馬鹿バスケ

Brooklyn Comets(ABA)でのアシスタントコーチを終えて、今はNYでスタッツいじり。

数字で振り返るBjリーグ(その4)

2006年05月25日 | バスケについて考える
気が付いたらBjリーグは既に来期のドラフトを終えていた。まだのんびり昨シーズンを振り返っております。今回は日本人の分析。以下は日本人のPERトップ10。

1 Apache 青木 康平 19.55
2 Albirex 長谷川 誠 17.52
3 Broncos 清水 耕介 16.02
4 Apache 仲西 淳 15.76
5 Apache 仲摩 純平 15.25
6 Broncos 清水 太志郎 15.04
7 Apache 牧 聡 14.71
8 Albirex 橋本 伸広 13.79
9 89ers 日下 光 13.59
10 Albirex 小菅 直人 13.47

トップは青木選手。フリースロー成功率がリーグ1位で表彰されていたようだが、この選手が優れているのはむしろフリースローを「貰う」技術ではないだろうか?普通このくらい小柄(167CM)な選手はフリースローラインに行く機会は少ないものだけれど、FTA/2PA(0.73)はリーグ5位。シュート率も高く、結果PSA(得点効率を示す数字)は堂々のリーグ2位(1.19)。これだけ貢献度が高い筈なのにプレイングタイムが短いのは、やはり背が低さがディフェンス面でチームの負担になっているからだろうか?でもBjでマッチアップするような日本人で、青木選手に対してポストアップできる選手なんかいるのだろうか。。。

2位はなんと長谷川選手。青木選手よりも身長面でのデメリットは少ない筈なのに、僅か385分にしか出場していない。日本人のPERトップ20のうち、長谷川選手より少ないプレイングタイムしか得られていないのは二人しかいない。確かシーズン途中に怪我をしていたとはいえやや解せない。青木選手同様、ガードの割りにフリースローを貰うのがうまくPSAも高いが、特筆すべきはUsageの高さ。外国人選手に遠慮しているのか、リーグ全体を見ると日本人選手のUsageが低い。そんな中長谷川選手のリーグ15位のUsage(21.3)を見るだけで、臆することなく堂々とプレイする長谷川選手の姿が目に浮かぶよう。

一応今回の分析は「あくまで数字だけでBjを振り返ってみよう」という試みだったけれど、数字に表れない長谷川選手の"Intangible"についてもコメントしておきたい。関係者の話によれば、Bj初年度はプロになれただけでうかれていたのか、どのチームも遠征に行っては飲み歩く様なプロ意識の低い選手が少なくなかったという。ところが長谷川はそんな若手を誘っては黙々とウェイトトレーニングに励むなど模範を示し、チームにプロ意識を浸透させ、新潟躍進の原動力となったそうだ。来期はぜひコートの上でもチームを引っ張って欲しいものだ。

3位の清水選手は、長谷川選手並にボールを頻繁に扱いながら(Usage19.7)も、ターンオーバー率(Possessionのうちターンオーバーを犯した割合)が8.2%とリーグ2位の低さ。ハンドリングもいいのだろうけど、アシスト率がそれ程高くない(8.8%)ところを見ると、ミスする間もなくシュートを打ってしまっているのだろうか。ボールから逃げているのかと思うくらいリバウンドを取らない(リバウンド率2.8%、リーグ最下位)のが玉に瑕。

大分の鈴木選手がPGとしてベストファイブに選ばれたが、PERは日本人の中で13位、全体では32位と真ん中くらい。これだけ日本人と外国人選手の力の差があると、外国人選手がディフェンスリバウンドを取ってそのままボール運びをしてしまうことも多いだろうし、仮にPGとしてボール運びを担うにしても、ボールを運んで渡すだけが役割かもしれない。そんなリーグでポジション毎に分けてベストファイブを選出する意味は低いように思う。鈴木選手はPGとは思えないほどUsageが低い(14.1、リーグ52位)が、一応アシスト率は29.5%(リーグ3位)。

優勝した大阪からは一人としてトップ10に入っていない。外国人で勝ちに行ったのではなく、ひょっとして使える日本人が少なかったのだろうか。。。?波多野選手のPERはリーグ43位。他のチームの選手は、大阪等と対戦して外国人選手とマッチアップするなかでもこれだけの数字を残しているのに対して、波多野選手含む大阪の日本人は、多分殆どが日本人とのマッチアップだったことを勘案すると、更に数字を割り引いて評価すべきかも。「ナチュラル・リバウンダー」なんてどこかで呼ばれていたけど、実際のリバウンド率8.9%(リーグ26位)とそれ程高くはない。

粟野選手はドラフト順位にしてはやや期待はずれだったか。しかしリバウンド率は12%と、日本人で10%を超えた僅か3人のうちの1人。ターンオーバーを減らせば(TO率21.6%、リーグで下から4番目)もう少しオフェンスでの貢献度が上がってくるだろう。


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