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秋の消息Ⅰ

(2009年10月17日 7:36AM 札幌市南区 藻南公園)

昨日、10月17日土曜日。
札幌から中山峠を越え、羊蹄山を見上げ、洞爺湖を巡って、
一日、秋の紅葉を楽しむツーリングができました。

曇りがちだった天気も、時折秋の陽射しに恵まれ、夜の雨に打たれる前に帰宅できました。

このところ仕事で疲れきってしまい、前夜は肩凝りと頭痛に悩まされ、出かけるかとどうか直前まで迷ったツーリングでしたが、妻が「行ってらっしゃい」と送り出してくれたことが、決め手となりました。
「バイクで走らないと死んじゃうみたいな顔してた」そうです。
かなわないなあ…。

妻に感謝しつつ、出かけてまいりました。

走り出してしまえば、ただのライダー。
家庭も仕事も、忘れるわけじゃないけれど、とりあえず置いておいて、走りに、旅に、徹する。それが私の、ほぼ唯一の魂のリフレッシュ法なのです。
まったく我ながらややこしい変な人格なのですが、受け入れてくれている妻や家族には感謝です。

最初に立ち寄った藻南(もなみ)公園は、藻岩山の南、豊平川が山あいから札幌扇状地へ流れ出る、まさにその口にある公園です。
肌寒い曇りの日の朝。
バイクを止めて、少し歩きました。
いつもは最初に距離を稼ぐべく、空いた道を急ぐのですが、今日は体調もあまりよくないので、ところどころ止まっては秋の景色と空気を味わい、体調に違和感を感じたらすぐに引き返すつもりです。

早朝テニスの楽しそうな声の聞こえるエリアを後に林の中の遊歩道に入ると人影はなく、
蝦夷山桜の赤い葉や、白樺の黄色の葉が、風もない道に音もなく、時折はらはらと舞いながら落ちていました。

ゆっくり深呼吸しながら、今日は、ゆっくり走ろうと、改めて思いました。


(2009年10月17日 8:16AM 札幌市南区 簾舞)

札幌市からニセコ、洞爺方向に向かう大動脈、国道230号線は、行楽期は北海道では珍しい渋滞が起きる道。特に連休でもない土曜日の朝8時は、車通りは多めなものの、きちんと流れていました。

でも僕は、交通量の多い大通りは苦手です。
いつもの裏通りをゆっくり走ると、何台かのファミリーカーが追い抜いていきました。
簾舞(みすまい)というところのお気に入りのいつもの場所で、少し休みます。
里まで降りてきた紅葉は、このあたりの山も見事に染めています。
空は晴れ間がのぞくかと思えば厚い雲に覆われて急に暗くなったりと、不安定。
上空に寒気が入っているのでしょうか。
田んぼは既に今年の仕事を終えています。
もう2週間もしないうちに、ここにも初雪が降るでしょう。


(2009年10月17日 8:34AM 札幌市南区 中山峠)

裏道を小金湯温泉まで行き、そこから国道230に合流しても、まだそんなに渋滞していませんでした。
定山渓の温泉街を過ぎ、少し行くと豊平川の上流にある豊平峡(ほうへいきょう)への分かれ道。ここで多くの車が左折して豊平峡方面へ向かいます。
既に車の列ができ始めていました。
豊平峡は、札幌でも有名な紅葉の名所です。

僕は直進して中山峠方向へ。
しばらく行くと、突然雲が切れ、その合間から強い日差しが山を照らし、前方の斜面がきらきらと光り輝きました。
思わず周囲の安全を確認してからバイクを止めます。

明るい。

秋の輝きは、どうしてこんなに明るく感じるのだろう。
山を見上げ、小さな流れの沢水を眺め、ため息をついているうちに、日はまたさっと曇りました。

車の流れが切れるのを待って、再びバイクに跨ります。


(2009年10月17日 8:43AM 札幌市南区 中山峠)

中山峠手前、拡幅工事前の旧道が道の左に広場のようになっている場所。
草は枯れ色。見渡す限りの山々は錦の衣をまとっていますが、雲の下で色を沈めています。
風はほとんど感じませんが、雲の流れは感じられます。
さらに高い所では、風が強いのでしょう。


(2009年10月17日 9:07AM 喜茂別町)

