常識について思うこと

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イエスから学ぶもの

2006年09月21日 | 宗教

人間には個性があります。個性に同じものはありません。必ず何かしら違うものです。それが人間。お互いの良さを認め、尊重し合う。お互いの悪さについても同じように認め、それを補い合う。だから、人間同士争う必要はないのです。人間は共存する生き物であり、共存のために自分ができることをする、持っているものを与えていくのです。

イエスという人は、首尾一貫して愛を説きました。自分以外の人々に、わけ隔てなく等しく愛情を捧げる。そこに見返りを求めてはならず、たとえ自分を殺そうとするような人間に対しても、無条件の愛を注ぐべきであるとしました。そしてそれを、人生をかけて実践したのです。

しかし人間は、無条件の愛を注ごうとする者に対して、それを殺すという行為に及びびました。人間は不完全であり、他人が持っているものを自分が持っていないことに対して、コンプレックスを抱きます。その人が持つ、限りない愛情が自分に向けられていることを知りながらも、自分がそのような愛情を持っていないことに対して、コンプレックスを抱いている人間は、終にイエスを殺してしまいました。このことは、人間が不完全である表れでもあります。

このような不完全な人間社会において、イエスの愛は、残念ながら片手落ちだったとも言えます。イエスは無限、無償の愛を説いた素晴らしい人物でしたが、彼の愛は一方通行でした。彼が説くように、愛とは見返りを求めるべきものではありません。しかし、一方通行のままで、その愛を理解してくれる人間がいなくては、結局のところ、その愛は悲劇を生みます。結局は、それを理解しない人間に殺されてしまったのです。

人間は不完全で、成熟しきれていません。そして、イエスの愛に、同じような大きさの愛で応えられるような人物はいませんでした。イエスが言うような深い愛を、イエス以外の人間が誰か一人でも、真に実践することができていたならば、その人物がイエスの死を目前にして、イエスを救っていたはずです。またイエス自身も、その人物のため、自らが生きるということ、自分の命に執着したはずです。

しかし、実際にはそうなりませんでした。イエスは十字架にかけられたのです。それは、イエスの愛に、イエスとまったく同じような愛で応えられる人間がいなかったからです。けれども、それでもなお、イエスは自らの信念を曲げませんでした。彼は、自分の信念を貫き、自分を殺そうとする人間たちに求めることをしませんでした。理解してもらおうとはせず、見返りを期待しませんでした。そして、実際に見返りはなく、殺されていったのです。彼は、自らの死をもってして、自分の信念を貫き通し、そのことで不完全な人間社会において、人を愛することの重要性を訴えたのでした。

私はイエスの死後、残された人間は、イエスの真意を理解しなかったと言えると思います。人間はイエスの名を冠した宗教を作り、イエスの伝説を語り継ぎながら、浅はかで、偽りの愛を説いたとも言えます。即ち、偽りの愛を説いた結果、現実に起きていることは、その宗教による異教徒の殺戮の歴史であり、戦争の歴史です。自分の命と引き換えにしてまでも、愛を与えることを説いたイエスの遺志を継いだ宗教とはとても思えません。イエスの心を真に理解していないからこそ、そうした宗教が国家を生み、戦争を引き起こし、憎しみの連鎖を生み出しているのです。このことは、イエスが死を賭して説いた教えを全く理解していないことの証左でもあります。

イエスの時代から約2000年を経過した現代において、あらためてイエスの死から学ばなければならないことは、イエスと同じように見返りを求めない愛を一方通行ではなく、お互いが与え合うというかたちにしていくということの必要性です。

愛は一方通行ではなりません。見返りを求めてはなりませんが、結果として見返りがなければ、愛を説く者は自分の命を粗末にし、愛を説かれる者は愛を与えることから逃げてしまいます。愛を与え続ける者は、誰かから真に愛されなければならないのです。

このことは大変難しいことです。2000年前、イエスですら実現できなかったことです。しかし人間は、変わらなければなりません。難しいことだからこそ他人まかせ、神頼みにしてはならないのです。重要なことは、自分の夢やビジョンを高くもち、自らの実行力と忍耐力を信じ、これらのことを実践するのは、自分たち自身であると信じることであると思います。

人類全体に対するわけ隔てない愛。そして、そのことを理解する人との通い合う愛。それらが両立することで、はじめてイエスから学んだことを実践し、次の世界の人類のあり方が見えてくるように思うのでした。

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