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賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生 (レジメ)

2008年07月25日 | 民法・借地借家法・裁判・判例

  レジメ


    賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生 (2005年9月11日)

                                    弁護士 榎本 武光


一 賃貸借契約と破産

 1 賃借人が破産した場合

  ① 賃貸借契約はどうなるか
   
これまで、民法第621条で賃借人が破産すると、賃借期間があっても、賃貸人は賃貸借契約の解約の申入れができた。

 平成16年の法改正(平成17年3月1日施行)で、民法621条が削除された。

 その結果、賃借人が破産しても、賃貸人は賃貸借契約の解約申入れができなくなり、賃貸借契約は継続できることになった。

  ② 賃料はどうなるか
   賃借人が破産手続開始決定前に延滞していた賃料については、破産債権となる。=そうすると、賃貸人は、延滞賃料を全額回収することが困難となる。

 破産手続決定後の賃料については、財団債権となる。=この場合には、賃貸人は賃料の受領が保障される。


 2 賃貸人が破産した場合

  ① 賃貸借契約はどうなるか
   これまでの賃貸人に代わって、破産管財人が賃貸借契約の当事者になる。

   破産管財人は、賃借人が対抗要件=登記・引渡=を備えている場合には、賃貸借契約を解除できない。

   賃借人が対抗要件を備えていないときは、破産管財人から賃貸借契約を解除されて明渡さざるを得なくなる。

  ② 請求権の性質
   賃借人が破産管財人に対して有する請求権は、賃貸借契約の目的物を使用収益することができる権利であり、これは財団債権となる。(破産法56条2項)=このことは、賃借人が破産管財人から賃貸借契約が保護されることを意味する。

  ③ 賃料について
   賃借人は、破産管財人に対して、賃貸人に対して賃料を前払いしていたことを主張できる。=二重払いをする必要がない。

   賃貸人が破産手続開始決定前に賃料債権を他に譲渡していたときは、破産管財人はその賃料債権を取り立てることができない。=賃貸人は賃料債権の譲渡を破産管財人に対して対抗できる。

   したがって、賃借人は、賃貸人から第三者に対し賃料債権が譲渡された場合は、賃料債権の譲受人(第三者)に対して賃料を支払うことになる。

  ④ 賃借人の有する債権と賃料の相殺の可否について
    
賃借人が賃貸人に対して有する債権で、未払賃料債務あるいは将来の賃料債務を受働債権として相殺できる。=賃借人が賃貸人に対して債権を有する場合は、賃料債務と相殺することによって回収できる。

   * 但し、民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に弁済期が到来すべき賃料債務のうち6か月分相当額についてのみ相殺できる。(民事再生法第92条2項、会社更生法第48条2項)=民事再生・会社更生のためには、賃借人の賃貸人に対して有する債権の回収が制限される。

  ⑤ 保証金・敷金について
    
賃借人から賃貸人に対する敷金返還請求権は、建物明渡を停止条件とする債権である。=賃借人は、建物を明渡さない限り敷金返還請求ができない。

    賃借人は、破産管財人に対して、賃料を支払う際に、敷金返還請求権の債権額の限度で、支払額の寄託を請求することができる。(破産法第70条)=そうしないと、建物明渡後、敷金請求をしても返還すべき敷金が不足している場合が起こりうる。

  ◎ 必ず、賃借人は破産管財人に対して、支払額の寄託を請求する必要がある。

  * 民事再生、会社更生の場合には、手続開始後に賃料債務を支払ったときは敷金の返還請求権は、賃料のの6か月分の範囲内における支払額を限度として共益債権とする。(民事再生法第92条3項、会社更生法48条3項)=民事再生、会社更生のためには、賃借人の賃貸人に対して有する敷金返還請求権が制限される。

  保証金について
   今後、保証金については、敷金として扱うよりも、貸金債権として扱った方が、ただちに賃料債務と相殺できるので有利となった。=◎ これまでは敷金として扱う方が保護されていたが、今後は保証金は貸金と主張する必要がある。


二 競売と賃貸借契約

 1 抵当権設定前の賃貸借契約について

   抵当権設定前の賃貸借契約については、対抗要件(登記・引渡)を有していれば、買受人に対して賃貸借契約を主張できる。


 
2 抵当権設定後の賃貸借契約について
 
   
① 民法395条の改正(平成16年4月1日施行)により、短期賃貸借の保護はなくなった。=従前は、短期賃貸借(建物賃貸借契約3年)は抵当権の登記後に引渡しを受けてたものであっても抵当権者に対抗することができた。

   ② 平成16年4月1日以降の賃貸借契約の場合は、買受人の買受の時から6か月を経過するまでは買受人に引渡すことを要しない。(改正民法395条1項)但し、競売手続の開始前から使用収益をなすものに限る。

   ③ また、買受人が、相当期間を定めて、使用の対価につき1か月分以上の支払いを催告したにもかかわらず、相当期間内に支払わなかった時は買受人に引渡すことになる。(改正民法395条2項)

   ④ 改正法施行前の短期賃貸借(建物賃貸借契約3年)については、なお従前の例による。(附則第5条=短期賃貸借契約に関する経過措置)=◎ 平成16年4月1日前の短期賃貸借契約については、短期賃貸借契約の保護がある。

   東借連夏季研修会「賃貸借契約と破産・民事再生・会社更生」要旨はこちら

 

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