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ニセコパノラマライン

(ニセコの山々を背に、前方には日本海が光り、岩内、共和方面を眺望できる。
実はGPZのカウルの上、霞んでいるがうす~く、泊原発が映っている。
左奥は積丹半島だ。今日は霞んでいるが、秋の澄んだ空気の中での眺望はまさに絶景である。)

「ニセコパノラマライン」は、道道66号線、日本海に面した岩内から一気にニセコ連峰の山々へと駆け上り、ニセコ町市街地へと下っていく高原道路だ。

北海道のお薦め絶景道路としては、美幌峠、知床峠などと並んで必ず顔を出す、一級のワインディングである。

何よりも素晴らしいのはその眺望なのだが、今回は曇天の上、写真を大幅に失敗してしまい、その眺望がお伝えできないのは残念だ。
《申しわけありません。ガイドブックなどで見てね(^^;)》


ニセコパノラマラインは、
良好な路面状況。急すぎないカーブ。急すぎない坂道。
ニセコの山の北側の海まで見渡せるパノラマと、南側の山岳高原ワインディングの美しく魅力的な景観。
その景観と道の変化の楽しいコントラスト。
適度に間隔をおいて表れる温泉や高層湿原などの駐車場。
などなど、
ソロでも、ペアでも、マスツーリングでも楽しめる様々な条件がほぼ満たされている。


道も比較的空いているが、紅葉期の休日にはマイカーや観光バスで混み合うので注意が必要だ。

また、上記のいい条件は、バイクのみならず車のドライブにも絶好の条件なので、ファミリーカーやレンタカーの観光客が比較的多いのも特徴だ。
つまり、車のペースは遅めで、まれに、予想外も所に車が止まっていることもある。

今回、バイクでは2年ぶりのパノラマラインだったが、やはり北海道ツーリングでは走っておいていい道だと思った。


一方、<走り>に関してのみ言えば、実はそれほど私の好みの道ではないのだ。
当日もリッターバイクの集団が次々に表れ、走りを楽しんでいたが、まずは集団で遅いマイカーを次々にぶち抜いていく様子を見るのが、あまり好きではない。
まるで我が物顔で、遅いマイカーを邪魔者扱いしているかのような印象を、本人達にその意識がなくても与えていることが多いと思う。

もう一点はこの「よい道」に起因していることなのだが、
ニセコパノラマラインは、ドライブやツーリングには最適な道なのだが、
攻めるとなると、高速すぎるのだ。
もしも交通法規がなければ、平均でも軽く3桁の時速に乗るだろうし、3桁の速度でコーナリングできるカーブも多い。見通しのいい直線では国内仕様ではリミッターに当たることもありそうだ。
現に逆輸入のハイパーマシンたちが、パワーにモノを言わせて駆け上っていくのを何度か見たが、腕がなくても高速域に達してしまうこの快走ロードは、チャレンジにするには高速過ぎて危険。
まして観光ロードとしてファミリーカーも多いのだ。
周囲をしっかり見る目と、自制心がないと、このコースは楽しめない。

とか何とか言いながら、ファミリーカーペースで2往復もしてしまったのだから、ニセコパノラマラインはやはり魅力的だと言うべきだろう。
今回は曇っていたので、晴天の日にいつか再訪し、本当の魅力をご紹介したい。


さて、ニセコパノラマラインの途中から、白樺山の脇を抜け、蘭越に抜ける峠道がある。
秘湯、新見温泉に向かう道道268号線、新見峠だ。
こちらはご覧の1~1,5車線道路で、山肌に張り付き、右下に深い崖の谷を見ながら高度を上げて行き、写真の峠付近では高原状になった地形からむしろ景色が開けてくるという道だ。

本来、GPZ1100はニセコパノラマラインのような道を、ヨーロッパのように法定速度100キロぐらいの設定で、おおらかにやや攻め状態で駆け抜けていくのが一番向いているのだろうが、私は実はこうした1車線大好き男なのである。

この道も交通量は少なく、秋の紅葉はパノラマラインに勝るとも劣らない美しさで、温泉好きな人には峠越えしてたどり着いた新見温泉の、山奥の秘湯といった風情もたまらなくいいはずだ。


