バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
車体ホールド 外足荷重を考える③
リーンウィズ旋回する樹生(10年前の写真)。教習所コースでのホンダ試乗会で。
前回の記事では積極的な内向力を生む意味でのリーンインの時、内側にもたれかかる全身の体重を外足を引っ掛けるようにしてそこからマシンにぶら下がる(hang-off)ようにしてホールドする話をしました。
また、完全にバランスしたリーンウィズでの旋回時には外足荷重は必要ないこともお話しました。
しかし、ツーリングペースで、初めてのワインディングを軽く走るようなときでも、ちょっと「コーナリング」っぽく走るならば、やはり外足荷重、私の理解では外足ホールドはお薦めです。
今日は日常的な速度、バンク角での外足ホールドの話です。
図1
図1は、ツーリングでよくあるような、リーンウィズで普通にコーナリングしている状態を示したものです。
この時、確かにライダーのホールドは直線の時と同じでも、問題なく走れます。
いや、旋回効率や合理的ライディングを言うなら、何もせずに重力と遠心力とのバランスに任せているのが正しい。
しかし、こんな場合でも、ライダーの意識としては若干右足での車体ホールドを強め、相対的に左に掛ける荷重を減らしておくのがお薦めです。
その比率は、道の曲率、バイクのスピード、バンク角などによっていろいろ変わりますが、一般的に速くなるほど、バンク角が深くなるほど、旋回Gが大きくなるほど、外足重視の方向に比率を移していくのがいいと思います。
それは、万一の時に備えた安全性を確保するためです。
限界まで攻めないツーリングでも、道の状況により、旋回中にタイヤがズルッと来ることはあり得ることですね。
落ち葉を踏む、道に部分的にオイルが流れていた、段差を乗り越えた途端にちょっと滑った…。
そんな時、ライダーは車体の挙動を、バイクが体の下で横に倒れながら外に逃げていくように感じます。
このとき、外足荷重の状態なら、とっさに外足を踏みしめ、ニーグリップを強めることが、バイクを起こす方向に働き、すべってアウト側に逃げていく車体に対してライダーの上体もついていきやすいのです。
これが、内足荷重だと、すべって横に倒れていくバイクをさらに押し出しながら倒していくような方向にライダーが入力してしまうことになります。
しかも、上体がアウト側に追随できず、イン側に残って下に落ちる、つまり転倒する可能性が高くなります。
前回、倒しこむ一瞬だけならまだしも、旋回状態で内足荷重を続けるのは危険と書いたのはこういうわけです。
むろん、もっとも効率のいいリーンウィズ旋回、つまりどちらかに荷重を移動するのでなく、自然に乗っている状態からズルッと滑ったとしても、そのすべる過程で自然と姿勢はリーンアウト気味になり、意識しなくても外足荷重に移行することは確かです。
しかし、人間はすでに加えられている力の方向でその力の大小が変わっても簡単に適応できるのに対し、力の方向が変わったり、ゼロからいきなり力が加わったりすると、その違いが小さくても対応が遅れたり、大きくバランスを崩したりすることがあります。
電車に乗っていて1番揺さぶられやすいのは、加速から減速に力の方向が変わる瞬間だったり、カーブに入る瞬間だったりしますよね。
つまり、リーンウィズでも、完全に無駄な力を入れていない状態よりも、わずかでも外足荷重にして不測の事態に備えている状態のほうが、すばやく滑りに対処でき、簡単に対応できるのです。
それが、ツーリングペースでも外足荷重を推奨する大きな理由です。
太いリヤタイヤを履く最近のロードバイクでは、スーパースポーツでなくとも、ほんの軽いリーンインの方がハンドリングが自然に感じられることがあるというお話は、(前回記事でもリンクかけましたが)以前しました。
そんなわずかに座りなおしたような軽いリーンインの状態での外足荷重に関して考えてみましょう。
実はわずかでもお尻をずらした方がこの外足荷重はやりやすくなります。
まず、乗車時の車体ホールドの鉄則、「がっしりホールドした下半身、フリーな上半身」はここでもしっかり守ります。
傾いていても遠心力によりシートにかかる上半身の重量は、リヤタイヤの接地点に向けて自然にかかり、グリップ感を増すように、お尻がシートに沈み込むように荷重がかかるままにして、旋回中はシートにかかる荷重を抜かないようにします。
