DUMMY FAKE ROLLERS

邦楽オススメ若手バンドから、洋楽のガールズロックやHR/HMまで、音楽やアーティストを色んな切り口からレビューします。

"捨て曲"という言葉が嫌いです

2006年10月04日 | 音楽レビュー
"捨て曲"

皆さんは、この言葉使いますか??
よく、アルバムの中で、あまり盛り上がらない曲や、
そのアーティストらしくない曲など、
自分の期待や趣味に合わなかった、つまらなかった曲を指して
言うことが多い言葉だと思います。

確かに短い言葉で、すごくつまらない、要らないもの感を
醸し出すことのできる便利な言葉ではあると思います。

でも、私は、この言葉が嫌いなので、使いません。
私は一時期レコーディングの勉強をする学校に通ったことがあり、
その経験から、1曲をレコーディングするのに、どれだけの人と
時間を費やしているかを知りました。
なので、余計にそう思うのかもしれません。
ちょうど、「冷たい手 or Search the best way どちら派ですか?」
記事のコメントのところで、曲の作り方についての話が出たので、
いい機会だと思って書きます。
(前からこのテーマで書きたいと思っていたんですよね。。。)


曲作り~レコーディングは、誰かが素案を作るところから始まって、
それを他のメンバーやプロデューサー、スタッフ達と
いろんなアイデアを出しながら、ミーティングを何回も重ねて、
構成や、アレンジを練ったりしているわけです。

そして、構成、アレンジが決まったら、スコアに起こして、
各パートごとに納得いくまで繰り返し音を録り、そのベストテイクを
つなぎ合わせ、マルチトラックのマスターを作ります。

次はマルチトラックの音源を、2chのステレオ音源に落とすミックスダウン
ですが、これがまた大変な作業で、各パートの音の定位(聞こえる位置)を
決め、リバーブなどのエフェクトを設定し、他のパートの音との
ボリュームバランスを考えながら調整し、何度もミックスダウンしては
確認し、という作業を繰り返します。

1曲だけでも、これだけの工程を踏むのですから、マキシで3曲入りとか
だとしたら、これの3倍の時間がかかるわけですよね。
ですので、もちろんアーティスト側は、捨ててなんかいないし、
その1曲のために、とても多くの時間をかけて大切に作っているはずです。
なので、自分の趣味に合わなかった曲を"捨て曲"と呼ぶのは、
とても乱暴な言い方だと思うんですよね。
また、そうやって、自分が大切に育てた曲を"捨て曲"と呼ばれると、
アーティスト側もショックでしょうね。

ただ、よくリスナーからシビアに見られるのは、曲の素案作りのときの
アーティストの姿勢なんだと思います。
ちょっと前に、オレンジレンジが、"俺達の曲作りのときの合言葉は
「パクろうぜ!」だ"みたいなことを、インタビューで言い、
音楽好きから一斉に糾弾され、今、レンジ肯定派、否定派、真っ二つに
分かれる状況に至るわけですが、こういう場合は、"捨て曲だ"なんて
言われても、自業自得かなという気はします。
(若気の至りで、多少大げさに言い過ぎた感もありますね)
でも、それにつきあって、多くのスタッフが動いていることを
考えると、私はやはり簡単に"捨て曲"とは言えないですね。

これが逆に、いつも誠実でアーティスティックで、自分の影響を受けた
ミュージシャンのテイストを曲作りに活かしたということになれば、
リスペクトだのオマージュだのといった良い評価にもつながりますよね。


というわけで、ちょっと話が脱線してしまった感もありますが(^^;
基本的に、この世に捨て曲なんかない、という風に私は思っています。
みんな、"コレが良い"と思って作ってて、悪い曲を作ろうと
思ってる人は居ないと。
なので、この世に生まれてくる曲は、全て良い曲だと思っています。

そんな良い曲を、1つでも多く聴こうと思って、いろんな音楽に
手を出し、さらにみんなにも知ってもらおうと思って、
この音楽ブログを書き続けています。

最近、ちょっと時間がなくて、前ほど更新できていないのですが、
これからも良い音楽をどんどん皆さんに紹介していければ良いな
と思っておりますので、これからもよろしくお願いしますね♪


27 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
納得 (lily)
2006-10-05 00:18:07
「捨て曲」っていう言葉は使ったことないですね。



好きなアーティストの曲で、あんまりパッとしなくても、やっぱりそのアーティストが好きだから、どういう気持ちでそれを作ってるのか考えちゃう。で、深読みしてるうちに好きになっちゃう。



よくコンポとかでも、「ROCK」とか「JAZZ」とか、ちょっとイコライジングする機能がついてるけど、私はなるべく「ありのまま」で聞きたいなー、といつも思ってます。