中山峠はいつ行ってもどこかで工事をしています。
かなり速い車の流れとともに峠を下っていきます。
流れを乱さないのも大事な安全運転の方法のひとつ。
それでも時々現れる長さのある駐車帯では、左に逸れて後ろの車を前に流し、
車列の最後尾につけたらマイペースでゆっくり流して下っていきます。

峠を降りたら、これもいつも通るお気に入りの丘へ。
見えているのは尻別岳。
手前の丘だけ雲が切れて日が差しました。
秋の空気が、大地に満ちている感じがします。


(2009年10月17日 9:10AM 喜茂別町)

道は少しの間だけ森の中をかすめるように走ります。


(2009年10月17日 9:11AM 喜茂別町)

去年も「かくれんぼ」の記事に上げた同じ場所で、今年もやっぱり止まってしまいました。
ここが落ち着くのは、森の外れで、人の暮らしの気配と、山の森の匂いが、同じくらいずつ混ざり合っているからでしょうか。
僕はどうやらナチュラリストでもエコロジストでもなさそうです。
本当の自然そのものには、親しみよりも畏れを感じますし、「地球のために、無駄なガソリンを燃やしCO2を排出する趣味のバイクを降りる」そんなやさしさも、持っていないのですから。


(2009年10月17日 9:11AM 喜茂別町)

居心地がいいので、バイクと反対側の道の端、斜面を背もたれに腰を下ろし、ほんのちょっとの間ですがくつろぐことにしました。
落ち葉は乾いているので、ちょっと寝っ転がったりもしました。(もちろん道にじゃないですよ)
車は一台も通らず、時折葉が落ちてくるばかり。
耳を澄ませば、国道を通る車の音が下の方からかすかに聞こえてきます。


(2009年10月17日 9:11AM 喜茂別町)

森には本当にいろんな樹があるんですね。
葉っぱを見て全部の樹の名前がわかったら、どんなに楽しいことでしょう。

さあ、そろそろ行きましょう。
中山峠から見た羊蹄山は、上半分を雲の中に隠していました。
さっき峠を下ったときにも。
今日は羊蹄は見えないかもしれないけれど、
すかっと見えているときだけが、山じゃないでしょう。
それなら雲に隠れた山頂を恋しつつ、裾野の風景を愛でることとしましょう。

もう少し走れば、羊蹄山を眺める僕のお気に入りの場所です。(つづく)
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さすがです (あけみ)
2009-10-18 17:39:02
昨日更新した写真も含めて、どれもこれもとても素晴らしいです。暫し見惚れていましたよ。
撮影ポイント掴むのも重要ですよね。
私はそれがなかなか出来なくて、これでいいやって思うと、
後で編集した時に満足してないんですよね。
上手に撮影する勉強しないと一生いい写真撮れない気がしてます。

昨日と今日はポカポカ陽気で、いいツーリング日和でしたよね。
行かなかった自分に後悔しています。
今日は雨降る予報だったのに、「何故降らないの?」と思ってしまいました。
 
 
 
わたしも秋の中へ向かって (kaori)
2009-10-18 19:00:30
樹生さん、こんにちわ
澄み切った秋にGPZのブルーが映えますね。
クールなメタリックブルーなのになぜかやさしく
話しかけてくるようです。

今日は早めに出て、余市の道の駅まで
いって戻ってきました。
お誘いがあったので 緑のD1とご一緒させて
もらいました。
銭函から小樽への山側の紅葉をめでながら
塩谷から先は秋深まる静かな渚や磯のパノラマを
快走し、うまい時間に戻り、雨にもあいませんで
した。

今年はじめて、ゆっくり走ると、900cc
4気筒エンジンのピストンひとつひとつのトル
ク感をなんとなく感じとれるようになりました。
20年近く所有して、やっと感じるのだから、
まあ鈍感というかなんというか、これもゆっくり
と走る楽しさを知ることができた、樹生さんのサイトのおかげだと思っています。
秋の澄んだ空気が気持ちよかったです。

いつかバイクで出会える機会があれば幸いです☆

 
 
