あまくさ人のひとりごち

あまくさ人のひとりごち、つまり独り言です。
撮りだめした写真も併せて載せます。

第1452回 黒澤明の「夢」という映画を見たか

2011-03-16 21:07:17 | 映画
自衛隊ヘリでの消火見送り…放射線レベル高く(読売新聞) - goo ニュース


 東日本巨大地震で被災した東京電力福島第一原子力発電所3号機で16日午前8時30分頃、白煙が立ち上っているのが確認された。
 白煙は原子炉建屋内の使用済み燃料一時貯蔵プールからと見られる。これに先立つ午前5時15分頃、4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プール付近でも火災が発生したが、間もなく自然鎮火した。
 いずれのプールも周辺の放射線量が極めて高く、人が近づけない状態だ。地震で冷却水の循環が停止しており、冷却水が沸騰して蒸発しているとすれば、大量の放射性物質が外部に飛散している可能性がある。政府は自衛隊のヘリコプターを出動させ、上空から冷却水を投下しようとしたが、放射線レベルが高く、この日の作業は断念した。
 経済産業省原子力安全・保安院によると、発電所正門では、16日午前10時過ぎから放射線量が急激に上がり、10時10分に毎時0・9ミリ・シーベルトだったのが、10時40分には同10ミリ・シーベルトまで上昇、作業員が一時退避した。
 高い放射線量について、枝野官房長官は午前11時過ぎの記者会見で、3号機の原子炉格納容器が破損している可能性について問われ、「現時点の情報では一番可能性が高いと推測される」と述べた。しかし、午後6時過ぎの会見では、専門家がデータを検討した結果として、「そうした(2号機が原因の)可能性の方がより高いという分析をした」とし、発言を修正した。
 東電は16日午後の会見で、水蒸気の色の特徴から、3号機の使用済み燃料プールで、冷却水が沸騰して蒸発したとの見解を示した。3号機のプールには、使用済み燃料棒514本が入っており、冷却水は放射能を帯びている。
 4号機では783本の燃料棒を収めたプールの冷却水の循環が停止、15日朝に起きた1回目の火災の前日には、ふだん40度程度の冷却水の温度は84度まで上昇したことがわかっており、その後、冷却水の蒸発が進んだと考えられる。
 1回目の火災で、プールと同じ階の原子炉建屋の側壁が崩壊しており、放射性物質の大気への放出を防げない状態だ。1回目の火災の後、一時は毎時400ミリ・シーベルトという極めて強い放射線量が観測されている。
 5号機、6号機にも多数の燃料棒が収まっており、その冷却水の温度も、4号機ほどではないが、高くなっている。
 同原発内では度重なる爆発で放射能汚染が広がっており、状況確認や復旧作業は日増しに困難な状態に陥っている。原子炉の状態を監視する運転員も中央制御室への常駐を避け、不定期にデータを確認に行くのにとどめている。このため、爆発や火災を起こした1~4号機では、プールの冷却水の温度や水位などを常時監視できない状態が続いている。


もうみんな、うすうす感づいていると思う。
福島第一原発は、もうダメだと。


だってもう、この記事を見ただけでも、そう感じるだろ。


ところで、黒澤明の晩年の映画に『夢』という作品がある。


黒澤明が史上3人目のアカデミー特別栄誉賞を受賞した直後の作品だったので、
それなりに話題になったが、作品自体の評価は必ずしも高くなかった。


しかしこの映画、今こそ全人類必見の映画かもしれない。


この映画は8つのエピソードからなるオムニバス映画。
その6番目のエピソードに「赤富士」と題するエピソードがある。


こんな夢を見た
「私」はなぜか、逃げ惑う群集の中にいる。
見ると、富士山が赤く燃えている。


背広姿の男が言う。
あれは原子力発電所が大爆発したためにああなったのだ。


あの発電所の原子炉は6つあるんだ。
それが全て爆発したんだ。
狭い日本だ。
逃げ場所はないよ。


みるみるうちに赤く溶けていく富士山。


そして。


海の見える丘にて。
おびただしい瓦礫の山。
その中に「私」は立ち尽くしている。
あれだけ大勢いた群衆はどこへ行ってしまったのだ。


みんなこの海の底ですよ。
あの背広姿の男が言う。


そこへ、色のついた煙のようなものが流れてくる。
煙ではない。
色の付いた放射能だ。


男は言う。


しかし、人間は全くのアホだ。
放射能は目に見えないから危険だといって、
放射能への着色技術を開発したからって、どうにもならない。
知らずに殺されるか。
知ってて殺されるか。
それだけだ。


子連れの女が叫ぶ。

そりゃあ、大人は十分生きたんだから、死んだっていいよ。
でも、この子はまだいくらも生きちゃいないんだよ。

「原発は安全だ」
「危険なのは操作のミスで、原発そのものに危険はない」
「絶対にミスは犯さないから、問題はない」
ってぬかした奴ら、許せない!
あいつらみんな縛り首にしなくちゃ、
死んだって死にきれないよ!

大丈夫。
それはすべて、放射能がやってくれますよ。
・・・・すいません。
僕もその、縛り首の仲間の一人でした。


そして男は海に身を投げ、
残された「私」と女と子どもの周りに、
カラフルな放射能が情け容赦なく襲いかかる・・・。






芸術家というのは時として科学者以上に未来を言い当てることがある、
という言葉をどこかで聞いたが、
まさにこの「赤富士」こそ、それじゃないか。

ちなみに、黒澤明はノーベル賞作家のガルシア・マルケスとの対談で核をめぐる丁々発止のやりとりをしている。

「人間は核をコントロールできない」という黒澤の主張に懐疑的なガルシア・マルケスに対して、
黒澤明はこう言った。

人間はすべてのものをコントロールできると考えてはいけない。傲慢だ。
核はコントロールすることができないんですよ。
人間ってね、そんなに立派なものじゃないんですよ。


今こそこの言葉を重く受け止めるべきではないだろうか。



最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
傲慢な人間 (しろー)
2011-04-19 15:52:20
はじめまして
私は黒澤映画のファンですが、20年前、この映画を見たとき、
「黒澤さんも歳だから、つい説教臭くなるのかなぁ」と思ったものです。
この映画、世間の評価も芳しくなかった。
というか石堂淑郎氏のように「黒澤の老醜」と、酷評する人のほうが多かった。
褒めていたのは淀川長治さんと横尾忠則さんくらいだったような・・・・
今あらためて見ると、私の見る目の無さが恥ずかしいです。
福島第一原発・・・・
深刻です。
工程表なるのを見て、「なすすべがありません」と言ってるのと同じじゃないかと思いました。
返信する

コメントを投稿