IT論争でいつも争点になるのが、メールで各人の行動報告がされることにより社内のコミュニケーションがよくなる、という点についての論争だ。
私はそんなことによりコミュニケーションはよくならない、むしろ悪くなる、と考える方だ。N君は、各人の報告がメールで読み取れて、誰が何をしているかがよくわかるので良いとする。。
実はわが社は正社員15人(含むパート)、他にアルバイト数人が絶えず出入りしている程度の会社だ。もちろんワンフロアーで、ちょっと大きな声を出せば全員に聞こえる。にもかかわらず互いにメールで連絡をし合っている。もちろん、出張者もいれば、他社への常駐者もいるので、その人たちにはメールなどの連絡を要することはある。
しかし、隣や後ろに座ってる人にメールを送ることにはどうしても抵抗がある。加えて、メールを送っておけばコミュニケーションが取れていると判断する感覚には、到底理解しがたいものがある。
真のコミュニケーションは「フェイス トゥ フェイス」だと思う。
相手の表情、目の動きなどと合わせた意思疎通こそがコミュニケーションだと思う。
コンピューターという無機質な媒体を通して、高度な人間の感覚が全て通じるとは到底思えない。
しかし現代人は、熱く燃える「心」を、冷たい機器の「デジタル文字」に置き換えて接し合っているのだ。
このようなものが「コミュニケーション」(注)とは到底思えない。
(注)「社会生活を営む人間の間に行われる知覚、感情、
思考の伝達」(広辞苑)