そして外足全体で車体をホールド。
ステップは軽く下前方に押すように踏んでかかとやくるぶしをマシンに押し付け、膝から下全体をこれもわずかに前方に蹴り出すような感じで押し出すようにすると、その反力で膝から腿の内側がバイク(タンクの場合が多いですが)に密着します。
このとき、内足の膝と外足の膝でタンクを挟み込んでニーグリップしてもいいのですが、そうしなくても、体重が内側からシートにかかり、上記の膝下のホールドをすれば、外足のマシンに触れる面全体ががっちりマシンをホールドしていることを感じられると思います。
この時内足は特に力を入れずに、ステップには足の自重を乗せるだけという感じです。
膝は楽なように。開いても閉じても可。無理に力を入れるとそこが固くなってとっさの時の体を動きを邪魔します。
リラックスを心がけます。
横から見てみましょう。
ステップを軽く踏み、ややひねるようにしてかかととくるぶしをバイクに圧着させる。
膝下全体を前に蹴り出すような感じできゅっと決めると、膝の内側がバイクに押し付けられ、外足でのニーグリップも決まる。
上体はリラックスして、その重さをシートに、お尻を大きく移動したときは外足の腿の内側から、小さな移動のときは、お尻の外側半分から、旋回Gに逆らわず、シートを沈み込ませるようにかけていく。(力を入れるのではありません。)
この時、外足のつくるこの三角形が、突然の荷重変化やスリップにも負けない強固なホールドを実現しているのです。
分解すればそれぞれの場所がそれぞれに力を入れたりしていますが、ある1点だけに力を入れて耐えるのではなく、この三角形で体をマシンにホールドする。この三角形のホールド機能を高める、という意識で、いろいろと工夫してみてください。
ポイントは、いかに一点に負担を集中させずに三角形全体の強靭さを増すか、です。
さあ、まとめてみましょう。
コーナリングでの「外足荷重」ですが、
1 荷重といっても思い切り力を入れてステップを踏んだりするのではない。
2 リーンアウト、リーンインでは外足のホールドは必須。
3 リーンウィズでも、安全性を考えてやや外足重視の意識の方がよい。
4 外足ホールドは、足の三角形をイメージして、その三角形全体でホールドする。
以上、4つのポイントが大切だと思います。
最後にもう一度、私自身のリーンウィズでの外足ホールドを見てみましょう。
(他に写真が見つかんなかったんです…。皆さん我慢してね。)
リーンウィズでのトラクション旋回。
くるぶしでのグリップととニーグリップを効かそうとしてステップをややひねるようにかかとを押し付けていますが、そのせいで少しつま先が開いてしまっていますね。まあ、それもありなんですが、ちょっと大げさかな、樹生クン。つま先はもう少し閉じて進行方向を向けたほうがいいよ。
背骨をわずかに湾曲させるようにして内側にもたれかかり、上半身の荷重はリヤタイヤの接地点に向けてかけるように柔軟に。シートに沈み込ませるように力を抜いて荷重。このあたりはできてるようですね。
外側の足の三角形でしっかり車体をホールド、内側の足は力を入れない(というより意識して抜く)。
旋回しながらの立ち上がり加速で上体が後ろに持っていかれないように、そのGが素直氏シートを通してリヤにかかるように、上体を背筋と腹筋でわずかに前傾させ、バランスをとる。
そんなシーンです。
10年前、広島県の自動車教習所で行われたホンダの試乗会で、妻が撮ってくれた一枚でした。
この頃の私、体重も今より7kgも軽かった……。
それにしてもこの10年、走行写真が一枚もない私って…。
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また、完全にバランスしたリーンウィズでの旋回時には外足荷重は必要ないこともお話しました。
しかし、ツーリングペースで、初めてのワインディングを軽く走るようなときでも、ちょっと「コーナリング」っぽく走るならば、やはり外足荷重、私の理解では外足ホールドはお薦めです。
今日は日常的な速度、バンク角での外足ホールドの話です。
図1
図1は、ツーリングでよくあるような、リーンウィズで普通にコーナリングしている状態を示したものです。
