バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
GPZ1100 樹生流操作術2 レバーワーク②
ブレーキレバーの操作。あなたは何本指派ですか?
教習所で教わる4本指。しかし、ベテランの中では少数派。それにはちゃんと理由があったのですが、実は4本指派の最近の代表選手と言えば、あの「バレンティーノ=ロッシ」選手。MotoGPの最新の技術が可能にした新しいスタイルです。
素人考えの推測ですが、4本掛けを可能にしたのは、MOTOGPマシンの電子制御技術、具体的にはスロットル全閉時にエンジンブレーキが掛からないようにモーター制御する「フライバイワイヤ」方式だと思います。
この技術により、シフトダウン時に回転数を合わせるためアクセルを一瞬あおる必要がなくなり、右手の仕事はブレーキレバー操作に集中できるようになったため、4本掛けが可能になったと、私は考えているのですが、レース関係の記事ではもう何年も前に真相が明らかにされているかもしれませんね。
GPZ1100は、当然そんな電子デバイスもなければ、バックトルクリミッターもありません。シフトダウン時にはちょっとアクセルをあおった方がギヤを傷めず、スムーズに乗れます。
そこでブレーキレバーを握ったままアクセルをあおりやすい1~3本掛けのレバー使いとなります。
私の普段使いの操作は2本掛けです。右側の写真は手の感触がわかるようにグローブを脱いだ状態で撮影しました。素手で運転することはありませんので、念のため。
この状態はクルージング状態です。アクセルはわずかに開いており、手首は机の上でマウスを持った時のような角度です。人差し指と中指がレバーの上面に置かれています。グリップはどこかに力を入れて保持するのでなく、全体で包み込むように握り、グローブとグリップの接する面全体の摩擦でアクセル開度を保持します。
ここで手首が落ちすぎると長時間では手の疲労がつらくなってきます。
減速を判断したら、まずアクセルを全閉に。アクセルを戻したぶん、グリップが向こう側にごくわずか回転し、そのせいで手首の位置が少し上がっています。この動きだけで同時にレバーの上に置いていた指がレバーを引ける位置まで前進し、載っている状態から掛かっている状態に変化。
と、同時に…
レバーを引いて制動開始。ごく初期の制動では、荷重が前輪に移り、Fフォークが沈む、車体のピッチングが起きますので、一瞬それをやり過ごしてから、すぐさま第2段の強い制動に入ります。
私の愛車のブレーキは13年前の純正システムなので、最新の高精度ブレーキシステムのような数十段階から無段階の繊細な操作は難しいですが、ブレーキ強度を10~15段階くらいにコントロールすることは、私の腕でもできます。(上手い人ならもっとできるでしょう)
制動力のコントロールはバイクライディングでも面白い技術の一つ。その話はまたいつか。
この2本掛けのメリットは、
4本掛けならば、アクセルを戻すと同時にグリップから指を離す⇒指を伸ばしてレバーにかける⇒レバーを引く、と3アクション必要なブレーキング操作が、アクセルを戻す⇒レバーを引く、と2アクションで、感覚的には1.5アクションくらいでできるため、制動までの空走距離をわずかですが短くできること。
あわてて鷲掴みにしてグワッっと握らないので、急制動時の危険性が低いこと。
(2本掛けでも強く握れば制動力不足はありません。)
などがあげられます。
写真は1本掛け。私の「HERO」、往年の世界チャンピオン、エディー=ローソンはこの方式でした。時速290㎞からの一本掛けフルブレーキング!VTRを見ていても、いつ制動を止めて加速に移ったのかわかりにくいその継ぎ目のないライディング。痺れました。
彼はAMA時代、カワサキに乗っていたのですが、直線のフルブレーキでボトム付近まで沈んだFフォークの長さが、コーナーの頂点までずっと変わらないことでも有名でした。つまり、減速Gをそのまま旋回Gに置き換えて行くように、コーナー進入とブレーキのリリースを同調させていたのです。タイヤは常に最大グリップ力を発揮し続けたまま、安定して旋回していく…。
「ステディ(安定した)エディ」と呼ばれ、派手さ、面白みのないチャンピオンといわれた彼でしたが、その繊細なセンスは神業に近いものがありました。
最後は3本掛け。数年前まで私はずっとこの方式でした。
レバー根本付近に見える銀色のコイン大のものは、レバーの遠さを調節できるダイヤルです。工具も不要でその場で調整できるようになっています。今までの写真はずべて一番遠い位置にしてありましたが、この写真は近めにしています。
