映画「バケモノの子」観てきました。『苦悩と絶望を体験した人間こそ希望を語れる』
「オオカミ子どもの雨と雪」に続く、細田守監督、待望の第4作。お薦めです。夏休みの機会に子どもたちとぜひご覧あれ。
渋谷の街と渋天界(バケモノ界)と舞台が交錯する中、九太と熊哲との交流、成長が描かれています。そして、九太も大きくなり、高校生の少女と出会い・・・というようなストーリーです。
細田監督らしく、渋谷の街も背景画も丹念に描かれています。監督得意の入道雲もいい。この映画では、鯨が印象に残ります。
同時にNHKの「プロフェッショナル」が細田守監督に300日間映画作成の密着取材をしたドキュメンタリーが放映されていまして、これがとてもよかったです。はじめて知ることばかりでした。細田監督は、子どもの頃、宮崎駿監督作品「カリオストロの城」を観て衝撃を受け、大学卒業後、スタジオジブリ就職のため面接するも就職ならず。その後、「ハウルの動く城」の監督を引き受けるも途中で挫折し降板となるのですね。その後、苦難を重ねる中、なんとしても監督として映画を生み出したいと努力を重ね、できた作品が「時をかける少女」。最初は全国でわずか3映画館でしか上映されなかったものが口づてに評判を呼び大ヒットしたという苦労人なのです。
このドキュメンタリーを観てはじめて毎回の作品にテーマがあることがわかりました。バケモノの子は父と子をテーマに、サマーウォーズでは親戚との関係が、オオカミ子どもでは母と子をテーマにして描いているということ。私は、細田監督の映画は、主人公とその家族、友人がポジティブに人生を切り開いていくところがいいな、と思っていましたが、映画を生み出す上ではそれほど簡単な話ではなかったのですね。
細田監督は、父とも親戚とも、けっして「よい関係ではなかった」ということを「プロフェッショナル」で告白しています。その中で映画の思いを語り、『苦悩と絶望を体験した人間こそ希望を語れる』と語っていることは重みを感じる言葉でした。次回作も期待しています。