空蝉ノ詩

蝉は鳴く。地上に生きる時間は儚く短い。それでも蝉は生きていると。力の限り鳴き叫ぶ。私も今日、力の限り生きてみようか。

157編 夜明け前からこおろぎの鳴き声

2017-08-26 04:28:13 | ひとりごと
夜明け前からこおろぎの鳴き声 

4時20分に震度2位かな 地震
一人息子 beagle・gennkiはビックリ目を覚ます
地震があってもこおろぎは鳴いていた
こおろぎの鳴き声を聴いていると
秋を感じ
こおろぎの鳴き声に癒される夜明け前のひととき

156編 食道癌(ステージⅣ)を無視しながら 凄絶な食べることへの欲求 / 山内令南(やまうちれいなん)『癌だましい』文春文庫

2017-08-24 04:53:15 | 読書ノート
 山内令南(やまうちれいなん)『癌だましい』文春文庫
食道癌(ステージⅣ)を無視しながら 凄絶な食べることへの欲求
人間死んだらもう食べることはできない


文庫本で70頁余りの小説なので、一気に読み終えれる
錦田麻美は、介護員として老人ホーム(介護施設)に勤めているが、「職場の癌」と同僚から囁かれていた

小説の出だしが凄い
胸部食道の狭窄があり
唾液すら飲込むことができない。


「涎まみれで目が覚めた」の書き出しで始まる
唾液が逆流し、口元から溢れる。枕に被せたタオルは濡れ、顔も髪もベタベタだ」(9頁)
「顔といわず手といわず、どこもかしこも唾液の臭いがする」(9頁)
「わずかに開けた口から今も唾液が筋を引く。その上なお、時折ウゲッと喉の奥が鳴る。蛙が棲みついているようだ」(9頁~
10頁)

1日分の唾液1リットルら1・5リットルが口から流失する  尿はほとんで出ない

45歳の彼女 かっては84㎏あった体重は、半分を切り
わずかに体を動かすだけで動悸がする


麻美は、激痛を伴いながらもひたすら口から食べる
23頁~24頁にその様子が書かれている

「食べることは、すなわち痛みを受けることだ。そうであってさえ、麻美は食べる。
食べ物を口にする。痛みを耐えてでも食べたい。食べずにはいれらない。
麻美はただひたすら食べる。口に入れて咀嚼し、どろどろにして食道の途中まで送り込み、それをまた口から吐き出す。
・・・・どれだけ口に物を入れようが、どれだけしっかり噛もうが、何一つ胃へは辿り着かない。食道の狭窄部を通過するのは、水かお茶だけなのだから」。


彼女にとって食べることこそが人生であったのだ。
麻美は人生45歳で初めての病気が、食道癌
麻美はいま、家族はいなく一人暮らしの身
父、末期の膵臓癌
兄、末期の胃癌
母、末期の大腸癌
いずれも余命3ヵ月と告知され、告知のままに亡くなった


彼女は「人は死ぬもの」「いずれ人は死ぬのだ。必ず死ぬ以上、
それまでの一食一食が大切なのだ」


彼女にとって、生きることは食べること
彼女は食事を作っている時と食事をっしている間、なによりも幸せを感じていた

人間死んだらもう食べることはできない

「死んだ人はもう食べることもできないのだ」(82頁)

死と隣り合わせに生きている老人、
食事制限を受けている老人、
誤嚥性肺炎のリスクがある老人たちに
生きているときにこそ 食べることを
その老人にとって、その一食が今日最後の食事かもしれない
という想いで、食事をつくったり、食事介助していくことが大切であることを
麻美からあらためて教えられた
彼女は食道癌と闘うことより、食への欲求と闘い続けた
人間死んだら食べたくてももう食べることができない
葬式場の祭壇や墓に大好物を供えても食べることができない
生きることは食べること


