人生の謎学

―― あるいは、瞑想と世界

六壬神課をめぐって ―― 1

2011-04-19 04:04:59 | 占命
平安時代の陰陽師、安倍晴明に仮託された書物は幾多あるものの、《占事略决》だけは著者が晴明であることが確実視されている。現存最古の陰陽道関係の書物として、鎌倉期の安倍泰統による写本がある。しかし奥書の年記に曖昧なところがあり、誤写かどうかは定かではない。  本書は〈四課三伝法〉を巻頭に、〈課用九法〉、〈天一治法〉とつづき、都合三十六種の六壬占法が述べられている。しかしその内容を完全に理解することは . . . 本文を読む

死んだふりはよくない

2011-04-17 00:30:31 | 百物語
 アナトール・ル・ブラーズ編の『ブルターニュ幻想民話集』という本がある。ブルターニュ地方の民話や伝説などが集められているが、そのほとんどが死者や幽霊にまつわる物語である。  原著で132話の物語が、邦訳では97話の抜粋となっているが、この中に、ほんのいたずら心から死の真似事をして、同級生を、あるいは許婚者の青年を驚かそうとした結果、悲惨な結末をむかえる物語が二話収録されている。  その結末とはどの . . . 本文を読む

ブローネル ―― 失明の予感

2011-04-16 03:07:21 | 伝奇集
 1903年生れのルーマニア人ヴィクトル・ブローネル、彼の父は占いや降霊術、催眠術などに熱心な神秘思想家だった。幼いブローネルは、この父から吸血鬼や狼男の物語などを聞かされて育った。  やがてブカレストの美術アカデミーに学び、美術雑誌や舞台装置をデザインするなどして、画家として個展をひらくまでになる。マルセル・ヤンコらと接触したのち、25年にパリに移り、ブルトンらのシュルレアリスムに強い共感を抱き . . . 本文を読む