、同じ病院内の循環器病学、特に不整脈専門の内科医が紹介された。M医師は、爪先の痺れや脚の冷感がないかどうかを確かめた上、5月下旬に外科で行った血液検査の結果からは動脈硬化は考えにくい、中性脂肪値の上昇がすぐに動脈硬化につながるとは限らない、と言った。他に考えられるのは、神経の問題、筋肉・関節の問題、鼠径ヘルニア(:一般的には脱腸)だが、鼠径ヘルニアは年齢的に考えにくい、とも言った。とにかく動脈硬化検査(ABI / PWV 検査*)をすることになった。
* 「おくすり110番」をご参照ください。
* ABI / PWV 検査