155編 犬助け

2017-08-22 05:11:31 | ひとりごと
犬助け

今日は人助けではなく犬助け
那須アウトレットに行こうと
ラパンショコラを運転していたら
目の前に柴犬似の雑種犬が
舗装道路にうずくまっていた
ショコラから降り犬の傍に近寄った
「犬君」と声かけても反応なし
体を揺すってもピクともせず
死んでしまったのかな、と思いきや
犬は突然目が開き
よろよろしながら立ち上がった
「あっ! 生きている」
嬉しくなった
が、極限の空腹のせいか
歩くもふらふらであった
私の足元にすり寄り体をつけてきた

薄く剥がれた青色の首輪をしていた

(野良犬ではなかった)
毛並みは艶もなく老犬であった
老犬になり心無い飼い主が遺棄したのであろうか
そうだとしたら許せない


助手席にいた妻は
「家に戻りドッグフードと水を持って来ようよ」
と話しかけられ
私はショコラをUターンさせ自宅に戻った

ドッグフードと水を持ち
元の場所へ戻る
犬君では味気ない呼び方なので
「清水」と呼んでみた
缶蓋の容器にドッグフードを入れ
老犬の前に置いたが
警戒し食べようとはしない
妻が掌にフードを乗せ口元に差し出すと
安心したのか老犬は食べ始めた
体が衰弱しているとき
人間も介助により口元へ運んでやると
病人は口にする
掌には温もりがある
喉も乾いていると思い
容器にペットボトルの水を灌ぐ
老犬の体に水が沁み込んでいく

老犬は舗装道路の端を歩き
足元もふらつきはなくなってきた
交通事故に遭わないよう
後ろ姿を見送った

151編 誕生日前夜

2017-08-16 05:03:28 | 老詩
誕生日前夜 

明日65歳になる
嬉しいのか それとも人生の節目なのか
介護保険法では老人の仲間入りになる
介護保険被保険者証が郵便で届くであろう
それに私の場合
慢性腎不全による身体障害者1級であることから
医療保険は健康保険から後期高齢者医療保険証に変わる
3割自己負担から1割自己負担となり
大いに助かる


それよりも
64歳最後の日から明日は65歳になっても
世の中も私の怠惰な生活も変わりはしないのだが
私の心のなかでは
65歳 老いに入るということ
介護の仕事に従事している「いま」
老いや介護の問題(テーマ)は
他人事ではなく私事にもなるからである

最近の私は
転ぶことも増え
下肢の筋力だけでなく思考能力も集中力も衰えてきた
嗚呼老いが来たのだな
これから老いと向かい
残り少なくなってきた時間
老いとの向かいあいは死を意識することにもなる
あと何年生きられるか、と
引き算の人生になってしまう
明日のこと(死のこと)を悩むより
今日(いま)をどう生きるか
老いを迎える前夜 そのことに改めて気づかされた

149編 8月15日

2017-08-15 09:34:56 | ひとりごと
8月15日

8月15日
終戦記念日
国民を悲劇と貧困のどん底に導いた
あの忌まわしい戦争が終結した日

ヒロシマ ナガサキに原爆を落とした国
アメリカと手を繋ぎ歩いている日本

トランプ大統領は
日本に駐留している米軍のために
「日本」を守る
そのことを総理大臣はわかっているのだろうか

私が20歳前後の頃は
北朝鮮より遠い国
ベトナムを支援していた
ベトナム戦争反対のデモにも参加し若かった

いまは
私だけでなく
革新政党はいまや凋落し
骨のある野党政治家もいなくなり
労働組合も貴族化し
中小企業に働く労働者も守らくなった
目と鼻先にある北朝鮮のミサイルが日本海に落下しても
国会で論議されることなく
森学園や加計学園のくだらない質問にあけくれる野党
日本の安全危機が脅かされているのに
なんとも平和ぼけな日本政治家と三大新聞社

その私も昔に比べ
政治には無関心無気力になってしまった
忘れてはならない戦争の忌まわしさと平和の尊さ
8月15日

148編 仏の泪なのか

2017-08-14 17:15:48 | ひとりごと
仏の泪なのか 

梅雨が明け
短い暑い夏が到来するかと思いきや
今週は土曜日まで雨の予報 
犬も散歩できずストレスで暗い気分
私も気が晴れず
シトシト月曜日
蝉もさぞかし鳴くことができず
困っていることだろう
私も気が滅入ってしまう
いつかは雨は晴れ上がるけど
閉じこもった気持ちいつ晴れるのであろうか

