空蝉ノ詩

蝉は鳴く。地上に生きる時間は儚く短い。それでも蝉は生きていると。力の限り鳴き叫ぶ。私も今日、力の限り生きてみようか。

23編 聖職者

2017-07-01 15:54:31 | ひとりごと
     明けない夜はない 朝焼けの阿武隈川

 聖職者

「悪口」や「批難」めいたことを書くのは
嫌であり 性分ではないのだが
つい口(言葉)にしてしまった       
お許し下さい               

森友学園、加計学園に絡んだ政治家 
暴言暴行の豊田衆院議員
何れも腐りきっており
喰えなくなった魚よりも
タチが悪く飼料にもならない
「聖職者」という言葉は
いまの時代は「死語」になってしまったのか

北国の農村に育った私
田植えが終わると小中学校の運動会
当時運動会は地域のお祭りみたいなもので
盛り上がり賑やかだった
来賓者挨拶には地域の駐在所のお巡りさんもいた
当時警察官は聖職者であり
地域からも頼りにされていた
学校の先生も聖職者であり
親や子からも尊敬されていた 

授業中に悪戯やふざけていたら
チョークが飛んだり
黒板消しの角で叩かれたものだ
私は小1年のとき廊下に立たされたこともあった
先生は悪いことをしたときには怒ったが
優しかった
風呂にも入らず頭にしらみが湧いた男の子がいた
先生はバリカンを持ってきて
その子の頭をきれいに刈り洗った 
できない子がいると居残りさせながらも面倒をみていた 

あれから50年
時代が変わったのか
人間が変わったのか
価値観が変わったのか
どれが本当なのかわからないが
盗撮やセクハラ、窃盗、殺人をする警察官や教師がめずらしくなくなってきた
終戦後の教師は
何を信じ教えていけばよいのか
戸惑っていた
いまの教師は何を教えているのだろうか
いまの警察官は誰を取り締まっていくのであろうか
いまの国会議員は議員報酬額分だけ国民のために尽しているのか

凡ての警察官、教師、国会議員がそうだとは言ってはいない
しかし、それを許してきた警察官、教師、国会議員がいる 
そして、もれず私も許してきた
誰のための聖職者か 

22編 石のぬくもり

2017-07-01 11:41:28 | 老詩
石のぬくもり

左手は握り拳の如く曲がったまま拘縮
両膝は「く」の字に曲がり脚を伸ばせない
ひとりで寝返りも行えず
染みついた天井を一日中眺めている

握りしめた左手の指を解き解し
掌を握り 言葉のかわりに握り返す
老人のぬくもりが微かに伝わってくる

老いた妻は仕事に出かけ
老人はベッド上で留守番
黒電話は鳴ることもなく
じっと耐えながら寝ている

路傍の石も動くこともできず
ジッと地面と空を見つめている
小石を掌にのせ
小石を握ってみた
小石にもぬくもりが伝わっていった

ジッと寝ている
老人の体と心は寂しく
石のように冷たい
温かいタオルで体を拭きながら
癒しの言葉をかけていく
老人にもぬくもりが伝わっていった

路傍に咲いていたマーガレットを一輪
老人の枕元に飾ってきた


20編 知らない海辺を歩きたい

2017-07-01 01:23:48 | ひとりごと
電線に休息する雀達

知らない海辺を歩きたい

「お金」と「時間」
どっちも欲しいけど
どっちかを選べと言われたら
躊躇することなく「時間」を選ぶ
何故なら 
「お金」で「時間」は買えない
それだけに
時間は砂金の如く貴重価値

減っても増えることはない時間は 砂時計のよう
指の隙間からこぼれ落ちる砂は 残り少ない生命のよう
時間を見つけ 知らない海辺を歩きたい