バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
赤井川の美しい里で(2)

(赤井川村、カルデラに向かう国道の途中。田んぼは稲刈りが終わり、木々は色づき始めていた)
私たち夫婦が赤井川村の二川農園、eijiさんを訪ねたのは土曜日の午前中でした。
10時の約束にほんの少し早く着いたので、冷水峠に上り、カルデラ盆地を一望してみました。(「赤井川の美しい里で(1)」の写真です。)
それから農園に向かい、車を駐めて二川さんの玄関をピンポン。
出てこられたお母さんは、「あ、お待ちしていましたよ。ちょっと待ってくださいね」とおっしゃって、eijiさんに連絡をつけてくれました。
eijiさんは仕事場の方から登場。
挨拶を交わし、握手をします。
早速、カラーピーマンとミニトマトのハウスの方を案内してくれました。
ここから、「ブログライター」(*注、正しくはブロガーです)としては写真を撮り、質問をして、記事に仕上げるところなんですが、私はもう完全に<地>丸出しで、お話に夢中になってしまいました。
だからお会いしてる間の写真は一枚もないんです。ははは。すみません。
カラーピーマンのハウスは、正面から見るとDの字を倒したような、一見普通の透明なビニールハウスなのですが、その幅と高さは、結構あります。建物の中という感じです。そして入り口はこれも透明なビニールの丁寧なカーテン状の仕切りがあって冷気が入り込まないようになっています。
eijiさんはそのカーテンを開けて中に私たち夫婦を招き入れてくれました。

まず感じるのは空気の心地よさ。
そしてトマトの匂いにそっくりの、カラーピーマンの植物の匂いです。
カラーピーマンは茎の高さが2m。それがきれいに並んでハウスの中に何列も植えられており、棚作りのようになっています。
列と列の間は人が通れるようになっています。
地面は黒いマルチ(地面を覆う)用のビニールで覆われています。
普通のピーマンより大きなカラーピーマンがたくさんなっています。
黄色、赤、緑、色もいろいろです。
「カラーピーマンて肉厚ですよね、これは緑のピーマンと種類が違うんですか?」
妻が聞きました。
「ええ、そうですね。カラーピーマンは同じピーマンでも違う種類で、定植してから収穫までにかかる時間も違います。実の大きさも大きいですね」
「色は最初が緑で、だんだん黄色からオレンジ、赤というように変わるんですか?」と、これは私。
「どんな色になるかは苗の段階で決まっています。」
「それにしても、かなり背が高いですね。ピーマンで腰くらいの高さだと思ってました。」
「今は芽の先を止めていますが、そうですね、伸びる方ですね。」
eijiさんは、「ピーマン食べられますか?」と聞いて、私たちが「ハイ」と答えると、緑色の大きな実を一つ、もいで渡してくれました。
「このまま、かじってみてください。」
私は子どもの頃、ピーマンが嫌いで嫌いで、我が家は残すことを許さない家だったので、おえっとなりつつ、涙をぼろぼろこぼしつつピーマンを飲み下していたという経験があります。
大人になってからは苦手意識も克服し、最近ではおいしいと思うようになってきましたが…さて、もぎたてを生でというのは、初体験。
では、いただきます。
カシュッ…。
みずみずしい歯ごたえ。そして……、
「うおっ、おいしい!!」
思わず顔を上げてeijiさんと妻を見ます。妻に渡して、妻も早速一口。
「ああ!おいしい!」
妻も驚いています。
「まるでフルーツですね。しゃきっとして、肉厚で、みずみずしくて。おいしいです。」
ああ、ピーマンの概念が変わるような出会いです。
野菜ってこんなにおいしいものなのか!
「この緑のカラーピーマンは出荷できないんです。」
え?こんなにおいしいのに?
「色が付かないと商品価値としてはないということになっちゃうんですね。」
ハウスの中の地面のマルチングの丁寧さ、ハウスのフレームの美しい等間隔、丁寧な棚の作り、しっかりとやさしい誘引。
奥行きが100メートル(!)あるこのハウスには、作物への愛情と気配りが溢れています。この何列ものピーマンの苗を奥行き100mにわたって丁寧に見ることは、「心がけ」などというものだけでは到底できることではありません。
汗を流し、疲れた体に鞭打ってハウスに籠もって作業することもきっとあったことでしょう。何しろ、相手はいきものなのです。こっちの都合で待ってくれたりしないのですから。
任意の苗の任意の実をもいでその場で食べられる。それが「おいしい」というのは、すべての苗に愛情がこめられ、安全や安心にただならぬ努力をし続けていなければ到達できません。
これはすごいことです。
しかし、eijiさんは気負った様子もなく、淡々と、静かに、私たちを案内し、説明してくれています。

