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《『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)の表紙》
ではここからは、新しい章「四、独立、決起」に入る。
理崎氏によれば、
昭和6年4月5日、新興仏教青年同盟の結成記念会が、参加者30名余で行われたという。そして三大綱領は、
1 釈迦鑽仰 2 既成教団排撃 3 資本主義の改革
〈89p〉1 釈迦鑽仰 2 既成教団排撃 3 資本主義の改革
であったという。私の今までの感覚からすれば、とりわけ「3 資本主義の改革」という綱領があったことが意外だったが、逆に妹尾の大胆さを知ったし、改めて柔軟さも知った。
しかしそれでも、
当初の新興同盟は、左からの大きな圧力に翻弄されていた。この時代、社会主義は流行の極にあって、資本主義批判をしなければ青年は見向きもしない時代だったという。
〈90p〉と理崎氏は述べ、さらに、
この時代、財閥と軍部はやりたい放題で、政党は疑獄で腐りきっていた。大学を出ても就職は厳しく、貧困や失業は他人事ではなかった。そんな中、マルクスによって社会変革の方程式を示され、ロシア革命でそれが実現できると証明されたのである。青年たちが飛びつかないはずがない。こうして、知識人や学生を中心にしてマルクス主義が大流行していくのである。新興同盟もそうした大きなうねりの中で誕生したのであった。
〈91p〉と解説してくれている。
ロシア革命が起こったのは1917年(大正6年)だから、大正末期~昭和初期は「社会主義は流行の極」にあり、「知識人や学生を中心にしてマルクス主義が大流行」していたという訳か。そしてそのうねりは花巻にも押し寄せていたということか。もちろん法華経信者の賢治もその流れの中に居たというこにとなる訳だし、妹尾ももちろんその真っ只中にいた訳だ。
とすると、法華経信者の賢治と妹尾は色々な面でかなり似ているから、妹尾等の新興仏教青年同盟のが掲げた「3 資本主義の改革」については、少なくとも心情的には支持していた蓋然性が高そうだ。
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