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重み付けを考慮した評価

2009年12月07日 | 産業

ゴルフに関する話題で、賞金王というキーワードがしきりに取り上げられています。この賞金王には、いくら稼いだかという金額そのものが、興味の対象になるということもあるでしょうが、実際には、獲得賞金がトップになるほどの「実力がある」という評価としての重みの方が大きいのではないかと考えます。つまり、多くのゴルファーがいる中で、その優劣を決するにあたり、彼らの獲得賞金を目安にして、実力を見定めようとするものです。

この数字には単純に何勝したとか、入賞回数が何回とかいうだけでなく、出場した各大会の重み付けが考慮されます。例えば、同じ優勝でも、マイナーな大会で出場選手のレベルもそれほど高くないものと、世界的な強豪プレイヤーが集う大会とでは、その意味合いは全く異なります。マイナーな大会の賞金は、それはそれなりにといったところでしょうが、大きな大会であれば賞金も高く、それを目指して、自ずと腕に覚えのあるゴルファーが集まるものです。これら様々な大会における優勝に対して、同じ「一勝」とカウントするのではなく、それらに重み付けをしながら数値化するという意味で、獲得賞金は、ゴルファーの実力を測るひとつの指標になると思われます。そして、そのトップである賞金王には、それなりの実力評価としての意味があるのだろうと考えられるのです。

私は、こうした考え方は、何もゴルファーに限ったものだけではなく、今後のインターネットのコンテンツ評価にも、きちんと当てはめていかなければならないのではないかと考えています。

今日のインターネットにおいては、そこに掲載されているコンテンツの人気を、閲覧数や再生数で測るというのが、ずいぶん一般化してきているのではないかと思います。ここで言う「コンテンツの人気」というのは、「コンテンツの評価」と言い換えてもいいかもしれません。

しかし、その評価をそのまま信じるわけにはいきません。それは、あるコンテンツを見た人が、それを良いと思ったか、悪いと思ったか、たとえ良いと思ったとしても、どの程度良いと思ったのかということを一切勘案せず、「それを見た」という延べ人数だけで、それをその「コンテンツの評価値」と見なしてしまい、現実と大きく乖離してしまう可能性があるからです。例えば「一日平均閲覧数××万のホームページ」、「再生数××万の動画コンテンツ」と聞いたので、実際に覗きに行ったものの、大して面白いものでもなかったというケースでは、そのユーザーの心的印象とは別に、勝手に閲覧数や再生数は足されてしまいます。つまり、評価をしに覗いただけなのに、無条件、そのコンテンツを評価したと解釈されてしまうのが、今のインターネットの仕組みであるとも言えるわけです。

今後、こうした問題に対しては、ユーザーが手軽にコンテンツ評価を行える仕組みを整えていく必要があると考えます。しかも、そこには単純に「良い」、「悪い」だけではなく、「どれだけ良い」という度合いを数値化できるような仕組みも必要です。これを先ほどのゴルフ賞金の例で表現するならば、単なる「優勝」ではなく、「賞金いくらの優勝」かという額を決めることで、そのコンテンツの「良い」の重みを決定付けるということです。

ここには、そのコンテンツの料金をユーザー側で勝手に決められる「お賽銭モデル」のようなシステムが有効です(「お賽銭モデルの提唱」参照)。つまり、それを見たユーザーが、「すごく良い」と「まあまあ良い」とを使い分け、それぞれに見合った評価を支払う金額によって表現すれば、それらの集計結果は、これまでの閲覧数や再生数によるコンテンツの評価よりも、遥かに信憑性が高いと言うことができるだろうと思うのです。

逆に、「良くない」と評価した場合は、お賽銭を投げ入れないので、評価はゼロとなります。こうなれば、実際にネガティブな印象を持ったユーザーの閲覧数や再生数が、自動的にポジティブ評価として加算されるような心配もありません。また、もっとネガティブな意味での評価を反映させるという意味では、特定のコンテンツに対して、NGフラグを立てるという仕組みが有効でしょう(「個別最適化する倫理規定」参照)。

お金というのは、大変、危険なものであると言えます。そればかりに目を向けてしまうと、物事の本質を見誤り、自身の身の破滅をも引き起こしかねません。しかし、それが持つ効用、何かを数値で表すという作用は、きっといろいろなものを測る意味で、役に立つであろうことも事実だろうと思います。お金に振り回されず、それをうまく道具として使うことができれば、インターネットのコンテンツ流通は、次の時代において、きちんと花開くのではないかと思います。

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