eijiさんのブログ、『北の百姓日誌。』のバックナンバーをぜひご覧下さい。各月ごとに農家の方がどんな作業をどのようにしているか、その片鱗がうかがえます。
それにしても!
儲けるために平気で不正をして食品の安全と信頼を壊してしまう人もいますが、食の安全、安心、そしておいしさ、健康を届けようと、目立たぬ努力を自分に課し、日々実践している人々もいるのです。
私たちの生活すべてに経済は付いてきます。お金のことは決して無視できませんし、軽く見てはいけないことです。
しかし、金の世界におぼれてしまったら、大事なものをたくさん失うことになります。
安全な野菜、そしてこんなにもおいしい野菜、本物の野菜を作り続けている人がいる。
そのことに、私は強く打たれていました。
緑のカラーピーマンは出荷できないか。それは消費者の行動で変わるでしょう。
目先の損得だけでなく、見た目のイメージだけでなく、何を何のために買おうとしているのか、そのために大切なお金をどのように使うのか。
そうしたことをみんなが考えられるように。
人を出し抜いたり、きりのない儲け競走に勝ち残るための知識や戦略だけでなく、大事な情報が届くように。そうした情報を届ける良質なジャーナリズムを育てるように。
僥倖心をやたらと煽って多額の儲けを生む商売よりも、みんなの幸せについて本気で考えている企業の商品が選ばれるように。
TVCMやイメージ戦略に踊らされない、自立した消費者としての市民が増えていくことが大事なのだと思います。
とてもおいしいカラーピーマン。
eijiさんは、続いてミニトマトのハウスを案内してくれました。
次回はその様子を。(つづく)

<<おまけ>>
今夜の晩御飯のおかずは、
赤井川、二川農園産のカラーピーマンとなすの麦味噌和え。
①赤井川産のカラーピーマンと、なすをさっと素揚げします。
②麦味噌、砂糖、お酒を適量混ぜてタレをつくります。
③素揚げしたフライパンに②のタレを加えて加熱しながら手早く混ぜます。
できあがり。
肉厚でしゃきっとした食感のカラーピーマンがおいしいほのかな甘みと適度な歯ごたえ(でも、全然固くない)を加えて、熱々のご飯との相性も抜群の一品。
うーむ、野菜がこんなに旨くていいのか。
しかし、…このままでは料理ブログになってしまうのでは。バイクブログ危うし?!(^^;)
私たち夫婦が赤井川村の二川農園、eijiさんを訪ねたのは土曜日の午前中でした。
10時の約束にほんの少し早く着いたので、冷水峠に上り、カルデラ盆地を一望してみました。(「赤井川の美しい里で(1)」の写真です。)
それから農園に向かい、車を駐めて二川さんの玄関をピンポン。
出てこられたお母さんは、「あ、お待ちしていましたよ。ちょっと待ってくださいね」とおっしゃって、eijiさんに連絡をつけてくれました。
eijiさんは仕事場の方から登場。
挨拶を交わし、握手をします。
早速、カラーピーマンとミニトマトのハウスの方を案内してくれました。
ここから、「ブログライター」(*注、正しくはブロガーです)としては写真を撮り、質問をして、記事に仕上げるところなんですが、私はもう完全に<地>丸出しで、お話に夢中になってしまいました。
だからお会いしてる間の写真は一枚もないんです。ははは。すみません。
カラーピーマンのハウスは、正面から見るとDの字を倒したような、一見普通の透明なビニールハウスなのですが、その幅と高さは、結構あります。建物の中という感じです。そして入り口はこれも透明なビニールの丁寧なカーテン状の仕切りがあって冷気が入り込まないようになっています。
eijiさんはそのカーテンを開けて中に私たち夫婦を招き入れてくれました。