 
写真とツーリング。 (樹生和人)
2009-10-18 20:15:24
あけみさん、こんにちは。
今回は本当に景色が素晴しかったです。
写真では紅葉の繊細な赤が全然出ず。べたっとした赤になってしまいました。3年前の普及型コンパクトデジカメでは、限界なのかもしれません。
さて撮影のポイントですが、ツーリング中にあっ、いいなと思ってから周囲の安全を確認して止まっても、そこはいいと思ったポイントからそれなりに進んでしまった位置ですよね。
すると、景色だけ撮りたいときはそこにバイクを置いて歩いて戻ればいいのですが、バイクを入れたい時には押して戻ることになります。(どこかでUターンするときもあります)
これはとってもめんどくさく、走りのリズムやペースも狂ってしまうので、写真に気合を入れるとき以外はあきらめて心に刻む方を優先させています。
写真を優先させるツーリングは、もう、止まったり撮ったり、止まったのに撮れなかったりで、独りの時でないと周りに迷惑になってしまうでしょうね^^;
それもあり、私は一人の時以外はあまり写真を撮りません。
でも最近は写真を撮りながらのツーリングもいつの間にか自分のスタイルになってきたような気もします。

今日は疲れ果てて家でぐったりしてました。
我が家の周りでは雨も朝、昼と降ったので、外に出る気持ちにもなれず、だらだらして過ごしてしまいました。
もしかして今シーズン、ラストチャンスだったかもしれませんね。来週末も晴れてくれますように…。
 
 
 
マルチシリンダーエンジン (樹生和人)
2009-10-18 20:50:05
kaoriさん、こんにちは。
GPZは、蛍光の孔雀の青色(ルミナスピーコックブルー)という変わった青色なんですけれど。カタログやスタジオよりも、風景の中の方が馴染むバイクのような気がします。

マルチシリンダーエンジンは、高回転まで吹け上がるパワーとともに、低回転でも実はツインやシングルよりも粘る特性を持っていて、特に大排気量のエンジンは低回転でもトルクが豊かなので、振動の少ないベルベットクルージングが味わえます。
トルクで押し出す低回転域、グオオオォォォと唸って盛り上がっていく中回転域、連続したパワーが怒涛となって景色を一気に溶かしてしまう高回転域。
3つの表情が、どれも「これが本領です」みたいな顔でやってくるのが、大型マルチの魅力の1つだと思います。
Z2台のツーリング、とてもいいですね。

私もいつの日か、路上でお会いできることを楽しみにしております。
 
 
 
こんばんは (goro)
2009-10-18 23:27:58
出発のほほえましいやりとり。
いいですね。

樹生さんの10万キロのGPZはスローライフ
1万キロの私のGPZはひたすらかっとばし
走っている時が至福の時であるのは同じでも

私も家族を乗せて車で走るようになってから、20年間とんとスペードにはご無沙汰でしたが、GPZで眠っていたものが目覚めてしまいました。

それでもこいつが10万キロすぎたらゆっくり景色を楽しめるようになるのでしょうか。

今日は午後から山梨まででかけ、ぶどうを二房勝って帰りました。タンク下に入る大きさです。

朝もぎたてのぶどうは、とてもおいしく、家内も喜んでくれました。

こちらもずいぶん冷え込んできました。
残り少ないシーズン楽しんでください。

 
 
 
Unknown ()
2009-10-19 00:55:37
樹生さん、こんばんは。樹生さんの写真に気付かせられました。黄色です。今まで紅葉といえば、赤、真っ赤っかばかりに気がとられていました。正直に言えば、カレンダーとかで目にする紅葉はとても綺麗です。普段走りながら見てる山はまだらで、どこが綺麗なんだろう?といつも思ってました。様々な色があるということは、それだけいろんな種類の木があると樹生さんに教えていただきました。今日は午後から道路が乾いて近場ですが、地球岬に行ってきました。崖から見下ろす紅葉、潮風、なんて言うか言葉にできません。今年もあと、僅かです。よく乗ってはいるんですけど、使えません。自分のバイクなのに・・・本当に難しいです。
 
 
 
足跡ぺたり (峠バイカー)
2009-10-19 12:38:08
 きれいな写真ですね。
今月から半年ほど札幌単身赴任ですが、冬に向かう時期であり、泣く泣くバイクは自宅にしまってきました。
 紅葉とバイクを目で楽しむことが出来、嬉しく思いました。足跡ぺたり、させていただきます。
 
 
 
ぶどうは秋の味 (樹生和人)
2009-10-19 19:24:55
goroさん、こんにちは。
私のGPZも、たまには思い切り背伸びをさせてやらないとなあ…と思います。
あまり低回転ばかりだとカーボンが溜まりますので。
だからごくたまに、誰もいない山の中で、7千から1万回転を使って力を解放させてやります。でも、いつもはご覧の通りのスロウライドです。人と一緒の時に飛ばすと、自分も人も、自分のペースで走れなくて危険な場合もあるようなので、ひとりきりの時にしています。
でも、GPZは私には速すぎて、とても力を出し切れません。