この時、確かにライダーのホールドは直線の時と同じでも、問題なく走れます。
いや、旋回効率や合理的ライディングを言うなら、何もせずに重力と遠心力とのバランスに任せているのが正しい。
しかし、こんな場合でも、ライダーの意識としては若干右足での車体ホールドを強め、相対的に左に掛ける荷重を減らしておくのがお薦めです。
その比率は、道の曲率、バイクのスピード、バンク角などによっていろいろ変わりますが、一般的に速くなるほど、バンク角が深くなるほど、旋回Gが大きくなるほど、外足重視の方向に比率を移していくのがいいと思います。
それは、万一の時に備えた安全性を確保するためです。
限界まで攻めないツーリングでも、道の状況により、旋回中にタイヤがズルッと来ることはあり得ることですね。
落ち葉を踏む、道に部分的にオイルが流れていた、段差を乗り越えた途端にちょっと滑った…。
そんな時、ライダーは車体の挙動を、バイクが体の下で横に倒れながら外に逃げていくように感じます。
このとき、外足荷重の状態なら、とっさに外足を踏みしめ、ニーグリップを強めることが、バイクを起こす方向に働き、すべってアウト側に逃げていく車体に対してライダーの上体もついていきやすいのです。
これが、内足荷重だと、すべって横に倒れていくバイクをさらに押し出しながら倒していくような方向にライダーが入力してしまうことになります。
しかも、上体がアウト側に追随できず、イン側に残って下に落ちる、つまり転倒する可能性が高くなります。
前回、倒しこむ一瞬だけならまだしも、旋回状態で内足荷重を続けるのは危険と書いたのはこういうわけです。
むろん、もっとも効率のいいリーンウィズ旋回、つまりどちらかに荷重を移動するのでなく、自然に乗っている状態からズルッと滑ったとしても、そのすべる過程で自然と姿勢はリーンアウト気味になり、意識しなくても外足荷重に移行することは確かです。
しかし、人間はすでに加えられている力の方向でその力の大小が変わっても簡単に適応できるのに対し、力の方向が変わったり、ゼロからいきなり力が加わったりすると、その違いが小さくても対応が遅れたり、大きくバランスを崩したりすることがあります。
電車に乗っていて1番揺さぶられやすいのは、加速から減速に力の方向が変わる瞬間だったり、カーブに入る瞬間だったりしますよね。
つまり、リーンウィズでも、完全に無駄な力を入れていない状態よりも、わずかでも外足荷重にして不測の事態に備えている状態のほうが、すばやく滑りに対処でき、簡単に対応できるのです。
それが、ツーリングペースでも外足荷重を推奨する大きな理由です。
太いリヤタイヤを履く最近のロードバイクでは、スーパースポーツでなくとも、ほんの軽いリーンインの方がハンドリングが自然に感じられることがあるというお話は、(前回記事でもリンクかけましたが)以前しました。
そんなわずかに座りなおしたような軽いリーンインの状態での外足荷重に関して考えてみましょう。
実はわずかでもお尻をずらした方がこの外足荷重はやりやすくなります。
まず、乗車時の車体ホールドの鉄則、「がっしりホールドした下半身、フリーな上半身」はここでもしっかり守ります。
傾いていても遠心力によりシートにかかる上半身の重量は、リヤタイヤの接地点に向けて自然にかかり、グリップ感を増すように、お尻がシートに沈み込むように荷重がかかるままにして、旋回中はシートにかかる荷重を抜かないようにします。
そして外足全体で車体をホールド。
ステップは軽く下前方に押すように踏んでかかとやくるぶしをマシンに押し付け、膝から下全体をこれもわずかに前方に蹴り出すような感じで押し出すようにすると、その反力で膝から腿の内側がバイク(タンクの場合が多いですが)に密着します。
このとき、内足の膝と外足の膝でタンクを挟み込んでニーグリップしてもいいのですが、そうしなくても、体重が内側からシートにかかり、上記の膝下のホールドをすれば、外足のマシンに触れる面全体ががっちりマシンをホールドしていることを感じられると思います。
この時内足は特に力を入れずに、ステップには足の自重を乗せるだけという感じです。
膝は楽なように。開いても閉じても可。無理に力を入れるとそこが固くなってとっさの時の体を動きを邪魔します。
リラックスを心がけます。
横から見てみましょう。
