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聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
22年目の夏5 大雪の懐へ

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三国峠は、以前はダートだった。
僕も、あいつも、ダート時代の三国峠をバイクで走ったことがある。
じゃりが深く、オンロードバイクの僕にはかなりきつかった。
1994年頃に全面舗装が完了し、現在の快走路となったらしい。
1997年、僕が8年ぶりに北海道に戻ってきたとき、真新しい三国峠を越えた。
あのときは真夏なのに雨に打たれ、気温は低く、凍えてしまって、糠平のガソリンスタンドで炊いていた石油ストーブにあたらせてもらったのを思い出す。
今日は晴れて明るい三国峠、こんなに明るいのは珍しいとあいつもいっていた。
国道273号線は石狩川の源流域を経て、大雪ダムの作った大雪湖を巡り、国道39号線に合流する。

そこから10㎞ほど下れば、層雲峡だ。
柱状節理の断崖、100mの落差のある流星の滝、銀河の滝、以前は崖を渓谷美を見ながらぎりぎりで通っていく交通の難所だったが、現在では長いトンネルで難所を回避、渓谷はわざわざ立ち寄らないと見られない。
また、層雲峡温泉は大型温泉ホテルが林立する道内でも有数の観光地で、層雲峡、すぐ近くからロープウェイで登れる黒岳など、大雪山系登山の基地としてもよく使われる。
今回はただ、通過する。
我々の今日の宿はこの大雪山系のちょうど裏側、大雪山旭岳温泉。
標高1050mにあるユースホステルを兼ねた白樺荘。
大雪の山々の北側をぐるっと迂回して向かう。
この層雲峡から旭川へ向かう国道39号線。
僕もあいつも、この道はあんまり好きではない。
景色もまあまあいいのに、なぜだろう。
たぶんこの道の交通量の多さが原因していると思う。
大型トラック、大型バスがいつでも列を作り、片側1車線の道をただ大名行列のように延々流れていく。
いつ通っても、ここで緊張感が薄れ、眠くなってしまう。
居眠り運転で死亡事故なんてごめんだ。
眠気を感じたらすぐに停まるに限る。
と、そろそろまずいか…という雰囲気がしだした頃に旭川紋別自動車道のI.C.がやってきた。なんと開通区間が短いこの高速道は現在無料なのだ。
大名行列の後で眠気と戦うくらいなら、使わない手はない。
上川層雲峡ICから愛別ICまで、ひゅうんとワープして気分もリフレッシュ。
道道140号線を当麻へ。
当麻のコンビ二で買い物をして、ガソリンを満タンにしたら、裏道をつないで旭山動物園の裏を抜け、東川町中中別に抜ける。
そこからは道道1160号線をただ、旭岳方面へ走るだけだ。
午後4時を回り、5時宿到着にはちょうどいい感じ。

旭岳へと登る道は途中忠別川に架けられた巨大ダム、忠別ダムを越えていく。
巨大なダム湖が我々を迎える。
それが過ぎたら、あとは山道、ワインディングだ。
ここも北海道らしい、道幅広く、急なつづら折にならない、走って気持ちいいワインディングが続く。

夏の陽が、西日となって、光と影のコントラストを高めていく。
あいつはぎゅんぎゅんと坂を登っていく。
急流を遡る、いきのいい魚のように。
カーブを曲がる毎に高度が上がり、気温が下がっていく。
一日の疲れを吹き飛ばすような、気持ちのいい快走だ。

やがて道は高原に上がりきり、正面に旭岳が見えてくる。
今日は山頂は雲の中だ。

たどりついた宿、大雪山白樺荘は、清潔で気持ちのいい宿だった。
YHを兼ねているためか、外国人客の方が多い。
おいしい食事を食べ、露天風呂につかる。
露天風呂のそばにはハーブが植えてあって、これが虫除けになっているのだろう。
気持ちいい香りと柔らかな温泉の湯。
22年ぶりのツーリングに話も積もれば、夜はゆっくりと更けていくのであった。

翌日は朝から気持ちよく晴れた。
お互い、昨日までの仕事疲れが抜けていなかったせいか、夜は日付が変わる前に沈没、朝はなんと7時の朝食に少し遅れて起き出すという有様だった。
でも焦らない。
今日は美瑛の丘をくるっと見て回ったら、あとは石狩方面に帰るだけだ。
朝食をいただくと、朝風呂にも入り、宿の周囲を散歩した。

一人旅でこの朝のだらだらはないなあ…。
別に何を話すというのでもないのだが、高原の朝、贅沢な時間。
山を眺め、道を歩き、渓流を眺める。
セミはもう鳴き始め、陽射しは強い。
今日も夏の一日だ。