だって、「ありのまま」がそのアーティストにとっての最高にいい作品であって、それを変えてしまうのはちょっと嫌なんですよね。



私はテレビCM大好きっ子なので、テレビでCMになるとチャンネルを変えたり、ビデオデッキでCMスキップ機能とかあるとちょっと悲しくなります。

CMは最短15秒の中のアートだと信じてます。



それと同じにしてしまってはいけないけど、なんだか共感しちゃいました。
共感ありがとう (lepps)
2006-10-05 00:55:30
>lilyさん

会話の中で

「これ、捨て曲ナシのすごいアルバムやで」とか、

「前作は何曲か、捨て曲があったやんか~」とか、

そういう言葉を聴くと、やっぱひっかかるよね。



「ありのまま」が一番。それも共感するなー。

でも、CDに収録するには、音のレベルの都合で、

どうしても「ありのまま」にならないことが多いから、

「ありのまま」を感じたければやっぱライブが一番だよね。



CMも、クリエイターさん達、泣いてるよね。

でも、CMだけを録画できるデッキとかも出てるみたいやね。
そっか! (lily)
2006-10-05 01:03:18
>「ありのまま」を感じたければやっぱライブが一番だよね。



CDで軽く聞き流してたのにライブで聴いたらココロに響いちゃって、いきなり大好きな曲になることってありますね!



やっぱりライブっていいなー。うんうん。



やっぱGigよりもConcertよりもLiveって表現がぴったりですよね。



・・・しかし、自分がやるのは緊張するわ・・・。あと一ヶ月・・・。
作り手側から (ナン)
2006-10-05 10:58:53
どもども~



捨て曲、、確かに作り手側ではアルバムを作る際に「この曲は捨て曲にしようぜ」ということはないと思う。

タイプは違えど、作る曲それぞれにそれぞれの思い入れがあるからね。



しかし、聴く側は自分の好みでそれを非常にシビアに判断する。

作り手としては「捨て曲」とバッサリ切られるのは悲しいことだけど、聴いた本人が本気でそう思うのなら、それはそれで正しいことだと思う。



俺もHPで自分の曲をUPし、他人のアルバムをREVIEWしているという立場から切ったり切られたりしているけど、とても勉強になるし、なかなか楽しいもんだよ(笑)



11月3日のライヴではCD音源を配布するので、どんな反応があるのか楽しみだ!



最後に、11月3日のライヴ、みんな楽しもうぜ!!
私もそう思います。絶対に。 (ナツコ)
2006-10-05 15:02:19
leppsさん、この前の質問に対しての関連記事ありがとうございます!



私も「捨て曲」という言葉は使わないですね。

安易にそういう言い方をするのは、アーティストへの配慮に欠けてる気がして悲しいな。

毎度ポルノの話ばかりで恐縮ですが、岡野君も

「自分達が感動できなければ人を感動させることはできないと思いながら 毎回作っている」と言っています。

作り手のいろんな想いや苦労があってひとつの作品が生み出されているのだから、どの曲も大切に聴いてあげたい。



あまり好みじゃないと思った曲でも、違う心情の日に聴いてみたらスッと入ってきたり、ライヴで聴いてから大好きになった曲もたくさんあるもの!

アルバムの中でめっちゃ好きな曲と、それほどでもない曲があるとしたら、そういう緩急も含めてひとつの作品として楽しみたいです。
そうだよ! (lepps)
2006-10-05 23:18:25
>lilyちゃん

CDでは気に留めていなかった曲が、ライブで好きになるってすごくよくあるよね。

11/3のライブも、観に来てくれた人に、何かを持って帰ってもらえるように頑張りましょーね♪
待ってました! (lepps)
2006-10-05 23:26:36
>ナンさん

自分で曲を作ってる立場からの貴重なご意見!ありがとうございます(^-^)

なるほどー、勉強になるっていうのは、一理ありますね。

バッサリ切られるっていうのは、自分の思ってることが、

全く伝わってなかったり、それを表現するための技術が

身に付いてなかったり、という可能性もありますもんね。

11/3のライブはよろしくです~。これで3度目の共演ですね♪

CD配布も待ち遠しいです!
素晴らしい! (lepps)
2006-10-05 23:34:12
>ナツコさん



> アルバムの中でめっちゃ好きな曲と、それほどでもない曲があるとしたら、そういう緩急も含めてひとつの作品として楽しみたいです。



なんて心の広いお方なのでしょう!(笑)

こんなファンがいるなんて、ポルノ君たちも幸せですね。



そうそう、それこそ、一番真っ当な受け止め方なのでしょうね。

曲順決めるにしても、すごい時間をかけて考えてるし、

それこそ、そのアルバムから落選した曲もあるわけですからねー。

なので、その選ばれし収録曲達は、そこにその順番で

居るだけで、意味があるんですよね。
Unknown (金冥)
2007-03-07 23:27:06
シングルとシングルでない曲と差をつけられている限り
優劣は存在します。
捨て曲といわれるのが嫌なら、全部シングルにできる曲で
アルバムを構成すべきです。そのほうが配慮してます。
曲項目を増やして商業的にしようとか考えてるから
捨て曲といわれます。
配慮が足りないのはアーティストです。
なるほど、、、 (lepps)
2007-03-09 14:11:15
>金冥さん

コメントありがとうございます。

>曲項目を増やして商業的にしよう

おっしゃる通り、そういった姿勢は曲のクオリティに表れますよね。
そして、その責任はレコード会社にもあるように思います。
プロの世界は、レコード会社との契約という制約のある中での作業ですから、
完全に満足のいく制作ができないことも多いでしょう。
そういう意味では、インディーの方が、捨て曲というのは少ないかもしれませんね。

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