「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点、誤字や脱字等は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
水ぬるむ信濃の川をよぎる汽車 はなやぐ子等の声を盛りゆく
新潟県燕町 岡田 勇五
氷雪にとざされたわが国穀倉信濃平野を流れる川も、やがて陽春の光りを浴びて水ぬるみ、樹々も青く芽ぶき、自然も人生も再び廻り来る春のよろこびに包まれる。
子等の一団の行楽を乗せた列車はいまや自由と解放への壮途をふんで信濃の川を越え驀進する。
期せずして湧きあがる子等の歓声!
それは自然への讃嘆、解放への歓声でなくて何であろうか……。
私は生きるものの持つ自由と平和への解放の歓喜を、いまこそ純真な子等の声の中に聞いた。
(勇五)