ステップを軽く踏み、ややひねるようにしてかかととくるぶしをバイクに圧着させる。
膝下全体を前に蹴り出すような感じできゅっと決めると、膝の内側がバイクに押し付けられ、外足でのニーグリップも決まる。
上体はリラックスして、その重さをシートに、お尻を大きく移動したときは外足の腿の内側から、小さな移動のときは、お尻の外側半分から、旋回Gに逆らわず、シートを沈み込ませるようにかけていく。(力を入れるのではありません。)
この時、外足のつくるこの三角形が、突然の荷重変化やスリップにも負けない強固なホールドを実現しているのです。
分解すればそれぞれの場所がそれぞれに力を入れたりしていますが、ある1点だけに力を入れて耐えるのではなく、この三角形で体をマシンにホールドする。この三角形のホールド機能を高める、という意識で、いろいろと工夫してみてください。
ポイントは、いかに一点に負担を集中させずに三角形全体の強靭さを増すか、です。
さあ、まとめてみましょう。
コーナリングでの「外足荷重」ですが、
1 荷重といっても思い切り力を入れてステップを踏んだりするのではない。
2 リーンアウト、リーンインでは外足のホールドは必須。
3 リーンウィズでも、安全性を考えてやや外足重視の意識の方がよい。
4 外足ホールドは、足の三角形をイメージして、その三角形全体でホールドする。
以上、4つのポイントが大切だと思います。
最後にもう一度、私自身のリーンウィズでの外足ホールドを見てみましょう。
(他に写真が見つかんなかったんです…。皆さん我慢してね。)
リーンウィズでのトラクション旋回。
くるぶしでのグリップととニーグリップを効かそうとしてステップをややひねるようにかかとを押し付けていますが、そのせいで少しつま先が開いてしまっていますね。まあ、それもありなんですが、ちょっと大げさかな、樹生クン。つま先はもう少し閉じて進行方向を向けたほうがいいよ。
背骨をわずかに湾曲させるようにして内側にもたれかかり、上半身の荷重はリヤタイヤの接地点に向けてかけるように柔軟に。シートに沈み込ませるように力を抜いて荷重。このあたりはできてるようですね。
外側の足の三角形でしっかり車体をホールド、内側の足は力を入れない(というより意識して抜く)。
旋回しながらの立ち上がり加速で上体が後ろに持っていかれないように、そのGが素直氏シートを通してリヤにかかるように、上体を背筋と腹筋でわずかに前傾させ、バランスをとる。
そんなシーンです。
10年前、広島県の自動車教習所で行われたホンダの試乗会で、妻が撮ってくれた一枚でした。
この頃の私、体重も今より7kgも軽かった……。
それにしてもこの10年、走行写真が一枚もない私って…。
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コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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ほとんど意味わからずの私ですが、樹生さんの情熱がヒシヒシと伝わってきます。
娘婿が通勤をバイクにしました。
ガソリン高を考えてのようですが、暫く乗っていなかったので、また魅力を思い出したようです。
天候が不順な日が多く、しばしば乗れないので残念がっています。
それにしても、樹生さんのイラスト上手ですね。
微妙な違いがでていて、説明文をしっかりサポートしていると感心しています。
こんなめんどくさい記事をお読みいただいて、本当に有難うございます!感謝します。
オートバイの運転は、普通のペースでも乗り手の操作の仕方によって車体の反応が変わるので、操っている実感が大きく、上手く行くと人車一体感が味わえてとってもハッピーになります。
より安全に、よりハッピーに。
それを求めて、ライダーは飽くなきトライを続けます。
それがたまらなく好きなんです、私。
娘婿さんも、その感覚を思い出したのかもしれませんね。
バイクは燃費もいいですし、場所もとらないし、普段の通勤にはなかなかいい乗り物だと思います。(自転車には負けますけど)精神的にも気分転換にもなっていいです。
イラストもおほめいだたき、とてもうれしいです。
裏紙などに鉛筆で落書きしたりして、私としてはいっぱいいっぱいのイラストです。