宿を出たのは9時をとっくに回っていた。
昨日山が雲の中だった忠別ダムからの眺めは、
今日は素晴しいものに変わっていた。

イタヤカエデの緑が、湖面に立つさざなみに映える。
さあ、美瑛の丘に、ぼちぼちと向かおう。
いやあ、いかにもですなあ。
でも、いいものは、いい、でしょう。
(つづく)
三国峠は、以前はダートだった。
僕も、あいつも、ダート時代の三国峠をバイクで走ったことがある。
じゃりが深く、オンロードバイクの僕にはかなりきつかった。
1994年頃に全面舗装が完了し、現在の快走路となったらしい。
1997年、僕が8年ぶりに北海道に戻ってきたとき、真新しい三国峠を越えた。
あのときは真夏なのに雨に打たれ、気温は低く、凍えてしまって、糠平のガソリンスタンドで炊いていた石油ストーブにあたらせてもらったのを思い出す。
今日は晴れて明るい三国峠、こんなに明るいのは珍しいとあいつもいっていた。
国道273号線は石狩川の源流域を経て、大雪ダムの作った大雪湖を巡り、国道39号線に合流する。

そこから10㎞ほど下れば、層雲峡だ。
柱状節理の断崖、100mの落差のある流星の滝、銀河の滝、以前は崖を渓谷美を見ながらぎりぎりで通っていく交通の難所だったが、現在では長いトンネルで難所を回避、渓谷はわざわざ立ち寄らないと見られない。
また、層雲峡温泉は大型温泉ホテルが林立する道内でも有数の観光地で、層雲峡、すぐ近くからロープウェイで登れる黒岳など、大雪山系登山の基地としてもよく使われる。
今回はただ、通過する。
我々の今日の宿はこの大雪山系のちょうど裏側、大雪山旭岳温泉。
標高1050mにあるユースホステルを兼ねた白樺荘。
大雪の山々の北側をぐるっと迂回して向かう。
この層雲峡から旭川へ向かう国道39号線。
僕もあいつも、この道はあんまり好きではない。
景色もまあまあいいのに、なぜだろう。
たぶんこの道の交通量の多さが原因していると思う。
大型トラック、大型バスがいつでも列を作り、片側1車線の道をただ大名行列のように延々流れていく。
いつ通っても、ここで緊張感が薄れ、眠くなってしまう。
居眠り運転で死亡事故なんてごめんだ。
眠気を感じたらすぐに停まるに限る。
と、そろそろまずいか…という雰囲気がしだした頃に旭川紋別自動車道のI.C.がやってきた。なんと開通区間が短いこの高速道は現在無料なのだ。
大名行列の後で眠気と戦うくらいなら、使わない手はない。
上川層雲峡ICから愛別ICまで、ひゅうんとワープして気分もリフレッシュ。
道道140号線を当麻へ。
当麻のコンビ二で買い物をして、ガソリンを満タンにしたら、裏道をつないで旭山動物園の裏を抜け、東川町中中別に抜ける。
そこからは道道1160号線をただ、旭岳方面へ走るだけだ。
午後4時を回り、5時宿到着にはちょうどいい感じ。

旭岳へと登る道は途中忠別川に架けられた巨大ダム、忠別ダムを越えていく。
巨大なダム湖が我々を迎える。
それが過ぎたら、あとは山道、ワインディングだ。
ここも北海道らしい、道幅広く、急なつづら折にならない、走って気持ちいいワインディングが続く。

夏の陽が、西日となって、光と影のコントラストを高めていく。
あいつはぎゅんぎゅんと坂を登っていく。
急流を遡る、いきのいい魚のように。
カーブを曲がる毎に高度が上がり、気温が下がっていく。
一日の疲れを吹き飛ばすような、気持ちのいい快走だ。

やがて道は高原に上がりきり、正面に旭岳が見えてくる。
今日は山頂は雲の中だ。

たどりついた宿、大雪山白樺荘は、清潔で気持ちのいい宿だった。
YHを兼ねているためか、外国人客の方が多い。
おいしい食事を食べ、露天風呂につかる。
露天風呂のそばにはハーブが植えてあって、これが虫除けになっているのだろう。
気持ちいい香りと柔らかな温泉の湯。
22年ぶりのツーリングに話も積もれば、夜はゆっくりと更けていくのであった。

翌日は朝から気持ちよく晴れた。
お互い、昨日までの仕事疲れが抜けていなかったせいか、夜は日付が変わる前に沈没、朝はなんと7時の朝食に少し遅れて起き出すという有様だった。
でも焦らない。
今日は美瑛の丘をくるっと見て回ったら、あとは石狩方面に帰るだけだ。
朝食をいただくと、朝風呂にも入り、宿の周囲を散歩した。

一人旅でこの朝のだらだらはないなあ…。
別に何を話すというのでもないのだが、高原の朝、贅沢な時間。
山を眺め、道を歩き、渓流を眺める。
セミはもう鳴き始め、陽射しは強い。
今日も夏の一日だ。

宿を出たのは9時をとっくに回っていた。
昨日山が雲の中だった忠別ダムからの眺めは、
今日は素晴しいものに変わっていた。

イタヤカエデの緑が、湖面に立つさざなみに映える。
さあ、美瑛の丘に、ぼちぼちと向かおう。
いやあ、いかにもですなあ。
でも、いいものは、いい、でしょう。
(つづく)
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