3本指がしっかり掛かる近さ、かつ握りこんだときに人差し指が挟まれない位置に調整します。この場合は4段階のうち、近い方から2番目です。
3本掛けのメリットは、てこの原理で大きな力の掛かるレバーの先端付近を3本指で握りこむことができること。つまり、強い制動力を頻繁に引き出す走りをする場合、高速域からFロック寸前を保つフルブレーキングを繰り返すような乗り方をする場合は、こちらが向いています。
過去一度だけ、岡山のTIサーキットで、メインストレートで抜いていったドカの916(998でないところが古い!)軍団4台をストレートエンドのブレーキングでごぼう抜きしたときは快感でした。(もう9年も前の話ですが…)
最近ではこの3本掛けスタイルは減ってきました。それはバイクのブレーキシステムの性能が上がり(過ぎ?)、2本掛けでもほぼ最高速域からのフルブレーキングが可能になったため、といわれています。
GPZ1100は重い車重を持つ古いバイクですので、3本掛けはいまだに有効。
ではなぜやめたのか、と言えば、私が飛ばさなくなったからでしょう。
しかし、飛ばさなくてもフルブレーキの練習は必要。
自分と愛車のコンビによるさまざまな状況下でのフルブレーキ能力の限界を知っていれば、今、どこまで飛ばしていいかが大体わかってきます。
私もしばらくフルブレーキ練習をさぼっていましたので、人通りの少ない安全な場所で安全な速度で、練習しておこうと思います。
<お知らせ>
ライテク関連の当ブログ記事一覧は、記事右のサイドバーの中にある「カテゴリー」から<ライテク>をクリックすると15件ずつ表示されます。または、こちらのクリックでも同様のページが開きます。
⇒ライテク記事目次へ。
⇒ブログトップページへ。
教習所で教わる4本指。しかし、ベテランの中では少数派。それにはちゃんと理由があったのですが、実は4本指派の最近の代表選手と言えば、あの「バレンティーノ=ロッシ」選手。MotoGPの最新の技術が可能にした新しいスタイルです。
素人考えの推測ですが、4本掛けを可能にしたのは、MOTOGPマシンの電子制御技術、具体的にはスロットル全閉時にエンジンブレーキが掛からないようにモーター制御する「フライバイワイヤ」方式だと思います。
この技術により、シフトダウン時に回転数を合わせるためアクセルを一瞬あおる必要がなくなり、右手の仕事はブレーキレバー操作に集中できるようになったため、4本掛けが可能になったと、私は考えているのですが、レース関係の記事ではもう何年も前に真相が明らかにされているかもしれませんね。
GPZ1100は、当然そんな電子デバイスもなければ、バックトルクリミッターもありません。シフトダウン時にはちょっとアクセルをあおった方がギヤを傷めず、スムーズに乗れます。
そこでブレーキレバーを握ったままアクセルをあおりやすい1~3本掛けのレバー使いとなります。
私の普段使いの操作は2本掛けです。右側の写真は手の感触がわかるようにグローブを脱いだ状態で撮影しました。素手で運転することはありませんので、念のため。
この状態はクルージング状態です。アクセルはわずかに開いており、手首は机の上でマウスを持った時のような角度です。人差し指と中指がレバーの上面に置かれています。グリップはどこかに力を入れて保持するのでなく、全体で包み込むように握り、グローブとグリップの接する面全体の摩擦でアクセル開度を保持します。
ここで手首が落ちすぎると長時間では手の疲労がつらくなってきます。
減速を判断したら、まずアクセルを全閉に。アクセルを戻したぶん、グリップが向こう側にごくわずか回転し、そのせいで手首の位置が少し上がっています。この動きだけで同時にレバーの上に置いていた指がレバーを引ける位置まで前進し、載っている状態から掛かっている状態に変化。
と、同時に…
レバーを引いて制動開始。ごく初期の制動では、荷重が前輪に移り、Fフォークが沈む、車体のピッチングが起きますので、一瞬それをやり過ごしてから、すぐさま第2段の強い制動に入ります。
私の愛車のブレーキは13年前の純正システムなので、最新の高精度ブレーキシステムのような数十段階から無段階の繊細な操作は難しいですが、ブレーキ強度を10~15段階くらいにコントロールすることは、私の腕でもできます。(上手い人ならもっとできるでしょう)
制動力のコントロールはバイクライディングでも面白い技術の一つ。その話はまたいつか。