山梨にぶどうを買いに。
とっても素敵ですね。もぎたてのぶどうはスーパーに並ぶものとはまったく違うと聞いたことがあります。
本物のぶどうの味。さぞかしおいしかったことでしょう。

当地ではシーズンはあと2週間ほどです。
安全に楽しみたいと思います。
 
 
 
バイクとの距離 (樹生和人)
2009-10-19 20:29:48
竹さん、こんにちは。
秋田生まれで広島で16年暮らした私にとってはやはり紅葉といえば全山紅色がしっくり来ます。
でも、北海道に来て、いろんな色のモザイクのような紅葉も、別の美しさがあると思いました。
黄色は白樺、ミズナラ、ハルニレ、その他いろいろ、赤は桜、カエデ、モミジ、ナナカマド、ツタ、…茶色に枯れる樹もあり、オレンジもあります。同じ樹でも場所、年によって色が違ったりもします。
商品は同じものがいっぱいありますが、自然の中には、同じものはひとつもなく、私たち人もそうですよね。
あたり前のことなんですが、バイクで旅をすると、そのあたりまえのことが、とても強く感じられるように思います。
時間の流れ、天候の変化、風の匂い、自分の体調、心…。
そうしたものと向き合えるのも、バイクライドの魅力の1つだと、私は考えています。

地球岬の樹々、断崖、水平線、空、きっと素晴しかったのですね。
写真には決して写らない、その時、その場所にいたということの意味が、本当の風景だと思います。

バイクは難しく、楽しく、面白いですね。
バイクの技術の向上には、いろんなことを試してどんどん今までと違うことができたり、スピードが上がったりする時期と、同じ技術を柔らかく、深く、無駄を削ぎ落として定着させていく時期が、交互にやってくるように、経験上私は感じています。
そのサイクルは人によっても違うし、同じ人でも毎回違うサイクルでやって来ますが、そんな波があるように思うのです。
もしも、竹さんがそうした時期なのなら、「どう操作するか」ではなく、自分の操作でバイクは「どう動いているか」を、耳を済ませて聞いてみる時期なのかもしれませんね。(なんて、大外れかもしれませんから、信用せずに、あくまで中年男の参考意見として聞いてください。)
同じ動きが静かにできたなら、ペースは上がっていなくても、運転技術は確実に伸びています。
バイクの声はなかなか聞けませんが、タイヤのグリップ感、サスの動き、自分の重心の位置とバイクの重心の動き、それらを少しずつ感じられるように気をつけて走ると、バイクと自分の距離が少しずつ縮まってくるように思います。

あと走れるのもわずかですね、お互い、無理せず、安全運転で行きましょう。
 
 
 
ようこそ札幌へ (樹生和人)
2009-10-19 20:36:00
峠バイカーさん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
ありがとうございます。
札幌に10月から3月までの半年赴任でいらっしゃいますね。
バイクに乗れない半年ではありますが、札幌は市街地からゲレンデまで30分で滑れるという立地。
雪の大通りも美しく、冬の屋内は暖房が効いて暖かく、過ごしやすいです。
ぜひ、一度藻岩山の頂上からの夜景をご覧下さい。
都市景観のあまり好きでない私ではありますが、寒空の下で見る札幌の夜景は、一見の価値があります。
どうぞ、この半年を楽しまれますように。
峠バイカーさん、これからもよろしくお願いします。
 
 
 
Unknown (弾正)
2009-10-19 23:17:54
うぁ~、めちゃくちゃきれいですね~。^^
1枚目が公園内ってのが残念。
 
 
 
当たり年でなくても (樹生和人)
2009-10-20 06:02:06
弾正さん、こんにちは。
今年は紅葉の当たり年ではないらしいのですが、
この日はどこに行ってもきれいでした。
本当の盛りは今日とか水曜日くらいらしいのですが、さすがに行けませんものね。

弾正さんウルトラから新しいダイナ・ワイドグライドに乗り換えなのですね。
納車は先とのことですが、新しい相棒と、楽しく充実したバイクライフが送れますように。
金沢でももう寒さがつのる頃だと思います。御自愛下さい。
 
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