まず感じるのは空気の心地よさ。
そしてトマトの匂いにそっくりの、カラーピーマンの植物の匂いです。
カラーピーマンは茎の高さが2m。それがきれいに並んでハウスの中に何列も植えられており、棚作りのようになっています。
列と列の間は人が通れるようになっています。
地面は黒いマルチ(地面を覆う)用のビニールで覆われています。
普通のピーマンより大きなカラーピーマンがたくさんなっています。
黄色、赤、緑、色もいろいろです。
「カラーピーマンて肉厚ですよね、これは緑のピーマンと種類が違うんですか?」
妻が聞きました。
「ええ、そうですね。カラーピーマンは同じピーマンでも違う種類で、定植してから収穫までにかかる時間も違います。実の大きさも大きいですね」
「色は最初が緑で、だんだん黄色からオレンジ、赤というように変わるんですか?」と、これは私。
「どんな色になるかは苗の段階で決まっています。」
「それにしても、かなり背が高いですね。ピーマンで腰くらいの高さだと思ってました。」
「今は芽の先を止めていますが、そうですね、伸びる方ですね。」
eijiさんは、「ピーマン食べられますか?」と聞いて、私たちが「ハイ」と答えると、緑色の大きな実を一つ、もいで渡してくれました。
「このまま、かじってみてください。」
私は子どもの頃、ピーマンが嫌いで嫌いで、我が家は残すことを許さない家だったので、おえっとなりつつ、涙をぼろぼろこぼしつつピーマンを飲み下していたという経験があります。
大人になってからは苦手意識も克服し、最近ではおいしいと思うようになってきましたが…さて、もぎたてを生でというのは、初体験。
では、いただきます。
カシュッ…。
みずみずしい歯ごたえ。そして……、
「うおっ、おいしい!!」
思わず顔を上げてeijiさんと妻を見ます。妻に渡して、妻も早速一口。
「ああ!おいしい!」
妻も驚いています。
「まるでフルーツですね。しゃきっとして、肉厚で、みずみずしくて。おいしいです。」
ああ、ピーマンの概念が変わるような出会いです。
野菜ってこんなにおいしいものなのか!
「この緑のカラーピーマンは出荷できないんです。」
え?こんなにおいしいのに?
「色が付かないと商品価値としてはないということになっちゃうんですね。」
ハウスの中の地面のマルチングの丁寧さ、ハウスのフレームの美しい等間隔、丁寧な棚の作り、しっかりとやさしい誘引。
奥行きが100メートル(!)あるこのハウスには、作物への愛情と気配りが溢れています。この何列ものピーマンの苗を奥行き100mにわたって丁寧に見ることは、「心がけ」などというものだけでは到底できることではありません。
汗を流し、疲れた体に鞭打ってハウスに籠もって作業することもきっとあったことでしょう。何しろ、相手はいきものなのです。こっちの都合で待ってくれたりしないのですから。
任意の苗の任意の実をもいでその場で食べられる。それが「おいしい」というのは、すべての苗に愛情がこめられ、安全や安心にただならぬ努力をし続けていなければ到達できません。
これはすごいことです。
しかし、eijiさんは気負った様子もなく、淡々と、静かに、私たちを案内し、説明してくれています。

eijiさんのブログ、『北の百姓日誌。』のバックナンバーをぜひご覧下さい。各月ごとに農家の方がどんな作業をどのようにしているか、その片鱗がうかがえます。
それにしても!
儲けるために平気で不正をして食品の安全と信頼を壊してしまう人もいますが、食の安全、安心、そしておいしさ、健康を届けようと、目立たぬ努力を自分に課し、日々実践している人々もいるのです。
私たちの生活すべてに経済は付いてきます。お金のことは決して無視できませんし、軽く見てはいけないことです。
しかし、金の世界におぼれてしまったら、大事なものをたくさん失うことになります。
安全な野菜、そしてこんなにもおいしい野菜、本物の野菜を作り続けている人がいる。
そのことに、私は強く打たれていました。
緑のカラーピーマンは出荷できないか。それは消費者の行動で変わるでしょう。
目先の損得だけでなく、見た目のイメージだけでなく、何を何のために買おうとしているのか、そのために大切なお金をどのように使うのか。
そうしたことをみんなが考えられるように。
人を出し抜いたり、きりのない儲け競走に勝ち残るための知識や戦略だけでなく、大事な情報が届くように。そうした情報を届ける良質なジャーナリズムを育てるように。
僥倖心をやたらと煽って多額の儲けを生む商売よりも、みんなの幸せについて本気で考えている企業の商品が選ばれるように。
TVCMやイメージ戦略に踊らされない、自立した消費者としての市民が増えていくことが大事なのだと思います。
とてもおいしいカラーピーマン。
eijiさんは、続いてミニトマトのハウスを案内してくれました。
次回はその様子を。(つづく)

<<おまけ>>
今夜の晩御飯のおかずは、
赤井川、二川農園産のカラーピーマンとなすの麦味噌和え。
①赤井川産のカラーピーマンと、なすをさっと素揚げします。
②麦味噌、砂糖、お酒を適量混ぜてタレをつくります。
③素揚げしたフライパンに②のタレを加えて加熱しながら手早く混ぜます。
できあがり。
肉厚でしゃきっとした食感のカラーピーマンがおいしいほのかな甘みと適度な歯ごたえ(でも、全然固くない)を加えて、熱々のご飯との相性も抜群の一品。
うーむ、野菜がこんなに旨くていいのか。
しかし、…このままでは料理ブログになってしまうのでは。バイクブログ危うし?!(^^;)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

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ほんと、美味しそうです~。
野菜のつややかかなこと!
愛情をいっぱい受けて育ったことを誇らしく思っているようなpーマン君ですね。
そうなんです、誇らしげでしょ。ピーマンの肉の厚さをご確認ください。
いやおいしかったなあ…。
これで立派な料理ブログに…って!違いますよ!
バイクブログで行きますから~~っ。