147編 秋の予感

2017-08-14 09:40:06 | ひとりごと
秋の予感

秋の予感
路傍には秋桜が咲き始めた
手元に写す機器がなかったのが残念
北の国ではお盆を過ぎると
朝夕 寒くなり秋の気配を感じる 《秋の予感》
夜明けが遅くなり陽の沈みが早くなってきた
夏は蝉のように短く
時間を駆け抜けて行く
恋の秋は心ときめくが
恋の季節を失った老人は
我が心臓のときめきに耳を傾ける

146編 犬の感情

2017-08-13 05:22:49 | 我家ノ一人息子
ご満悦のドライブ ぼくgennkiは助手席 ご主人は助手席の後部座席

犬の感情

妻は私に話す
1番目は我が家の一人息子beagle・gennki
2番目は夫

それに対し私は
妻も一人息子もbeagle・gennki1番目


beagle・gennki
靭帯損傷した右手を触れないようジャレている犬は

犬は 
ご主人様(飼主)の死を察知し
死の前日から
いつもと違う泣きかたをする


beagle・gennki
雨が降り始めると散歩を嫌がり家に帰りたがる
おやつが欲しいとき もらえないと
前足でトレイを上下に動かすなど八つ当たりをする
その仕草を見ると
八つ当たりの様子は人間と同じ

145編 ヤドカリ

2017-08-12 05:06:27 | ひとりごと
ヤドカリ

ヤドカリは
定住せず
自分の体に合った
(自分の体の成長に合わせた)
巻貝の殻(貸家)を探し
引っ越しをしていく

私もヤドカリと同じような人生で
19歳の春に津軽海峡を渡り
今日まで9回の引っ越しをした
(転勤ではない)
人間の場合は
引っ越し貧乏と呼ばれるが
ヤドカリは
身の丈にあった貸家に移り棲み快適な暮らし

ヤドカリは
エビやカニと同じく
十脚甲殻類の仲間なのだ
人間様の食卓には
エビやカニが並べられる

ヤドカリの生態からヒントを得た
新たにやるべきことが見つかった
それは
独り暮らし老人と孤独死

誰にも知られず1箇月余りも
発見されずいることもめずらしくない孤独死

独り暮らし老人
生きている間独り暮らし
死ぬ時も独り
そして亡くなった後の遺骨は
行き場がなく無縁墓

人間は最期に
どんな風景を見ながら
どんな音を聞きながら
どんな言葉をかけられながら
死んでいくのか

昔は長屋があり
長屋の住人たちが助け合いながら生きてきた
独り暮らし老人が住む
共同生活住宅があればと思うが
他者に縛られない自由な生活を望む
自由な生活は孤独死の自由もある

ヤドカリのように
独り暮らし老人も
不安な生活や死を解消できるような
棲家にしていけたらと思う

独り暮らし老人
考えていかなければなならない




144編 蝉その後

2017-08-11 19:47:49 | ひとりごと
蝉その後 

朝起きてすぐに
外に出て
玄関脇の壁をみた
蝉はまだ壁に張り付いていた
壁は木ではないので
樹液を吸うことができない
もしかしたら死んでいるのではと思い
蝉を軽く触れてみたら
壁に張り付いていた足が
壁から離れ落下しかけたので
危うく手で救った
蝉は生きてはいなかった
葉っぱの上に静かに寝せた
精一杯鳴くことができたのだろうか
蝉君のご冥福をお祈りいたします

143編 蝉の訪れ

2017-08-10 12:13:35 | ひとりごと
蝉の訪れ 

早朝 玄関を開けたら
玄関脇の壁に
蝉がいた
お昼のとき
まだ蝉がいた

息をしているのかどうか
と思い 顔を近づけようとしたら
傍らにいた妻から
「余り近づくと 蝉にオシッコかけられるよ」
と言われ
それで私は
蝉の生死確認をやめにした