道幅狭く、木々に覆われ、フォトジェニックな場所としては少ないのだが、バイクで移動しながら木々の隙間からのぞく山と谷の風景を楽しんだり、刻々と変わるカーブの曲率や路面状況を読んだり、車体操作を様々に試したりしながら安全な速度でライディングを楽しむには、こうした道のほうが楽しめる。

最近のスーパースポーツモデルをそれなりにバイクに仕事をさせて楽しもうとすると、ちょっとした場所でもとんでもない速度にすぐに達してしまい、しかもバイクそのものはまだまだ余裕があるという、そんな状態になりがちだ。

バイクが高性能になるほど、楽しむ側の強い理性による抑制が必要となるのだ。
これは実は難しい状況なのかもしれない。
感応性能、走りの心地よさの向上に長く取り組んできたハーレー・ダビットソン社の各マシンが売れ行きを伸ばしているのも、わかる気がする。
ハーレーはコーナリングが悪いといわれたのはもうはるか昔だ。
昨年、ダイナグライドをちょっとだけ借用する機会があったが、小回りが良く効くことと、エンジンの表情の豊かさ、コーナリングの気持ちよさには舌をまいた。

もちろん競走すればスーパースポーツにかなうはずもないが、ハーレーの2倍の速度で走っても攻めきれないフラストレーションが残るとすれば、その速さは、何のためのものか?と、ちょっとブルーになってしまう。

私はロードバイクでのコーナリングが大好きだ。
空いた公道でのひそやかな愉しみとして、バイクでのコーナリングを存分にこれからも楽しめる環境を守っていくためには、バイクそのものにも、ユーザーの走り方にも、もう一工夫、もう少しの成熟が必要なのかもしれない。

そんなことを考えたニセコパノラマラインだった。
コメント ( 12 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (弾正)
2008-07-24 11:50:01
いつも当方にとって原点になる話ばかりなのでとてもためになります。
今回の秘湯、新見温泉に向かう道道268号線、新見峠、気になりますね~。^^
温泉好きなので、峠を越えた温泉行ってみたいです。
ニセコパノラマラインも当方のような初心者向けのようなので、行くときのチェックポイントですね。^^

 
 
 
 (メタボおじさん)
2008-07-24 15:03:51
お邪魔します。
新見峠、マイナーですね。
一度走りました・・、道を間違えて・・。
簡易舗装な気がしましたが・・。パノラマラインは道内の峠の中で最も走りやすい峠ですね。
 
 
 
おすすめできます。 (樹生和人)
2008-07-24 19:04:40
弾正さん、こんにちは。
パノラマラインは、やはり誰にでも勧められる道だと思います。
パノラマラインの近くにはニセコ五色温泉もあり、これはすご~~~く、お薦めの温泉です。

本州では信じられないくらい深い山の中を越えていく細い峠道がたくさんありますが、北海道では実はあんまりありません。
厳しすぎて人が住めないから、道がないのです。
北海道の山の中深くに入っていくと、来てはいけない、人間のテリトリー外の場所に踏み込んでしまったような気持ちになります。
自然とは何かについて、考えさせられることも多いです。

新見峠は狭くて少し深い山を越えていく、北海道では珍しい峠かもしれません。
私は大好きな道です。
 
 
 
今はいい路面です。 (樹生和人)
2008-07-24 19:10:01
メタボおじさん、こんにちは。
はじめまして。ようこそいらっしゃいました。

新見峠は数年前走ったとき簡易舗装がかなり痛んでいたのですが、今回、写真にもあるようにきれいになっていました。
ありがたい一方で、この道をここまでよくするよりも、税金の有効な使い方は他にあるのでは…、とも思いました。

北海道開発局とゼネコンの癒着は最近言われていますが、必要以上の公共工事を繰り返して無駄に税金を消費しすぎているように私は感じます。
地域の教育、医療、福祉が絶対先だろう…。と思うのです。
 
 
 
ご迷惑掛けてますm(_ _)m (パノラマライダー)
2008-09-01 21:53:52
はじめまして

北海道はニセコパノラマライン近郊に住んでいる43才の中年ライダーです。
SSバイクで我が物顔してパノラマを攻めているライダーとは私達の事に間違いありません!
私を含め、他に10人ばかりの常連です。
しかし、サーキット紛いに走ってるのは否定出来ませんが、他のライダーや観光しているドライバーを邪魔者扱いや苛立ちながら抜くような事を私達常連ライダーは絶対にしません!!
それに殆どのライダーやドライバーは私達が後続につくと左に寄ったり、ハザードを点滅させ道を譲って下さいます。
その行為に対して私達は必ず、手をあげながら軽く会釈をして抜いて行きます。
攻める時も交通量が減ってからか正午過ぎと決めてます。
それまでは神仙沼休養所の隣のテントの中か、貯水ハウスの横で椅子に座って雑談を何時間もしてます。

