■ルネサンス期のイタリア人哲学者ジョルダーノ・ブルーノ(1548~1600)は、ドミニコ会に入会し、トマス・アクィナスの思想を学ぶかたわら、ルルスの記憶術、テレジオの自然主義などから強い影響を受けました。しかしやがて異端の疑いで裁判にかけられることになると、修道院を逃亡して、イタリア各地のみならず、スイス、フランス、イギリス、ドイツなどを遍歴し、ロンドン滞在中に『無限、宇宙と諸世界について』を著しました。
――ニコラウス・クザーヌス(1401~64)においての宇宙の無限性は、世界に限界を設けることの不可能性の消極的な主張にとどまっていました。しかしブルーノは、コペルニクスの地動説を肯定すると同時に、空間の積極的な〈無限性〉を主張したのです。
ブルーノによれば、世界は空間的にも時間的にも無限でなければならず、宇宙のあらゆる部分が無限な神の力のあらわれなのであるとされました。神は超越的原因として世界の外から関与しているのではなく、世界の内にあって、生きた統一として、汎神論的にすべてのもののうちに存在しているのです。ブルーノには、有限な閉じた世界の彼方に、空虚な空間があるとは考えられませんでした。そもそも宇宙の中心というようなものはどこにも考えられず、こうして「無限にして特定の中心をもたぬ宇宙」という世界観が創出されるのです。
ブルーノの思想は、当然のことながら、信仰を揺るがす危険な思想と見なされました。結局ブルーノは、8年間の獄中生活のすえ、1600年2月17日、ローマのカンポ・ディ・フィオーリ広場で、生きたまま火あぶりにされて死にました。
〈ジョルダーノ・ブルーノ〉_1
〈ジョルダーノ・ブルーノ〉_2
――ニコラウス・クザーヌス(1401~64)においての宇宙の無限性は、世界に限界を設けることの不可能性の消極的な主張にとどまっていました。しかしブルーノは、コペルニクスの地動説を肯定すると同時に、空間の積極的な〈無限性〉を主張したのです。
ブルーノによれば、世界は空間的にも時間的にも無限でなければならず、宇宙のあらゆる部分が無限な神の力のあらわれなのであるとされました。神は超越的原因として世界の外から関与しているのではなく、世界の内にあって、生きた統一として、汎神論的にすべてのもののうちに存在しているのです。ブルーノには、有限な閉じた世界の彼方に、空虚な空間があるとは考えられませんでした。そもそも宇宙の中心というようなものはどこにも考えられず、こうして「無限にして特定の中心をもたぬ宇宙」という世界観が創出されるのです。
ブルーノの思想は、当然のことながら、信仰を揺るがす危険な思想と見なされました。結局ブルーノは、8年間の獄中生活のすえ、1600年2月17日、ローマのカンポ・ディ・フィオーリ広場で、生きたまま火あぶりにされて死にました。
〈ジョルダーノ・ブルーノ〉_1
〈ジョルダーノ・ブルーノ〉_2