この2本掛けのメリットは、
4本掛けならば、アクセルを戻すと同時にグリップから指を離す⇒指を伸ばしてレバーにかける⇒レバーを引く、と3アクション必要なブレーキング操作が、アクセルを戻す⇒レバーを引く、と2アクションで、感覚的には1.5アクションくらいでできるため、制動までの空走距離をわずかですが短くできること。
あわてて鷲掴みにしてグワッっと握らないので、急制動時の危険性が低いこと。
(2本掛けでも強く握れば制動力不足はありません。)
などがあげられます。
写真は1本掛け。私の「HERO」、往年の世界チャンピオン、エディー=ローソンはこの方式でした。時速290㎞からの一本掛けフルブレーキング!VTRを見ていても、いつ制動を止めて加速に移ったのかわかりにくいその継ぎ目のないライディング。痺れました。
彼はAMA時代、カワサキに乗っていたのですが、直線のフルブレーキでボトム付近まで沈んだFフォークの長さが、コーナーの頂点までずっと変わらないことでも有名でした。つまり、減速Gをそのまま旋回Gに置き換えて行くように、コーナー進入とブレーキのリリースを同調させていたのです。タイヤは常に最大グリップ力を発揮し続けたまま、安定して旋回していく…。
「ステディ(安定した)エディ」と呼ばれ、派手さ、面白みのないチャンピオンといわれた彼でしたが、その繊細なセンスは神業に近いものがありました。
最後は3本掛け。数年前まで私はずっとこの方式でした。
レバー根本付近に見える銀色のコイン大のものは、レバーの遠さを調節できるダイヤルです。工具も不要でその場で調整できるようになっています。今までの写真はずべて一番遠い位置にしてありましたが、この写真は近めにしています。
3本指がしっかり掛かる近さ、かつ握りこんだときに人差し指が挟まれない位置に調整します。この場合は4段階のうち、近い方から2番目です。
3本掛けのメリットは、てこの原理で大きな力の掛かるレバーの先端付近を3本指で握りこむことができること。つまり、強い制動力を頻繁に引き出す走りをする場合、高速域からFロック寸前を保つフルブレーキングを繰り返すような乗り方をする場合は、こちらが向いています。
過去一度だけ、岡山のTIサーキットで、メインストレートで抜いていったドカの916(998でないところが古い!)軍団4台をストレートエンドのブレーキングでごぼう抜きしたときは快感でした。(もう9年も前の話ですが…)
最近ではこの3本掛けスタイルは減ってきました。それはバイクのブレーキシステムの性能が上がり(過ぎ?)、2本掛けでもほぼ最高速域からのフルブレーキングが可能になったため、といわれています。
GPZ1100は重い車重を持つ古いバイクですので、3本掛けはいまだに有効。
ではなぜやめたのか、と言えば、私が飛ばさなくなったからでしょう。
しかし、飛ばさなくてもフルブレーキの練習は必要。
自分と愛車のコンビによるさまざまな状況下でのフルブレーキ能力の限界を知っていれば、今、どこまで飛ばしていいかが大体わかってきます。
私もしばらくフルブレーキ練習をさぼっていましたので、人通りの少ない安全な場所で安全な速度で、練習しておこうと思います。
<お知らせ>
ライテク関連の当ブログ記事一覧は、記事右のサイドバーの中にある「カテゴリー」から<ライテク>をクリックすると15件ずつ表示されます。または、こちらのクリックでも同様のページが開きます。
⇒ライテク記事目次へ。
⇒ブログトップページへ。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« GPZ1100 ... | GPZ1100 ... » |
コメントは
お久しぶりと思いますが?
今は
ブレーキ2本
クラッチ4本、
走りこむと2本
(と言ってもめったにありませんが・・・)
懐かしい
辻司や根本健の名前
ネモケンはサイドリバーで箱根や伊豆の(たぶん)
画像を見てますが・・・
すごい、
分かりやすい
クラッチとブレーキの操作方法
ネモケン以上かな?
私の方もご無沙汰しておりました。
辻司さん、山田純さん、和歌山利宏さん、キース、コードさん、根本健さんは私のライテクの先生です。
もうお分かりかと思いますが、私はネモケン派です。
1980年代の『ライダースクラブ』誌は、本当に面白かった。むさぼるように、何回も何回も読みました。
いつか理解できるようになりたい!そんな思いで読みました。
今でも根本氏は私の心の先生です。