言い訳がましい事を言ってしまいましたが、ワインディングを攻めて走ってるのは事実なので言い訳にはなりませんよね。。。

私達常連以外のライダー達が他人に迷惑を掛ける走りをしてたにしても、北海道民に違いはないのでこれからは私達もそのようなライダー達には注意を促すようにします。

楽しいツーリングを台無しにして申し訳御座いませんでした。


 
 
 
パノラマライダーさんへ。 (樹生和人)
2008-09-01 23:54:57
パノラマライダーさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

まずは私の考えの足りない文章のために、パノラマライダーさんや、お仲間のライダーの皆さんにも不快な思いをさせてしまったことにお詫びを申し上げます。

私がその日遭遇したのは、昼も近い午前中でした。ちょうど交通量の多い時だったのかもしれません。
何台かのバイクがブラインドに近い左コーナーでアウトから対向車線にはみ出しつつ乗用車を抜いて走り去るのを見ました。
また、直線区間でも、グループで走りに来たと思しき数台のバイクが同じように抜いていき、一台は抜いた直後に鋭角的に左車線に入ったため、速度差はあるといいながら、乗用車のドライバーはかなり驚いたような雰囲気でした。

それはおそらく、パノラマライダーさんたち常連さんではなく、たまたまマナーの悪い遠征組?に当たってしまったのかもしれません。

メジャーな峠だけに、そうした人たちもたくさん来ることだと考えられます。

それは、場面を変えれば私自身だったかも知れず、そのことを踏まえて記事にすべきところ、なにか正義の高みからモノをいうような、そんな記事になってしまっていたと思います。
コメントを読み、もう一度自分の記事を読み返してみて、パノラマライダーさんのような、パノラマラインとそこでの走りをこよなく愛する人たちの存在を考えずに記事にしていたことに気づきました。

私もかつてはホームコースを持ち、早朝や深夜などに通い詰めた人間です。
走りとコースを愛する人たちは、マナーもよく、ゴミも散らかさず、追い抜くときも抜かれる側のことを意識して抜いていく、そのことは十分承知しているつもりです。

また、速い=危険や怖いとは限らないことも承知しているつもりです。本当に上手い人は抜くタイミング、車間、ラインなど、抜かれた方が恐怖を感じないようにスマートに抜いていきますし、速度が速くてもマージンが取れている人の走りは美しく、危なっかしく見えません。

パノラマライダーさんのおっしゃっていることは言い訳ではなく、大切な思いなのだということ、ひしひしと伝わってきました。

ですから、パノラマライダーさんに「楽しいツーリングを台無しにして申し訳御座いませんでした。」と誤られると、胸が痛みます。
マナーの悪いバイクの一団がいて、それがドライバーやライダーの機嫌を損ねたとしても、それはその峠の常連ライダー達の責任ではありません。
むしろ、私のスローペースでも、近づくと左に寄ってハザードを出し、道をゆずってくれた車が数台いたのですが、それは常連さんたちのいつものマナーのよさから来る、ドライバーのバイクへの思いやりだったかもしれません。
私も追い抜きざまに手を挙げ、会釈して抜かせてもらいました。

こうした会話も、バイクにまったく乗らない人からすれば、「暴走族のたわごと」に聞こえるのかもしれませんが、それでも峠をひそやかに気持ちよく攻める愉しみを手放したくないのは、私も同じです。

そのために、走っているときの安全確保とマナー、バイクを降りたときのマナーなどに気を配って、社会のバイク乗りに対する評価を少しずつ向上させていくことが大切だと考えています。
そして日本が成熟した大人の社会になれば、それは可能だと思っています。

常連さんたちが遠征組を注意する…というのも難しい面もあるかと思います。第一、繰り返しになりますが、常連さんたちにはそこまでの責任はないと思います。

やはりバイク乗りは自分の走り以外には責任はとれないと思うのです。
だからこそ、自分がどのように走り、それは周囲にどのように見られているかを考えること、その上でさらに自分はどうしたいのか、どうすれば自分の大好きな走ることを守り続けられるのかを考えていくこと、それがライダー一人ひとりのすべきことだと思います。

いずれにしても、私は周囲を全く考えないわがまま走りも嫌いですが、法規さえ守っていれば自分が正義だと胡坐をかき、個々の状況を考えようとしない傲慢さにもNO!と言いたいと思ってきたのですが、今回の私の記事はどうやらそうした傲慢さにとらわれた記事になってしまったようです。

パノラマライダーさん、改めて私の心無い記述、お詫びいたします。
公共性のあるブログの記述に関しては、今後はさらに気をつけていきたいと思います。
どうか、私の意のあるところを汲んでいただければ幸いです。
 
 
 
樹生和人様 (パノラマライダー)
2008-09-03 00:03:45
私の書き込みに対してのご返答、誠に有難う御座います。
気を悪くして書き込みをした訳ではないので気になさらないで下さい。
私達は最低限のマナーを守って走行しているつもりでも、自分達が気付かないような迷惑を他のライダーやドライバー達にかけているかも?
いや!
迷惑をかけているに違いありません!!
しかし、私達はバトルはしていません!
単独で走り、そのライダーが戻ってきたら次のライダーが走る!というような走り方です。
2台3台…で走ると必ず、バトルになるのでそれを避ける為です。
だけどメンバーの中には元レーサーや鈴鹿や筑波や十勝でレース参戦してる人も居るので、その人達がレースに参戦しない日にはパノラマに来るので、テクを盗む為に後方を走ったり後方から見てもらったりする事はありますが…

何はともあれ、樹生和人さんのブログは私にとって色んな意味でプラスになりましたよ。
私達が気付かない点を他人から見させていただく事が出来ましたから。

これからも樹生和人さんが見た事、聞いた事を自分の観点から遠慮なく伝えて下さい!








 
 
 
ありがとうございます。 (樹生和人)
2008-09-03 06:04:35
パノラマライダーさん。
ありがとうございます。
ブログは個人が私的にモノを書いていながら、世界中に公開できてしまうという(今さらながら)新しいメディアで、私自身ブログを始めて一年半ですが、この新しいメディア?コミュニケーションツール?覗きOKの落書き帳?への自分のスタンスを探りつつ書いている状態です。
考えつつ、それを楽しみつつ、バイクに乗るように、考えつつ楽しみつつ、このブログを書いていきたいと思います。

パノラマライダーさん、今後もよろしくお願いします。
 
 
 
Unknown (椿)
2009-03-14 09:29:10
すばらしいブログです。
意見交換も大人らしくて好感が持てます。

お互い安全運転でバイクライフを楽しみましょう
 
 
 
バイクライフを… (樹生和人)
2009-03-14 21:19:14
椿さん、こんにちは。

バイクで走ることが私は好きです。
その楽しみを大切に守っていきたいと思っています。

椿さん、暖かいコメント、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、お互い安全運転でバイクライフを楽しみましょう。

全国に、世界中に、そういう気持ちでバイクを走らせているライダーたちが、たくさんいると思います。
そういうライダーたちの1人でありたいと思っています。

椿さん、どうぞまた、お立ち寄り下さい。
 
 
 
ツール・ド・北海道と新見峠 (旭川の自称美女)
2009-12-27 23:23:21
私はツール・ド・北海道のファンです。そのため、歴代コースを色々と調べて、その情報を、ウィキペディアに書き込んでいます。一般的には、片側1車線以上の舗装道路で時速40km以上出せる道路を走りますが、新見峠のように、狭い道路を使うこともあると知り、驚きました。きっと、大会で使うだけの魅力があるのでしょう。一度通ってみたいです。
 
 
 
難所 (樹生和人)
2009-12-28 15:02:50
旭川の自称美女さん、こんにちは。
新見峠、ツール・ド・北海道2007で通ったのですね。
国内最大級の自転車ロードレース。私も関心あります。
新見峠は道幅が狭く、チーム同士で競い合いするにはちょっと狭くて低速過ぎるコースのように思います。
それがまた、コースの難所として魅力だったのかもしれませんね。
来年もツール・ド・北海道、楽しみです。
 
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